グッバイ! 私たちを縛る「呪い」の言葉。

誰かのアドバイスに、グサッときたりモヤッとしたりしたことありませんか? もしかしたらその言葉には、あなたを抑圧する価値観が含まれていたかも……。呪われずに自分らしく生きる方法をバービーさん、ジェーン・スーさん、犬山紙子さんと考えてみました。

それ、アドバイスに見せかけた“価値観の押しつけ”です。

女性たちを縛る「呪い」の言葉の数々

センパイ、私たち、呪いとどうつきあえばよいですか?

バービーさん

お笑いコンビ・フォーリンラブのボケ担当、バービーさん
PROFILE
1984年1月26日生まれ。お笑いコンビ・フォーリンラブのボケ担当。アンダーウエアのプロデュースやラジオのパーソナリティなど幅広く活動中。エッセイ『本音の置き場所』(講談社)は、女性たちから支持され話題に!

犬山紙子さん

イラストエッセイスト、テレビコメンテーターとして活動する犬山紙子さん
PROFILE
1981年12月28日生まれ。イラストエッセイスト、テレビコメンテーターとして活動中。呪いに見せかけたアドバイスへの切り返し方をまとめた著書『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ社)は悩める女性のバイブル

ジェーン・スーさん

作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ、ジェーン・スーさん
PROFILE
1973年5月10日生まれ。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』も話題。新刊エッセイ『ひとまず上出来』が好評発売中

Q1 そもそも呪いの言葉って?

ジェーン・スー「呪いの言葉とは、あなたの可能性を閉ざしたり、行動に不当な規制をかけるような発言のこと。さらに言う側と言われる側に権力格差があって、反論するのが難しい場合に使われる言葉です。ぶしつけな発言=呪いとしてしまうのは間違い。しっかりそこを線引きすると、あなたにとっての呪いが見えてくるはず」
犬山紙子「それはだいたい、権力者たちがつくり出した〝周りを支配するのに都合がいい価値観〟から生まれたもの。女性への呪いが多いのは、男性優位社会が長らく続いていたからなのでしょう。その内容は非科学的で信じる価値ゼロですが、無視できなくて悩んだり呪いを内面化して苦しむ女性がいるのも理解できます」
バービー「女性を取り巻く不快な言葉は、〝産む性〟だからこその制約や特性に付随した古い価値観や偏見から生まれたものなのかな、と思います。なので、出産するかどうかを女性自身で決められる今の時代、それを真に受ける必要はありません。けれど、呪いが生まれた背景を知っておくことは大切かも」

Q2 みなさんは呪いとどうつきあってきた?

犬山紙子「結婚願望があまりなかった私ですら、20代後半は『独身だと不幸になる』って呪いをうのみにし、日々不安でした。その後、『呪いだったんだ』と気づき楽になれたのですが、年齢を重ねライフステージが変わるごとに新しい呪いが降りかかってきました。今後のためにも呪いから自分を守る方法、必要ですね」
ジェーン・スー「背が高く大柄な私は、世間で可愛いとされる服がことごとく似合わず『可愛い服は着てはいけない』と自ら呪いをかけていたんです。ですが、さまざまな価値観に触れ、素敵な先輩に出会い、最近やっと自由にファッションを楽しめるようになりました。時間をかけて自意識と向きあっていくのも大事ですね」
バービー「大学生くらいまでは一般的な〝可愛くなきゃ価値なし〟という呪いを内面化していましたが、芸人になったとたん〝ブスじゃなきゃ売れない〟っていう真逆の呪いに影響されるようになったんです。でも時代が変わって、いろんな笑いが認められるようになり、どちらの呪いからも解き放たれつつありますね」
前田豆コさんのイラスト。青いワンピースを着た女性と、顔が唇の形をした人々

Q3 呪いとは、どう戦うべき?

ジェーン・スー「まずは本当の呪いと失礼な言葉を仕分けしましょう。そして呪いの言葉を放つ相手からは一刻も早く離れてください。ただの無礼な発言の場合は、不快だってことをしっかり態度で示すのが大事。不満を隠してニコニコしていると、なめられ続けてしまいます。場の空気を乱すのを、必要以上に恐れないで」
バービー「時代と共にだんだん呪いの言葉は減ってきているはずなのに、気に病む人の数は増えている気が……。これはSNSや親子関係の変化によって〝精神の自立〟が妨げられているからかも。人の話をうのみにせず、自分のことは自分で決めましょう! そして『人は人、自分は自分』って境界をしっかり持って」
犬山紙子「何よりも自尊心を守ること。傷ついた時にお互いに傾聴しあえる、逃げ場のような友人がいるとよいと思います。私には心に小さいIKKOさんがいて、呪いの言葉に『どんだけ〜!』と代弁してもらっています(笑)。『自分が悪い』と思わされるのも呪いの特徴なので、そう思い始めたら『呪いだ』と警戒を!」
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撮影/つぼいひろこ スタイリスト/谷口夏生(TAKUTY PRODUCE&CREATE/バービーさん分) イラスト/前田豆コ 取材・原文/衛藤理絵 構成・企画/西脇素子(MORE)