10周年の『フレンズオンアイス』も大盛況!

ハプニングにも動じず堂々の演技!  今季の画像_1
今季の競技用プログラムで、見事な演技を披露した宇野昌磨選手

2006年のトリノ五輪で、荒川静香が日本選手団唯一の金メダルを取ってから10年が経った。五輪後に現役を引退した荒川がその年の夏に、初めてプロデュースしたアイスショー『フレンズオンアイス』が誕生した。日本フィギュアスケート界史上初の五輪金メダリストが火をつけたフィギュアスケートブーム、そして、いまや不動の人気スポーツに成長し、荒川が仲間たちと作り上げる『フレンズオンアイス』は夏の風物詩とも言えるアイスショーになり、今年はついに10周年を迎えた。 毎年どんなコラボレーションプログラムが見られるか、どんな斬新で驚きのあるオープニングを見せてくれるのか、楽しみなアイスショーだが、11回目の今回も期待を裏切らない内容になっていた。 主宰の荒川は「フレンズオンアイスは非常にコラボレーションが多いので、普段ソロでしか見られないスケーターの違った面が見られるところが、このアイスショーで力を入れているところです。そこをみなさまにスケーターの魅力とともにお見せできればいいと思っています」と話していた。

2018年の平昌五輪に向け重要なシーズンのスタート

また、出演者をみても、実に興味深い新旧スケーターがそろった。荒川に憧れてスケートを始めた本郷理華、髙橋大輔に憧れる宇野昌磨、本田武史に影響を受けた無良崇人が同じリンクにいて、共演した姿なども見られることはファンにとっても、じつに嬉しいことではないだろうか。 8月25日にメディア公開のリハーサルが行なわれ、現役選手たちは今季の競技会プログラムを披露。その中でも目立った本郷、宇野のパフォーマンスから、平昌五輪プレシーズンとなる今季を少し展望してみよう。 まず、長身で手足の長さが武器でもある本郷は、今季のショートプログラム(SP)『カルミナ・ブラーナ』を披露した。荘厳で迫力のある曲に乗って、本郷の持ち味であるダイナミックな演技が映えるプログラムになっている。特に目を引くのは、大きな動きで強さと女性らしさを表現しているメリハリのある振り付けではないか。

今季最も飛躍が期待される宇野選手に注目!

振り付けたシェイリーン・ボーンが本郷の長所を存分に引き出すとともに、成長を促そうと構成したことがうかがえる。シーズン初戦まで残り1カ月ちょっとだが、どれだけ滑り込んで完成度を高めてくるか。いまから楽しみなプログラムだ。このSPで跳ぶ予定という高難度の連続3回転ジャンプをしっかり決めてくれば、各大会で表彰台争いに加われるだろう。 リハーサル終了後の記者会見で本郷は、この日滑ったプログラムと今季の目標についてこう語った。 「ショートを振り付けてくれたシェイリーンさんが見ているよ、と言われたので、いつもの演技よりも気合が入ったかなと思います(笑)。ジャンプが全部単発になってしまいましたが(苦笑)……。 今季はいい試合と悪い試合の波がないようにできるだけ自分の力を出し切るようにして、シーズンが終わったときに笑顔を見せられるようにしたいです。たくさん練習して、見られていることを意識して、もっと表現力をつけていきたいです」 そして今季、最も飛躍的な活躍が期待できるのは、シニア2年目となる宇野に間違いない。そう言い切ってしまいたいほどいい仕上がりだ。 公開リハーサルでは当初、今季の新エキシビションナンバーを滑る予定だった。名前がコールされ、氷上に立って曲が流れるまで、宇野本人はエキシビションを踊るつもりだったのだ。しかし、流れ始めた曲は、今季のSP『Fantasy for Violin and Orchestra』(ラベンダーの咲く庭)。動揺がないわけないが、まったくおくびにも出さずに演技を始めた宇野がそこにいた。

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文/辛 仁夏  撮影/能登 直

(記事は「スポルティーバ」より)