1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代=20代の女性の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

男性にかまってもらうために、私はセックスをしてるんです

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ーDATAー
田原さん(仮名)26歳 /未婚/職業:IT関係
初体験:16歳 /経験人数:70人 /セックスとは:男性にかまってもらうための手段
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セフレが8人いた過去。女友達がいなかった

体験談を語る田原さん
ーセフレが8人もいたことがある?

はい。4年前の大学生の時に。気づいたらどんどん増えていって、8人になっていたって感じかな(以下、田原さん)

ーそれはどうして?

当時彼氏がいたんですけど、全然私と会ってくれないし、彼は周りに私と付き合っていることを隠していたんです。それがショックで……。会えない時間に男性にかまってほしくなって、セフレを作ったっていう感じです。

ーなぜ彼は会ってくれなかったんですか?

私は理系の学部に通っていて、女子は数人しかいなかったんですが、学部の中で唯一あった女子グループにハブられちゃって……。昔からそうなんですけど、いつも私は女子グループに馴染めないんです。いじめられるわけじゃないけど、いつの間にか誘われなくなる、みたいな。
彼氏は、私と正反対で、男女ともに人気があるムードメーカーだったんです。それで周りの人たちに、「あんな子やめなよ」って言われたみたいなんです。
それで「一応付き合い続けるけど、みんなとも仲良くしたいから、俺とは別れたことにしてほしい」と言われました。周りには付き合っていないということにしたんです。

男性が優しくしてくれるのは「セックスできるかもしれない」という期待があるから?

体験談を語る田原さん
ーそれでも彼が好きだった?

好きでしたね。というか、彼しか大学で話せる人がいなかったし。

普通はこういうときって友達に相談するんでしょうけど、私は小学校のときからずっと女子に嫌われてきたから、女友達はいなくて。
相談相手は、いつも男友達。……ん~、正確には男友達……じゃないかも。セフレ。

男性って「セックスできるかもしれない」という期待があれば、どんな女性にも優しくしてくれるじゃないですか。話も聞いてくれる。私はセックスという行為自体はあんまり気持ちいと思ったことがないし、好きじゃなかった。でも、セックスに至るまでの男性の“優しさ”が欲しかったんです。

女同士って、仲良くしていても、急にお互いの悪口を言い始めたりするし、仲良くしている理由もあいまい。でも、男性が私と仲良くしてくれるのは、セックスしたいから。そっちのほうが分かりやすいし、信用できるなって。極端だけど、そういう考えを持っていました。

ーその後、彼とは?

変わらず付き合っていることはみんなに隠されていたし、全然会ってくれなくて。でも、私が「おごる!」って言えば、会ってくれるときもあって……。大学が忙しくて昼間はバイトが出来なかったので、私は夜にこっそりガールズバーやキャバクラで働いて、彼をいいレストランとかに招待していました。
当時、彼氏と連絡がつかなくなったら、夜のバイトで知り合って優しくしてくれた男性と、すぐに関係を持っていましたね。かまってくれたら誰でもよかった。

セフレリストの中から、連絡のつく人のところへ

体験談を語る田原さん
ーそれを彼は知っていた?

一回、私が他の人とセックスをしていることがバレたことがあるんです。
そのとき私、期待したんです。すごく怒ってくれるかなって。でも、彼氏は「そっか~」って。普通に許しちゃうんですよ。寂しくないですか? なんで怒ってくれないの? 私の事好きじゃないの?って思っちゃって……。

それでますます病んで。親身になって聞いてくれる男性に、悩みを打ち明けてました。男性とご飯に行ってそのままホテルへ――。気づいたら、8人もセフレができて、私は彼氏と会えなくなると、そのセフレリストの中から、連絡のつく人のところへ行っていました。

ーその後、どうなったんですか?

いわゆる"メンヘラ”になっていきました。彼氏にかまってほしくて、わざと浮気をしたり、ときには「死にたい。来てくれないと死ぬ」と言って、無理やり呼び出したりしてました。でも、そればかりしたら嫌われるから、セフレで寂しさを調整してた感じです(笑)。

ーなぜそこまでして彼に執着を?

ん~……、ひとり暮らしで、大学で唯一話せるのが彼氏だったからかな。あと純粋に好きだったんだと思います。セフレはあくまでも「彼氏のことを優しく聞いてくれる男性」で。でも全員、その優しさの延長線上にセックスがあった。
8人のセフレも変わった人が多くて、「彼女を大事にしたいから、お前で性欲は解消する」と言う人もいましたね。でもまぁ、私も悩みを聞いてもらったし、そのお礼にセックスするか、みたいな。

ーその後、彼氏との関係は?

その後も、付き合っていることは周りに隠されたまま、どんどん会わなくなっていって……。もう無理かなって思ったときに出会ったのが今の彼のユウキ(27歳・仮名)でした。
「彼氏と別れようかなと思っている」と相談したら、ユウキは「じゃあ、別れて俺と付き合う?」って言ってきたんです。

セックスは男性に「かまってもらうため」のもの?

体験談を語る田原さん
ーそれで別れて、ユウキさんと付き合うことに?

はい。私は「じゃあ別れる!」と、ユウキと付き合うことにしました。前の彼とは、付き合っていたのかさえわからなかったけれど(笑)

ユウキは今まで付き合った彼氏やセフレと違って、すごく私を束縛してくる人でした。

「男友達とのご飯は禁止!」「男性とご飯に行くってことはその先があるかもしれないってことでしょ!」って。女々しいって思いますよね(笑)。でも、私嬉しくて。この人、私と同じ思考なんだ!って
しかもめちゃくちゃかまってくれるから、セフレとは全員縁を切りました。

今、付き合って3年経ちます。
周りからは共依存カップルとか、メンヘラカップルとか言われるけど、今の私は、昔よりもずっと精神が安定しているし、お互い依存しあっている関係がとっても心地いい。

ー恋愛で依存関係は良くないと言いますが、田原さんにとってはそれが心地いいんですね。

はい。嫉妬したりされたり、束縛したりされたりするのが恋愛だって思います。

ただ、ユウキは好きだけど、今もセックスをするのは好きじゃありません(笑)。それでも、ユウキが冷たくなると、セックスしなきゃ!って思います。

セックスすることでかまってもらえるから。
男性に対する考え方は、今のところ、そこから変わりません。
取材・文/毒島サチコ