白石麻衣は、焦らず、ぶれない。静かな強さをまとう人。

黒いワンピースを着た白石麻衣
ワンピース¥17930/メゾンスペシャル 青山店(メゾンスペシャル) ピアス¥20900・シルバーリング¥22000/フラッパーズ(シンパシー オブ ソウル スタイル) バングル¥36850・パールリング¥27500/プラウ
乃木坂46を卒業してから約1年半。新しい世界に飛び込み新しい道を歩き、あらためて気づいた“自分らしくいること”の大切さ。人生は急がず、慌てず、頑張りすぎず、自分のペースで進めばいい。今より素敵な“未来の私”は自分自身でつくるのだから。

Profile

MAI SHIRAISHI
しらいし・まい●1992年8月20日生まれ、群馬県出身。「乃木坂46」としての活動後、映画やドラマ、CMを中心に活躍。出演作は、映画『嘘喰い』、ドラマ『ミステリと言う勿れ』など。声優に初挑戦した映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が4月15日に公開を控える


2022年MORE4月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

“変わらない”は決して悪いことではないと思う

トレンチコートを着た白石麻衣
コート¥93500/ボウルズ(ハイク) ワンピース¥85800/ブライトライト(ライト) ピアス¥17050/room3138(ローラ ロンバルディ) リング¥22000/ワームス ルミネ新宿店(ワームス)
乃木坂46を卒業してから約1年半、“新しい自分”に着替え、“新しい道”を自分の足で歩いてきた白石麻衣さん。

「卒業当時を振り返ると、最初はやはり不安だらけでした。それまでの私はグループのことを最優先に考えてきたけれど、これからは自分のことだけを考えて行動しなければいけない。自分の何をどう表現していけばいいのか、ちゃんとやっていけるのか……。新しい道を歩く自分の姿をうまく想像することができなくて」

卒業後は周りから「何か変化はありましたか?」、「新しい発見はありましたか?」、そんな質問をされる機会が多かった。そのたびに「変わらなきゃいけないのかもしれない」と気持ちが焦りそうになった時期も。でも、途中であらためて気づいたそうだ。「私はこのままでいいんだ」と。

「新しい環境に飛び込めば自分の意識も自然と変わる。それは当たり前のこと。私自身、小さな変化は多々ありました。たとえば、グループにいた頃は人見知り全開で、外の現場では隅っこで気配を消して置きもののようになってしまうこともあったのですが、ひとりになった今はさすがに“そのままじゃダメだな”と気づいて。自ら積極的にコミュニケーションを取るようになったりして。でも、“白石麻衣は変わりましたか?”と聞かれたら、その答えは“いいえ”。根本的な部分はあまり変わっていないんです」

気持ちが焦りそうな時いつも立ち止まり思う。「私はこのままでいいんだ」

ジレセットアップを着た白石麻衣
ジレワンピース¥27940・パンツ¥24970/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト) 靴¥49500/アッシュプラスエリオトロープ(ネブローニ) ゴールドイヤカフ¥18700/ノウハウ ジュエリー(ノウハウ) シルバーイヤカフ¥9900/ワームス ルミネ新宿店(ルフェール) ゴールドネックレス¥17050・ゴールドブレスレット¥14300/room3138(ローラ ロンバルディ) シルバープレートネックレス¥19800(フィリップ オーディベール)・シルバーチェーンネックレス¥13200(フィリップ オーディベール×デミルクス ビームス)/デミルクス ビームス 新宿 バングル¥60500/シップス 有楽町店(ニナ・エ・ジュール) リング¥19800/ビームス ライツ 渋谷(フォークバイエヌ)
そもそも白石さんは「変わりたくない」という思いを大切にしてきた人だ。

「そう思うようになったきっかけはデビュー当時にあるんだと思います。あの頃の私は“アイドルとして頑張らなきゃ”という思いがとても強くて。自分らしくないキャラクターを演じようと試みてしまったり、背伸びをしてから回りしてしまったり……。よかれと思って無理をした結果、気づけば自分自身を見失い迷子に。何が正解か不正解か、何を頑張ったらいいのかすらわからなくなってしまった時期があって」

そんな彼女にファンの人たちがかけてくれたのが「まいやんはそのままでいいんだよ」という言葉。自分は自分のままでいいんだと気づいた。自分を装い偽ると苦しくなる、“ありのまま”でいることの大切さを学んだ。

「私がひとりの女性として憧れるのは、自立しているカッコいい女性。自分をアップデートするための新しい挑戦を果敢に繰り返す姿を見ると“素敵だな”と思います。自分もああなれたらいいな、変わりたいなと思う気持ちは大切だと思う。それは自分自身の“成長したい”気持ちを後押ししてくれるから。ただ、そこで私がカッコいい女性を目指してストイックに努力を始めるのかというと、それはまた別の話で……。自分は違う誰かにはなれない。突貫工事で違う自分をつくり上げても、いつかほころびが必ず生じる。だからこそ、変化は急がず自分のペースで。人生を歩む道すがら、好きなもの、やりたいこと、よいものを見つけ拾い上げていく……。私にとっての変化は“変わる”というよりも“見つける”という感覚が近いんだと思います。必死にかき集めるのではなく、見つけた時に自分にプラスしていく、そんな感じなんです」

30歳を目前に心が大きく揺れた29歳

「今、“白石麻衣はどんな人ですか?”と聞かれたら、私はきっとこう答えます。“基本的にフットワークはわりと軽め、朝から元気、ごはんを食べるのが大好きな人”って(笑)。さらに、友達のことも大好きで、緊急招集がかかれば眉毛だけ描いて、ほぼノーメイク状態で飛んでいく。友達が悩んでいる時はとことん話も聞きます。ただ、メールやLINEの返信だけは遅い(笑)。脳内で“了解”の返事をしたっきり、実際に返信するのを忘れちゃうんですよねぇ」

白石麻衣、29歳。「“カッコいい女”ではないけれど、友達からは“いいやつ”と言われる、そんな自分がけっこう好きです」と笑う。

「急な変化を求めないからこそ、私は目標もめったに立てないんです。目指す場所をつくると“早くたどり着かなきゃ”って気持ちが焦ってしまうから。目の前にある“こうなったらいいな”という小さな願いは大切にしたいけど、“5年後、10年後はああなりたい”そんな大きな願いは持たないようにしていて。今年の初詣で願ったのも“健康”。シンプルにそれだけでしたからね(笑)

目の前に迫った30歳という節目に対しても同じ。白石さんの中には「30歳までに」、「30歳だから」、そんな思いはないそうだ。

「学生時代からの友達はまさに今、結婚、妊娠、出産ラッシュを迎えていて。それぞれの人生が大きく変化している最中なんです。ただ、そんな友達を見て“私も!”と気持ちが焦ったりはしないかな。と言うと、すごく潔く聞こえるかもしれないけど、実は全然そんなことなくて(笑)。29歳を迎えたばかりの頃は“20代が終わってしまう”と心が大きく揺れました。アイドルとしては充実した時間を過ごすことができたけれど、ひとりの女性としては“あれもしていない”、“これもしていない”がたくさんあったので。でも、考え方を変えれば、私はまだこの先に未経験のお楽しみがたくさん待っているということなんですよね。人の歩むペースは人それぞれ、私は少し遅れているかもしれないけど、ゆっくり歩いていきたい自分にはこのスピードが合っているのかもしれないなって」

「30歳だから」は呪いの言葉

ベージュのジャケットを着て寝そべる白石麻衣
ジャケット¥38500/シンゾーン ルミネ新宿店(ザ シンゾーン) ワンピース¥49500/デミルクス ビームス 新宿(アンスクリア) イヤカフ¥13200/ロードス(ジュゲ) イヤカフ(リングとして使用)¥18480/ノウハウ ジュエリー(ノウハウ) チョーカー¥23100/ドール(フミエタナカ) シルバー太リング¥19800/ビームス ライツ 渋谷(フォークバイエヌ)
今も昔も周りから言われるのが「変わらないね」という言葉。白石さんは「その言葉を聞くと安心するんです」と微笑む。

女性には“30歳だから”、“独身だから”、“お母さんだから”、そんなたくさんの“呪いの言葉”が存在する。だからこそ“変わらなきゃ”と気持ちが焦ることも多いと思う。でも、周りが何を言おうと中身は自分のまま。どんな肩書をつけられたところで、そんなに簡単に変わることはできないし、急いで変わらなくていいと私は思うんです」

大事なのは周りがどう思うかではなく、自分がどんな自分でありたいか。その答えを自分で出しながら前に進むこと。

「足が速い人は速く走ればいいし、そうじゃない人はゆっくり進んでもいいんです。周りからはちっぽけでつまらない変化に見えても、その積み重ねがきっと、今より素敵な未来の自分をつくってくれると思うから
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撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/林 由香里 スタイリスト/石上美津江 取材・原文/石井美輪 構成・企画/青山玲子(MORE)