関ジャニ∞安田章大さんが“ありのまま”で生きる理由「ちゃんと傷つき、その傷と向きあいながら歩いていきたい」

安田くんのやさしさ学。

この日、スタジオのテーブルに並んだお昼ごはんを見て「用意してくれたん？　うれしいなぁ、ありがとうね」と微笑み、「今はお腹いっぱいやから家で食べるね」とお弁当をひとつ抱きかかえた。その笑顔とやさしさと気遣いで、周りの人の心をポッと温めてくれる人。関ジャニ∞の“真心”と称される、安田章大さんが語った「やさしさとは」。

安田章大さんプロフィール

やすだ・しょうた●1984年9月11日生まれ、兵庫県出身。国民的アイドルグループ「関ジャニ∞」のメンバーとして、主にメインヴォーカル、リードギターを担当。音楽業のほか、映画、舞台など俳優業でも活躍するなどマルチな才能を発揮する

やさしく生きるためのコツ

すべてを受け入れること

20代前半、芸能界という特別な世界で生きていくのが苦しくて、「このまま続けていくべきか」すごく悩んだ時期がある。そんな時、僕を救ってくれたのが自然でした。でっかい海や山や空を目の前にすると自分が、自分の悩みが、ちっぽけなものに思えた。そこから僕は悩みにあらがうのをやめました。イヤな人、大変なこと、つらいなと思うこと……生きているといろんなことや人に出会うけれど、それを受け入れて、向きあって、自分はどう変わっていけるのか考えて前に進んだほうが人生は豊かになる気がするから。今、大きな悩みが訪れたとしたら僕はきっと「そういう流れなんだな。これも経験だな」と受け入れるんだと思う。それができるのは「すべての経験はムダではない」という自分の経験と自信があるからなのだと思います。人間は考えることができる生き物だから、ひとつひとつの出来事を難しく受け取ってしまいがちだけど、どんなに悩んで解決しようと試みたところで、今の自分のちっぽけな力でできることは限られているんですよね。だから僕はあらがわずに受け入れる。雨が降って山に水がしみ込んでいくように。それはいずれ大きな川になる、この経験はいずれ何かにつながる。月日がたった時に、今の自分が抱えているこの悩みを成長した自分が解決してくれると僕は考えています。

“ありのまま”で生きる

僕は自分にも周りにいる人にも嘘をつきたくない、誰の前でも“ありのまま”の自分でありたいと思っています。すると、たまにこんなことを言われたりします。「自分をごまかして生きたほうがラクなこともある。常にありのままで生きるのは大変じゃないですか？」ある意味、ありのままは自分をむき出しにして生きること。それだけに、傷つくことは多いのかもしれない。多くの人は自分の内側にあるやわらかくて傷つきやすいところを必死にかばいながら生きているのかもしれない。ときに嘘をついたり、愛想笑いをしたり、周りと足並みを揃えるために、思ってもいないことに頷いたりして。でも、家に帰ってひとりになった時気づくと思うんです。心がどんどんヘトヘトに疲弊していくことに。たとえ自分のやわらかい部分を守れたとしても、それをかばっていたほうの両腕はきっと傷だらけになっている。自分を守っているつもりが、逆に自分を傷つけてしまうこともあるんですよね。だったら、僕はやわらかい部分も隠さずにありのまま生きて、ちゃんと傷つき、その傷と向きあいながら歩いていきたい。いくつもカサブタをつくった皮膚は硬く強くなるのと同じで。そのほうが、人としての成長速度も早い気がしています。

一秒、一秒を全力で

僕は「明日は来ないものだ」と仮定して生きています。それはきっと、僕が大きな病気を経験したのが大きいのかもしれない。「明日が来るのは当たり前ではない」と思うと一日一日が、一秒一秒がとても大切なものになる。ただ歩いていても楽しいし、息を吸っていても楽しい。最近の僕はもう1年間くらい「朝食はこれ」、「夕食はこれ」とメニューを決めて同じものを食べ続けて生きているんですけど、同じものを毎日食べても、毎日おいしいんですよ。大人になると経験がどんどん増えていく。それは決して悪いことではないけれど、ときに自分の中からもともとあった喜びや感動を奪ってしまうこともある。だから、子供の頃はあんなに楽しかった公園遊びが大人になると物足りなく感じてしまうんやろうけど。僕なんか、いまだに砂遊びするだけで楽しいし38歳になった今でも、箸が転がっただけで大笑いできますからね（笑）。一秒一秒を全力で生きると心がちゃんと反応するようになる。それは周りにいる人に対しても同じで。「ああしとけばよかった」、「こうしとけばよかった」と後悔を残したくないからこそ、僕はよりまっすぐ人と向きあえるような気がしています。