いつか私も……に備えて。産む前に知っておきたい、妊娠&出産Q&A

モア世代が知っておくべき基礎知識から先輩ママへのアンケートまで、妊娠・出産のリアルがここに。
●全国の26〜34歳までの既婚&出産経験のある女性200人に、インターネット調査を実施

教えてくれたのは、住吉香恵子先生
産婦人科医。「杉山産婦人科 世田谷」にて、産科専門で妊婦健診を担当。わかりやすく丁寧な診察と親身なカウンセリングに定評あり

妊娠・出産の基礎知識

知らなかったと後悔する前に、まずは基本をおさらい。産むための準備はここから!

Q.1 生理がきていれば妊娠できますよね?

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A. 生理がある=妊娠可能とは言いきれません
「妊娠の始まりは、精子と卵子が出会うこと。卵巣から月経周期ごとに無事に排卵されるのは、たったひとつの卵子です。それが月経周期のたびにきちんと排卵されていれば妊娠の第一関門はクリアです。ところが、月経があっても排卵していない『無排卵周期症』のケースもあるため、生理がある=妊娠可能とは言いきれません。排卵されない原因は、ストレスや急激な体重減少、激しい運動などといわれます」(住吉先生、以下同)

Q.2 産むのは早いほうがいい?

A. もちろん早いほうが体力的にもベスト!
「子育てにも体力が必要なことを考えると若いうちがベスト。卵子のもととなる卵母細胞は、自分がお母さんのお腹の中にいる頃につくられ、それ以降は新たにつくられることなく体と同じように老化していきます。妊娠5カ月頃の胎児には約700万個ありますが、出生時には200万個、思春期には約30万個、30代で5万個にまで減少! さらに、卵子が老化すると流産や赤ちゃんの染色体異常などのリスクが上昇します」

Q.3 避妊しなければ授かりますよね?

A. 6組に1組が不妊といわれています
「排卵した卵子が卵管を通り、膣から子宮内を移動してきた精子と出会うことで妊娠します。この過程のどこかに問題があると妊娠成立には至りません。しかも、受精のタイムリミットは24時間程度しかないんです。さらに、不妊の原因が男性側にあるケースは、48%といわれます。20代は働き盛りなのでなかなか想像しにくいとは思いますが、妊娠率は30歳頃から徐々に下降を始め、35歳から急激に低下します」

Q.4 妊娠中〜出産後は薬が飲めないって本当?

A. 特に問題はないけれど、まずは相談を
「一部の抗うつ剤やてんかんの薬といった特殊なものを除けば、妊娠中も服用できる薬は少なくありません。持病のある方はもちろん、風邪薬や鎮痛剤、抗生物質など、妊娠週数や薬の性質からより適したものを選択する必要があるので、まずは主治医に相談を。『国立成育医療研究センター』のホームページ内にある『妊娠と薬情報センター』では、妊娠中、授乳中に安全に使用できると考えられる薬の一覧を確認することができます」

Q.5 妊娠中、食べちゃいけないものってあるの?

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A. 生ものやナチュラルチーズなどに注意を
「妊娠中は普段に比べて感染しやすい状態なので食中毒などに要注意。未殺菌の牛乳、ナチュラルチーズ、スモークサーモンや生もの、生野菜などに含まれるリステリア菌は髄膜炎や敗血症を起こすことがあります。妊娠中に初めて感染すると赤ちゃんに異常が出ることがあるトキソプラズマも生肉や生野菜で感染するので、生野菜はよく洗い、お肉を含め生ものはしっかり加熱調理して食べましょう。トキソプラズマは猫の排泄物や土にも寄生するので処理時は手袋着用はマスト」

Q.6 妊娠中はムダ毛が増えるって聞いたけど……

A. 一時的に濃くなるだけなので安心を!
「妊娠中に増加するエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンが色素産生を促進し、メラノサイトを刺激するホルモンも妊娠中は増加することが知られています。つまり、ホルモンの影響で色素沈着が強くなっていると言えます。ムダ毛も増えたのではなく、メラニン色素の影響で濃くなり目立っているだけ。おへそから恥骨に向けてまっすぐ伸びる茶色いライン(正中線)が目立つのも同じ理由。どれも妊娠による一過性のものです」

Q.7 無痛分娩ってリスクはないの?

A. もちろんゼロではないけれど、メリットもいっぱい
「無痛分娩は硬膜外麻酔という医療行為を伴うので、リスクがゼロというわけではありませんが、血圧や組織の酸素飽和度をモニターしたり、麻酔の効果をこまめにチェックすることで安全に管理できます。『痛みを伴わないと愛情がわかない』と言われることもあるようですが、そんなことはありません! 痛みに対する身体的・精神的ストレスの軽減や子宮胎盤の血流改善、胎児のストレス低下といったメリットもあるんですよ」

Q.8 妊娠中は歯の治療NGなんですよね?

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A. NO! むしろ早めの治療を!
「よくある誤解のひとつですが、まったく問題ありません。歯科治療は、レントゲン検査のほか治療時の局所麻酔や抗生剤投与も含めて妊娠中でも安全に行うことができます。予約や診察の際に、妊娠中であることを伝えておきましょう。それでも不安があるようなら、主治医にじっくり相談してみてください。むしろ歯周病を放っておくと早産につながる場合があるので、デンタルヘルスはとても重要です。放置せず早めに治療しましょう」
構成・文/国分美由紀 イラスト/田中麻里子