12/15(日)のプレビュー公演を皮切りに、公演が始まる音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」の主演を務める、俳優の松下優也さん。10代の頃から数々の舞台で主演を務め、歌手としても活躍する彼は、現在29歳のモア世代。舞台に挑む俳優としての想い、もうすぐ30歳を迎える男性としての意気込みを語ってくれました。

ロード・エルメロイⅡ世は、29歳の今だからこそできる役柄です

【松下優也さんインタビュー】音楽劇「ローの画像_1
——まずは今回の音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」の主演に決まった時の気持ちを教えてください。

「2.5次元の舞台は久しぶりだな、と思いました。2016年の春に出演させていただいた『暁のヨナ』という舞台以降は機会がなかったので。そもそも2.5次元の舞台はキャラクターの設定も若く、俳優さんも20代前半の方が多いんですよ。僕の初舞台も、19歳のときに出演したミュージカル「黒執事」という作品でした。でも今回演じるロード・エルメロイⅡ世は大人ですし、29歳という今の自分だからこそできる役柄だと思っています。原作のファンの方もたくさん観に来てくださると思うので、今作もなるべく原作のキャラクターに近づけられるよう意識していますね」

——公開されたビジュアルも完成度が高いと既に話題です。ご自身で気に入っているポイントや、こだわりはありますか?

「こだわりというか“ここが大事なんだろうな”と思っていたのは、スーツを着て手袋をつけた時の、その隙間から見える肌。いわゆる“絶対領域”みたいなものですね(笑)。基本的に肌がほとんど見えないキャラクターなので、それが見えた時の生身の人間っぽさが、エモくて大事みたいです(笑)」

——たしかに、ちょっと隙を見せられたようでドキッとします!

「僕自身、そのエモさはあまりわからないんですけどね(笑)。あと表情で気をつけたのは、眉間のシワ。ずっとその表情で演技をするわけではないですが、ビジュアル撮影の時は無理のない程度に意識していました」
【松下優也さんインタビュー】音楽劇「ローの画像_2
——では、今作で注目してほしいポイントはありますか?

「僕の膨大なセリフ量です!……というのは冗談で(笑)。注目ポイントというか、舞台をより楽しむ方法としてお勧めしたいのが、先に原作小説やマンガを読んでいただくことですね。これは作品の良さでもあるのですが、普段なじみのない難しい言葉がたくさん出てくるんですよ。セリフの“音”だけで聴くと理解しきれないかもしれないので、まず“文字”で見ておく方がより楽しめると思います。それに “マンガで読んだあのシーンが舞台で再現されてる!”って思える方が楽しくないですか?」

——原作を大事にしている松下さんならではのご意見かもしれませんね。

「やっぱり原作あっての舞台ですからね。いきなり舞台を観に行くよりも小説やマンガの方が手に取りやすいでしょうし、僕らもそれを頼りにやっているので」

——ちなみに、その膨大なセリフはどうやって覚えているんですか?

「それはもう、やるしかないです(笑)。僕にとっては覚えてからの稽古の方が大事なので、覚えるまでの過程はあまり意識していないかもしれません。俳優がセリフを覚えるのは、アスリートが競技のルールを覚えるのと同じレベルのことだと思っていて。ドラマも舞台も台本があって初めて成り立つものなので、その作品のルールみたいなものじゃないですか。それに他の俳優さんがいてこそのお芝居なので、自分ひとりでセリフをガチガチに固めるよりも、ある程度作ったベースを稽古場に持って行って、臨機応変に対応することの方が大事だと思うんです。……と言いつつ、“うわ、このセリフ全部覚えられるかな”って今でも思ってはいます(笑)。だから、やるしかないってことですね!」
【松下優也さんインタビュー】音楽劇「ローの画像_3
——松下さんは2020年で30歳を迎えられます。年齢はひとつの節目だと考えますか?

「節目というよりは、何か新しいことの始まりだと考えています。2020年は東京オリンピックもあるし、世の中もいろいろなことが変わっていくときじゃないですか。それと同じように、自分にもまた新たなスタートがあるのかな、と期待しています」

——では、何か具体的に始めたいことはありますか?  

「んー……(熟考して)、特にないかもしれない。もういつ30歳になってもいいと思っているんですよ。明日が誕生日でもいいくらい(笑)。年齢を重ねれば重ねるほどいろいろなことを理解できるようになって、どんどん楽しくなっていくと思うんです。実際、10代の頃より今の方が楽しいですし」

——10代の頃から、年上の方に囲まれてお仕事をされてきたことも影響しているんでしょうか。

 「そうかもしれないですね。周りの先輩方が楽しそうにしている姿を、ずっと間近で見てきたので。もちろん“年齢的に今やっておいた方がいい”ということは絶対にあるだろうし、自由になれる分だけ責任も増えていくけれど……でも30歳になることは純粋に楽しみです」

——では、これから始まる舞台、そして30歳からの活躍にも期待しています!

「ありがとうございます、頑張ります!」


まつした・ゆうや●1990年5月24日生まれ、兵庫県出身。2008年、『foolish foolish』でデビューし、翌2009年『音楽舞踏会 黒執事〜その執事、友好〜』での舞台初主演を皮切りに、舞台にも数多く出演。2016年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』に岩佐栄輔役で出演し、大きな話題となる。主演を務める舞台『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-』は、12/15(日)市川市文化会館大ホールプレビュー公演を皮切りに、12/19(木)より本公演がスタートする。

音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」

【松下優也さんインタビュー】音楽劇「ローの画像_4
三田誠が描く至高の魔術ミステリーが、ついに舞台化! 脚本に斎藤栄作、演出に元吉庸泰、音楽に和田俊輔、総合演出にウォーリー木下という豪華スタッフ陣が顔を揃え、主演は俳優・アーティストとして確かな実力を持つ、松下優也が務める。
▶︎▶︎音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case. 剥離城アドラ-」公式サイトはこちら
取材・文/堀越美香子 撮影/齋藤晴香 スタイリスト/鹿野 巧真 衣装協力/YOKE Enharmonic TAVERN