【柄本 佑さんインタビュー】宮藤官九郎さん新作舞台『もうがまんできない』出演。「すっきりデトックスできる作品」
想い出や思い入れのある劇場に初めて立つ。身が引き締まりますね。
ストレスを抱える人々を描いた群像劇『もうがまんできない』は、宮藤官九郎さんの5年ぶりの書き下ろし新作舞台。柄本佑さんは、「大人計画」の舞台に初参加する。
「10代の頃、うちの父親に『大人計画おもしろいよ』と言われて、初めて観にいかせてもらいました。そこで宮藤官九郎さんの存在を知ったんですけど、作風がとっても好きなんですよね。だから今回お話をいただいた時はすごくうれしかったです」
ただし劇団に客演として参加するのは、喜びと違う緊張もあるようで。
「『こいつガンガン来るな』って思われるのもイヤだし、緊張してるのを不機嫌と思われてもイヤだし。どんな顔で稽古に行けばいいかわからないんです。(荒川)良々さんとはよく飲み屋で会うんですけど、それで稽古場で心の拠り所にするのも違うよなーって。ほかにも共演して仲よくしていただいている方もいるのですが、だからこそ意識してしまう。『どんな足音で歩けばいいんだ?』とかまで考えちゃいますね(笑)」
そして東京公演が行われるのは、演劇の聖地・本多劇場。演者として立つのは、これが初めてとなる。
「(父・明さんが主宰する)『劇団東京乾電池』の本公演が本多劇場である時は、小学校から帰ると楽屋にランドセルを置いて、劇団員に下北沢で遊んでもらっていました。どの席から観ても作品を楽しめるサイズ感だし、親父や弟が言うには声の聞こえ方がいいから役者が5割増しに見えるそうなんです。ただあそこの階段がね、昔っから怖いんですよ。明るいロビーから急に暗くなるから。でも、いい劇場ってそういうもんですよね。匂いとか歴史とか怪しさを含めて、濡れた色気のある劇場だと思います。思い入れがあるので身が引き締まりますし、ある種いよいよ家に帰る感じもする。それこそオレ、劇場にどんな顔して行けばいいんだろ(笑)」
ちなみに柄本さんといえば映画フリークとして有名。最後にモア読者におすすめの映画を聞いてみると意外な想い出が飛び出した。
「おすすめはアンナ・カリーナの『はなればなれに』。学生時代に観て『同じ教室にいないかなー』って探したことがあるんです。それくらいかわいいんです! いや、教室にいるはずないんですけどね(笑)。でも、いないから映画を観るわけで。僕もこの間役柄で不倫しましたけど、できないことを疑似体験できるのが物語のおもしろさ。『もうがまんできない』も、我慢できない人たちを観ているうちに、すっきりデトックスできる作品だと思います」
えもと・たすく●1986年12月16日生まれ、東京都出身。2003年に映画『美しい夏キリシマ』の主演でデビュー。映画『Red』、『きみの鳥はうたえる』、ドラマ『心の傷を癒すということ』、『知らなくていいコト』など話題作に出演。舞台出演は2018年の『秘密の花園』以来2年ぶり
「10代の頃、うちの父親に『大人計画おもしろいよ』と言われて、初めて観にいかせてもらいました。そこで宮藤官九郎さんの存在を知ったんですけど、作風がとっても好きなんですよね。だから今回お話をいただいた時はすごくうれしかったです」
ただし劇団に客演として参加するのは、喜びと違う緊張もあるようで。
「『こいつガンガン来るな』って思われるのもイヤだし、緊張してるのを不機嫌と思われてもイヤだし。どんな顔で稽古に行けばいいかわからないんです。(荒川)良々さんとはよく飲み屋で会うんですけど、それで稽古場で心の拠り所にするのも違うよなーって。ほかにも共演して仲よくしていただいている方もいるのですが、だからこそ意識してしまう。『どんな足音で歩けばいいんだ?』とかまで考えちゃいますね(笑)」
そして東京公演が行われるのは、演劇の聖地・本多劇場。演者として立つのは、これが初めてとなる。
「(父・明さんが主宰する)『劇団東京乾電池』の本公演が本多劇場である時は、小学校から帰ると楽屋にランドセルを置いて、劇団員に下北沢で遊んでもらっていました。どの席から観ても作品を楽しめるサイズ感だし、親父や弟が言うには声の聞こえ方がいいから役者が5割増しに見えるそうなんです。ただあそこの階段がね、昔っから怖いんですよ。明るいロビーから急に暗くなるから。でも、いい劇場ってそういうもんですよね。匂いとか歴史とか怪しさを含めて、濡れた色気のある劇場だと思います。思い入れがあるので身が引き締まりますし、ある種いよいよ家に帰る感じもする。それこそオレ、劇場にどんな顔して行けばいいんだろ(笑)」
ちなみに柄本さんといえば映画フリークとして有名。最後にモア読者におすすめの映画を聞いてみると意外な想い出が飛び出した。
「おすすめはアンナ・カリーナの『はなればなれに』。学生時代に観て『同じ教室にいないかなー』って探したことがあるんです。それくらいかわいいんです! いや、教室にいるはずないんですけどね(笑)。でも、いないから映画を観るわけで。僕もこの間役柄で不倫しましたけど、できないことを疑似体験できるのが物語のおもしろさ。『もうがまんできない』も、我慢できない人たちを観ているうちに、すっきりデトックスできる作品だと思います」
えもと・たすく●1986年12月16日生まれ、東京都出身。2003年に映画『美しい夏キリシマ』の主演でデビュー。映画『Red』、『きみの鳥はうたえる』、ドラマ『心の傷を癒すということ』、『知らなくていいコト』など話題作に出演。舞台出演は2018年の『秘密の花園』以来2年ぶり
『ウーマンリブvol.14「もうがまんできない」』
雑居ビルの屋上を舞台に、ライブの本番前にネタ合わせをしている解散寸前のお笑いコンビ(柄本佑、要潤)、デリヘル嬢と店長、浮気妻と間男が交差するワンシチュエーションの群像劇。◆4/2〜5/3 下北沢 本多劇場(大阪公演あり) ●大人計画 ☎03・3327・4312
取材・原文/松山 梢 撮影/森脇裕介 ヘア&メイク/根本亜沙美 スタイリスト/林 道雄 衣装協力/インターナショナルギャラリー ビームス