絶対ロスになる! キム・テリ×ナム・ジュヒョク主演『二十五、二十一』は輝かしい“あの頃”を思い出させてくれる青春ドラマ【韓ドラオタクおすすめの1本】
青春は永遠? 夢を奪われた若者たちの成長と初恋を描く
韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は、18歳と22歳の男女が21歳と25歳になるまでの青春時代を描き、ロスに陥るファンが続出した『二十五、二十一』のあらすじや見どころを紹介します。
『二十五、二十一』
全16話
出演:キム・テリ、ナム・ジュヒョクほか
Netflixシリーズ「二十五、二十一」独占配信中
あらすじ
アジア通貨危機で韓国が深刻な経済不況に陥っていた1998年。予算を減らされたことでフェンシング部が廃部になってしまったナ・ヒド(キム・テリ)は、フェンシングを続けるために憧れの選手コ・ユリムが通う高校に転校する。同じ頃、ペク・イジン(ナム・ジュヒョク)は、裕福な家庭に育つも不況の影響で父の会社が倒産し、大学を中退してアルバイトを掛け持ちしながら生計を立てていた。時代に夢を奪われた2人は、18歳と22歳で初めて名前を呼び合い、お互いを励ましながら支え合う関係になっていく。
ここが見どころ!
皆さんは、放送終了から時間が経っても忘れられないドラマやキャラクターはいますか?
韓国ではロスのことを「후유증(読み:フユチュン、意味:後遺症)」のほかに「앓이(読み:アリ、意味:患う)」と言います。「후유증」は作品そのものをさす時に使われる一方で、「앓이」には特定の人物を意味するニュアンスが含まれ、主に登場人物や俳優の名前につけて「〇〇앓이」と表現します。
私にとっては、今回ご紹介する『二十五、二十一』のペク・イジン(ナム・ジュヒョク)がまさにその一人。今でも振り返るたびに胸がギュッとなるほど“患っている”キャラクターです。前述の通り表現するなら、“ペク・イジン앓이”というわけです。
1997年、韓国はアジア通貨危機や財閥の倒産などの煽りを受けて経済危機に陥り、「国際通貨基金(IMF)」の救済を受けることになります。本作で登場する「IMF」とはこのことです。1998年には2万社あまりの企業が倒産したと言い、物語はこの時代を舞台に描かれます。
イジンは名門大学に真っ赤なオープンカーで通うお坊ちゃまでしたが、父親の会社が倒産してしまい、22歳で小さな部屋を借りて一人暮らしすることに。
若くして夢も希望も失くしてしまったイジンが引っ越した町で出会うのが、夢に向かって突き進む18歳のナ・ヒド。IMFのせいでフェンシング部が潰れちゃったけど、最年少金メダリストのコ・ユリム(宇宙少女・ボナ)がいる高校に転校しちゃえばいいじゃん!と逆境を逆手に取るポジティブで明るい女の子です。
2人はイジンがアルバイトでヒドの家に新聞を配達した時に出会い、偶然の再会が重なって仲を深めていきます。
父の破産で多くの人が苦しんでいることから「どんな瞬間も僕は絶対に幸せにならない」と十字架を背負っていたイジンの心を「これから私と遊ぶ時だけこっそり幸せになるの」とヒドが溶かし、イジンは母親と折り合いが悪く孤独を抱えるヒドの癒しの存在となって絆を育む過程がこの上なくピュア。4歳差だけど年上男子×年下女子ではなく、対等な目線でお互いを高め合っていく2人が美しくて、どこかはかなくて、胸が熱くなります。
オッパだけどオッパ扱いされないペク・イジンですが、めちゃめちゃオッパなんですよ!!
フェンシングに打ち込むヒドを「誰よりも負けた経験で階段を積み上げてきた。ほしいものを手に入れろ」「ヒドには一瞬でも無駄な経験はさせたくない。幸せな経験だけしてほしい」と全肯定して応援してくれる頼もしさ。しかも、ヒドを見つめる眼差しが穏やかで優しくて、めちゃめちゃ甘い。この眼差し、(ときめきすぎて)有罪です。
クリーンな魅力と超絶ハンサムなのに素朴さも兼ね備えるリアコ感から、“現実彼氏”の異名を持つナム・ジュヒョクの演技力とのシナジーが最高で、あなたもきっと「あれ、私の初恋ってペク・イジンだったかな?」と記憶操作されてしまうはず。
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包容力MAXな眼差しが沼すぎる。
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切ない目の演技も圧巻。
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ヒドの顔についたチョコアイスを拭いてあげるイジン。
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この甘い笑顔は患うしかないです。
実は、実年齢ではキム・テリが年上。1990年生まれのキム・テリは、当時31歳で高校生役を演じたわけですが、本当に18歳にしか見えません。自分の感情に素直で、純粋無垢ゆえに怖いもの知らずなところ、あどけないかわいさまで、本作のキム・テリは完全に10代そのもの。「あなたがどこにいても私が応援を届ける」とイジンを明るく照らし続けるヒドを見ていて、“キム・テリが演じるナ・ヒド”ではなく“ナ・ヒド”という一人の女の子として心を掴まれました。
未来を向いて高め合ってきた2人ですが、大人になるとその関係は少しずつ変わっていきます。イジンはTV局の記者、ヒドは国家代表選手となり、それぞれ多忙を極める中で、相手に負担をかけたくないイジンと喜びも苦しみもすべて分かち合いたいヒドはすれ違うようになり……。リスペクトし支え合う気持ちはあの時のままでも、人生のチャプターが変わってしまった。そのことに2人は気づいてしまった。青春が終わってしまったんですね。
お互いに思い合っているのにうまくいかない。頑張るほど遠くなっていく。そんな変化が切なくて切なくて……。2人が結ばれるまでが丁寧に描かれるおかげでどっぷり感情移入できちゃうので、まるで自分が経験したかのように胸が張り裂けそうになります。
夢に恋に友情に全力だったキラキラと眩しい時期は一瞬で過ぎ去ってしまうからこそ青春なのであり、永遠に続かなくてもその一瞬があったことは永遠に変わらない。そして、それは人生の宝物になる。本作は、そんなメッセージを伝えてくれているのだと思います。
青春の終わりを迎えたイジンとヒドがどのような道を選ぶのか。青春真っただ中の人も、青春が過ぎ去った人も、自分の思い出と重ねながら一緒にときめき、苦しみ、共感できる『二十五、二十一』。書いていたらまたペク・イジン앓이を発症しちゃいました。N回目の視聴、いってきます。
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『二十五、二十一』
全16話
Netflixシリーズ「二十五、二十一」独占配信中