絶対に損をしたくないヒロイン×人に被害を与えたくない聖人君子が繰り広げる偽装結婚ラブコメディ

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。今回は、2024年8月~10月にかけて放送・配信された話題作、『損するのは嫌だから』のあらすじと見どころを紹介します。

損するのは嫌だから シン・ミナ

Amazon Original『損するのは嫌だから』
全12話
出演:シン・ミナ、キム・ヨンデ、イ・サンイ、ハン・ジヒョンほか
Prime Videoで独占配信中

あらすじ

損をすることが何よりも嫌いなソン・ヘヨン(シン・ミナ)。会社の同僚である元カレの結婚式で二股をかけられていたことを知り、ご祝儀を損してしまう。さらに、ヘヨンが働く「クルビ教育」は子供がいる家庭をターゲットにしているため、スピード出世が狙える社内アイデア公募も、手厚い会社の福利厚生も、既婚者のほうが圧倒的に有利。独身という理由で損することに納得できないヘヨンは、行きつけのコンビニ店員キム・ジウク(キム・ヨンデ)に新郎のアルバイトを持ちかける。

ここが見どころ!

ラブコメクイーンと名高いシン・ミナと『ペントハウス』『流れ星』などで話題の若手俳優キム・ヨンデによるラブコメディ。実年齢12歳差の2人がカップルを演じることで放送前から話題を呼び、放送が始まると「見始めたら止まらない」「ほっこりしてキュンキュンする」「一生観ていたい」と“沼る”視聴者が続出しました。16話構成が多い韓国ドラマの中では短めの全12話なので、そのおもしろさにドハマりしつつ、寝不足にならない範囲でイッキ見が可能です!

まず、注目したいのがヒロインの名前。韓国語で「損害」は「ソンヘ」、「0(ゼロ)」は「ヨン」と発音します。つまり、ソン・ヘヨンという名前は「損害ゼロ」というダブルミーニングになっているんです。また、ヘヨンはジウクを「ピョン」と呼びますが、韓国語で「コンビニ」は「ピョンウィジョム」、「夫」は「ナムピョン」、そして「味方」は「ピョン」。すべて「ピョン」という音が共通しているんです。こうした言葉遊びも韓ドラの魅力のひとつですよね。

そして、これは私の予想ですが、ジウクはヘヨンを「ソンニム(お客様)」と呼んでいて、ヘヨンの苗字は「ソン」。韓国では相手を苗字だけで呼ぶ風習はないけれど、音だけで考えると「ソン様」にもなり、コンビニ以外の場所で呼んでも怪しまれない“愛称っぽさ”が出るような仕掛けになっているんじゃないかなと思いました。

それでは、本題へ!
「ラブコメクイーン」という修飾語が存在するように、ラブコメはヒロインをいかに魅力的に描くかが視聴者の心を掴むうえで重要なポイントだと思うのですが、打算的なヘヨンを見ていて嫌な気持ちにならないのは、相手にも損をさせたくないという優しさが根底にあるから

偽の結婚式を挙げるというぶっ飛んだところはあるものの、誰かを蹴落として利益を得ようとするのではなく、損しないために頑張っているだけ。だから、ヘヨンが損だと不満を抱くポイントは「言われてみればたしかにな……」と共感できることなんですよね。両親が保護が必要な子どもたちを受け入れる里親をしていて、自分に注がれるはずだった愛情や関心が里子たちに向けられていると感じて育ったことがヘヨンの性格に影響しているのですが、優しい両親に似た愛情深さが滲み出ていてすんなりと感情移入することができます。

損するのは嫌だから シン・ミナ

ヘヨンのオフィスルックもかわいくて終始眼福!

損が大嫌いなヘヨンに対して、ジウクは“聖人君子”と呼ばれるほど他人に被害を与えることが嫌いな男。一度は“1日新郎”のアルバイトを断るも、ヘヨンのアルバイト募集が悪用されかけていることに気づき、仕方なく新郎役を引き受けることに。結婚式だけを挙げて終わるはずが、ある事情からヘヨンの会社に入社せねばならなくなり、今度は偽装夫婦を演じるのですが……。

損するのは嫌だから キム・ヨンデ

 2017年にデビューしたキム・ヨンデは、中学生の頃からシン・ミナのファンだったそう!

ヘヨンが33歳、ジウクは26歳。7歳差の年下男子だけど、柔和で落ち着いた雰囲気をまとい、ヘヨンの隣を守り続けるジウクが頼もしい。クールとイノセントが共存するキム・ヨンデの魅力が引き立っていて、また新たなはまり役に出合ったのではないでしょうか……! ジウクの助け舟に乗りながら豊かな人生経験を武器にトラブルと向き合い、恋愛に関しても「私たちのことだけを考えられる時に交際を始めたい」とはっきり伝える大人の余裕があるヘヨンもかっこよく、心地よい安心感に癒されるラブコメに仕上がっています。

もちろん、年の差恋愛の醍醐味であるかわいい年下男子×一枚上手な年上女子の胸キュンモーメントもしっかりたっぷり登場しますのでご安心を。仏頂面だったジウクが後半に進むにつれて甘さ全開になるギャップは、沼落ち不可避どころか、助走をつけて沼に飛び込みたくなるはず。第5話からヘヨンを見つめるジウクの眼差しが優しくなったな~と変化を感じていたのですが、後にその理由が明かされるので、ぜひ注目しながら楽しんでいただきたいです。

  • 損するのは嫌だから ハン・ジヒョン

    ナム・ジャヨン。ヨン・ボラのペンネームで成人小説の作家をしている。

  • 損するのは嫌だから イ・サンイ

    ポク・キュヒョン。「クルビ教育」のCEO。母がヨン・ボラの読者であることにショックを受ける。

サブカップルもこれまた魅力的。ヘヨンの両親の里子で、ヘヨンの同居人のジャヨンを演じるのは、『ペントハウス』でキム・ヨンデと双子役を演じたハン・ジヒョン。相手役のキュヒョンを『海街チャチャチャ』でシン・ミナに片思いするPD役を演じたイ・サンイが務めています。それぞれがメインカップルと共演歴がある俳優が起用されているなんて、韓ドラファンとしてアガらずにはいられないポイント!

また、ハン・ジヒョンとイ・サンイは、同じくPrime Videoで配信中のスピンオフドラマ『社長のお品書き』でも共演しています。ジャヨンが自身の作品の主人公になり、小説の中のキャラクターのカン・ハジュンと恋に落ちるロマンスファンタジーに仕上がっているので、そちらもぜひチェックを。

本編に話を戻しまして、ジャヨンとキュヒョンは作家とアンチとして出会うのですが、本作では誹謗中傷の書き込みといった現代社会のさまざまな問題も描かれます。その一方で、シリアスなシーンにも必ずコミカルな要素が盛り込まれていて、ぐっと集中した次の瞬間には爆笑させられるという緩急が絶妙。特に、イ・サンイとヘヨンの元カレ役のソン・ウォンソクの活躍が素晴らしく、あなたたちがいてくれてよかった~! と心の中で何度も感謝しました。

2024年に観たドラマの中でいちばん笑い、シン・ミナのキュートな魅力に、キム・ヨンデの年下男子のメロさに癒された『損するのは嫌だから』。コミカルなシーンは笑い声をこらえるのが不可能なレベルなので、外で観る時は周りに人がいないか確認することをおすすめします(笑)。

配信サイト

『損するのは嫌だから』
全12話
Prime Videoで独占配信中

Amazon Original『損するのは嫌だから』

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社長のお品書き

『社長のお品書き』
全2話
出演:イ・サンイ、ハン・ジヒョン、イ・ユジンなど
Prime Videoで独占配信中

Amazon Original『社長のお品書き』