超話題作『照明店の客人たち』脚本家・カンフルさんにインタビュー!
話題沸騰のドラマ『照明店の客人たち』脚本家にインタビュー!
12月4日に配信スタートしたドラマ『照明店の客人たち』(ディズニープラス スター)は、2023年、世界中で注目され、数々の賞を受賞したドラマ『ムービング』の制作陣が手がけた話題作。ホラーやスリラー、ロマンスにヒューマンといったさまざまなジャンルが複雑に絡み合ったストーリーは、SNSでも大きな話題に。
『ムービング』に続いて、原作&脚本の両方を手がけ、今や韓国を代表するストーリーテラーとなった、カンフルさんにインタビューします!
13年前に描いた漫画がよりいい物語になった
ーー原作兼脚本を担当するのは、『ムービング』に続いて2作目。プレッシャーを感じながらの執筆だったかと思いますが、今回の手ごたえは?
カンフル:13年前に描いた漫画が原作なんですが、当時、ページ数の制約で全部を描ききれなかったエピソードがあったんです。あれから年月を経て、 映像化の話をいただいた時、「そういえば、作品をよりよくできるものを自分が持っているじゃないか」と気づきました。結果的に、13年前よりも、もっといい物語を生み出せたと思います。
ーー何か新しい発見があった、ということですか?
カンフル:『ムービング』で、“脚本”という仕事を初めて経験しました。それまで、漫画の仕事しかしていなかったせいか、まだ脚本の書き方がよくわかっていなかったような気がするんです。自分の考えを正確に伝えるために、あまりにも細かく詳細を書きすぎたんですよね。今回は脚本としての会話の書き方が、ちょっとわかってきたような気がして、『ムービング』の時よりも、監督とスタッフの方々を信じて任せることができたと思います。
ーーチュ・ジフンさんが「プリプロダクションが完璧」だと絶賛していました。今、話された“脚本家としてのスキルアップ”に通じる話でしょうか?
カンフル:そういう理解でいいと思います(笑)。シナリオ作りの段階から、キム・ヒウォン監督といろんな会話をしました。その中で、彼が「プリプロダクションが充実していればいるほど、いい作品につながる」と話していたのですが、私も同意見だったので念入りに準備しました。監督は私以上に気を配っていたと思います。
「演者と原作キャラとのプロポーションが違いすぎて……自分が恥ずかしいです」
ーーキャストの方々は口をそろえて、カンフルさんと監督、そしてスタッフの尽力によって役作りに集中できたとおっしゃっていましたが、ご自身は現場の様子や仕上がった作品を観て、どのように感じましたか?
カンフル:完パケ前のものを全話視聴したのですが、原作者として、またシナリオライターとして非常に満足しています。13年前、僕が描き切れなかった物語や登場人物の感情を見事に表現してくれていました。ただ……原作と俳優たちのプロポーションが違う(笑)。(あまりの差に、絵を描いた)私が恥ずかしくなりました。
ーー特に印象的なシーンは?
カンフル:印象的というなら、作品まるごとですね。原作を描いた時は、表現に制限というか、漫画の限界がありました。脚本でも、どういうシーンに仕上がるのかまったくわからないで書いた時もありました。 今回、自分が書いた文章をもとに監督が演出をしたり、俳優さんに演じてもらったりすることで、キャラクターたちの表情が豊かになりました。漫画ではなかなか伝えられない感情も視聴者に届くところがいいなと思いました。
物語を作る時に大事にしているのは「登場人物」
ーー『ムービング』に続いて、本作でも、親子や家族の情、人が人を思う気持ちといった、心のやわらかいところを突く「サラムネムセ(人間くささ)」が印象的でした。
カンフル:作家として20数年間仕事を続けてきました。そんな私にとっての長年の宿題は「ストーリーとは何か」ということでした。簡単に言うとストーリーとは、人が事件や出来事と出会い、ある結末を迎えること。ですが、事件は誰でも作ることができるし、結末は何もしなくても訪れます。そこで重要になってくるのが登場人物。事件そのものより、事件を“誰が”行うかが物語の鍵になるなと思ったんですね。物語を作る時、登場人物に最も力を入れているのは、そういう理由からです。「どんな過去があって、何を求めて、未来をどう生きていくのか」。私の物語に登場する人たちを理解しようと頑張った結果、人物への愛情が際立つ作品になったんじゃないかなと思います。
ーー親しい人を参考にしたのかなと思うくらい、キャラクターの生活感や感情がリアルです。
カンフル:私が今まで生きてきた中で出会った人たちと、少し似ているところはあるんじゃないかな。あと、自分自身も。私の姿もけっこう投影されている部分があると思います。
ーー人物の中にうかがえるカンフルさんを見つけるのも、作品の楽しみ方のひとつになりそうですね。ほかに見どころポイントがあれば教えてください。
カンフル:ご覧のとおり、たくさんの人物が登場する物語です。そのひとりひとりのキャラクターを深堀りしながら、キャラクター間の関係性を描いていきたいと思いました。ネタバレになるかもしれませんが……。8話(最終話)のラストシーンは、特にパンチのきいたシーンになっていると思います。
ーー最後にMORE読者にメッセージをお願いします。
カンフル:えっ、MOREの読者さんに⁉ 二十代半ば以上の働く女性が多く読んでいるんですか⁉ これは、今日の取材で一番の難問かもしれません(汗)。ええと、それでは……寒いので健康にお過ごしください!
ドラマ『照明店の客人たち』をチェック!
記憶をなくした“奇妙な人々”がさまよう世界で、薄暗い路地裏にある照明店に引き寄せられる“客人”たちの事情が描かれたヒューマンミステリー。原作は韓国で累計1億5千万ビュー(‼)を記録した大人気ウェブトゥーン。特徴的なのは、最初と最後でストーリーの見え方がガラリと変わる展開。度肝を抜くどんでん返しと、見事な伏線回収、そして胸を打つ愛の物語は、まさに感情のデパート。また、「暗い路地裏の一角を明るく灯す照明店」という設定から、リアリティとファンタジーのベストポジションを具現化した「路地裏セット」も見どころのひとつ。
韓国を代表する名だたる俳優が勢ぞろい!
作品への没入感を高めているのは、演技派で知られる役者たち。照明店の店主ウォニョンを『神と共に』シリーズ、『愛は一本橋で』のチュ・ジフンさん、生と死が隣り合わせる病院の看護師ヨンジを『今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー』『力の強い女ト・ボンスン』のパク・ボヨンさん、『なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~』のキム・ソリョンさん、『くれる遊んで彼女』のオム・テグさんなど、主役を張る俳優たちがズラリ。ほかにも、『Missナイト&Missデイ』のイ・ジョンウンさん、『ボストン1947』のペ・ソンウさん、『Pachinkoん。稀代のストーリーテラーと名俳優たちによる夢の共演に、期待しかありません!
誰を見るのか、どこを見るのか、どう見るのか。何度も見直したくなる作品です。