壮大なロマンス史劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』に沼る!【韓ドラオタクおすすめの1本】
俊敏かつ鮮やかな殺陣、端正な顔から出ずるラブ光線。韓服に身を包むナムグン・ミンの美しさにとらわれる
- 俊敏かつ鮮やかな殺陣、端正な顔から出ずるラブ光線。韓服に身を包むナムグン・ミンの美しさにとらわれる
- あらすじ
- ここが見どころ
- 至高の配分で織り交ぜた“史実とフィクション”が刺さる本格時代劇
- ナムグン・ミンによる“そなた”呼びの破壊力
- “罵倒”を求めるナムグン・ミン
- ナムグン・ミンをめぐる、いろんな愛のカタチ
韓国ドラマ大好き!なライターがおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は激動の時代に翻弄され、惹かれ合いながらも出会いと別れを繰り返す男女の愛と純情を描いたロマンス時代劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』を紹介します。

水も滴るジャンヒョン(ナムグン・ミン) (C)2023MBC
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』
全21話
出演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ハクジュ、イ・ダインほか
(C)2023MBC
あらすじ
1636年の春、ヌングン里。成均館の儒生たちの熱い視線を集める容姿端麗で世間知らずな両班の娘ギルチェ(アン・ウンジン)は、片想いの相手ヨンジュン(イ・ハクジュ)と親友ウネ(イ・ダイン)が婚姻するのではとやきもきしていた。そんな中、花摘み行事の日にジャンヒョン(ナムグン・ミン)という謎の男が現われる。お高くとまっているけれど、実はいじらしく大胆なギルチェに惹かれたジャンヒョンは、それから何かとギルチェを構うが相手にされない。そんなある日、後金(清)の軍隊が国境を越えて、朝鮮の首都・漢陽の近くまで押し寄せて来たという知らせが届いて……。
ここが見どころ
今回紹介するのは、ロマンス時代劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』(2023年)。ナムグン・ミン10年ぶりの史劇! 最終話で最高視聴率12.9%を記録! 結果、MBC演技大賞で8冠、第60回百想芸術大賞ではテレビ部門の作品賞と男性最優秀演技賞の2冠獲得するという、時代劇好きが歓喜の涙で袖をぐっしょりと濡らす物語です。
渾身の演技を見せた主演のナムグン・ミン(『ストーブリーグ』『黒い太陽~コードネーム:アムネシア~』『わずか1000ウォンの弁護士』ほか)は知性と武術を兼ね備えた謎の男イ・ジャンヒョン役を、夢で見た運命の人との結婚を願う箱入りのお嬢様ユ・ギルチェには『賢い医師生活』『一人だけ~あなたさえいれば~』のアン・ウンジンが出演。
また、ギルチェが思いを寄せるナム・ヨンジュンに『マイネーム:偽りと復讐』や『こうなった以上、青瓦台に行く』のイ・ハクジュ、『ドクタープリズナー』のイ・ダイン(イ・スンギの伴侶♡)も。皆様、本当にいいお仕事をしてくれてます♪
それでは、本作の見どころをライターNの超個人的目線で語りたいと思います!
※本記事はネタバレがありますので、ご注意ください。
至高の配分で織り交ぜた“史実とフィクション”が刺さる本格時代劇

青麦畑で唇を重ね合わせるジャンヒョンとギルチェ(アン・ウンジン)。甘ーい! (C)2023MBC
本作は、17世紀の朝鮮を舞台に、激動の時代に翻弄され、惹かれ合いながらも出会いと別れをくり返す男女の愛と純情を描いたロマンス時代劇。波瀾万丈のストーリーはもちろんのこと、すべての俳優たちの演技、目を奪われるような映像美と、細かな人間模様を描き出した演出、物語を彩るドラマチックな音楽など、すべてが見どころなんです!
とはいえ、「でも、時代劇って歴史を知らないと楽しめなくない?」と思っている方も多いはず。本作のストーリーにがっつり絡んでくるのは“丙子(へいし)の乱”。ざっくりというと、清が朝鮮を侵略し制圧・服属させた戦争のことなのですが、物語はきちんと史実に沿って進みます。
戦争終結の段階での物語進行度は、全体の3分の1程度。つまり、戦後の物語に重きを置いて描いていて、その主軸は別れと再会をくり返すジャンヒョンとギルチェの切ない“両片恋”模様。ただロマンスに終始するのではなく、戦火に巻き込まれてあえぐ民衆や、捕虜になった女性たちの生きざま、さらに清側の人間模様まで、混乱の時代を生きる人々を丁寧に描き出しているのが、とても印象的でした。

突発的キスシーン♡ (C)2023MBC
とはいえ、「主人公にここまでさせる⁉」と思うほど、回を重ねるごとにスケールアップしていく残酷な運命には、息を呑むばかり。序盤はヒロインがブランコに乗るなど、村での穏やかな暮らしが描かれますが、戦争開始後は、敵に追われてボロボロな姿に……。境遇の落差が大きい波瀾万丈物語も、韓国ドラマの醍醐味。劇的な展開の衝撃をやわらげるハンカチやグミ、クッションを用意して、ジャンヒョンとギルチェの愛の行方を見守りましょう!

ギルチェのピンチにやってくる、一途なナイスガイ、ジャンヒョン! (C)2023MBC

運命はかくも残酷な場面で2人を引き合わせる。 (C)2023MBC
ナムグン・ミンによる“そなた”呼びの破壊力

定番のお姫様抱っこ♡ 流れるような所作でギルチェに軽口を叩くジャンヒョン。 (C)2023MBC
この物語のMVPは、なんてったってナムグン・ミンです。
まなざしがセクシーなナムグン・ミン演じるジャンヒョンという役は、どこから来たのかわからない謎の人物というミステリアスキャラ。飄々としていて、17世紀において非婚主義を公言するような人です。最初は、世間知らずで無鉄砲なギルチェを観察対象としか見ていなかったけれど、次第にギルチェの芯の強さやたくましさに惹かれていきます。しかし、ある日、清の軍隊が国境を越えて攻め入って来て、事態は急展開するのですが……。
このジャンヒョン、一見、チャラく見えるのに、後半になるにつれ「実は一途だった」と判明するのですが、そのギャップの変化が本当によかった♡
なぜ最初はチャラく見えたのでしょうか?
それはジャンヒョンのセリフが、いちいちロマンチック(キザとも言う)だから!
「おしろい花が咲く音と香り……」(ジャンヒョンとギルチェ、出会いのシーンでのひとこと)
「私が望んでいるのはそなたの熱い唇」(ギルチェを助けてのひとこと)
「私の浅い傷がそなたの手当を求めている」(心配するギルチェへのひとこと)
「夫ではなく、そなたの使用人になる」(ギルチェの高飛車な態度に合わせてひとこと)
こんなことを初対面、あるいは知人レベルの人に言われたらドン引きするチャラさですよね! そこは韓ドラ、ロマンス史劇。物語が進むにつれ、2人の両片思い度もアップ! 運命の非情な荒波に飲まれて絶望的なすれ違いをくり返しながらも、夢の中での2人逢瀬というファンタジックな設定、美しい青麦畑でのキスシーンなど、ロマンチックな演出が続々登場♡ すると、あら不思議。ジャンヒョンのセリフに、一途さと情熱がこもってくるではありませんか!

草むらに潜伏してチャンスをうかがうジャンヒョン。 (C)2023MBC

山の中でチャンスをうかがうジャンヒョン。 (C)2023MBC

清から追われ、逃亡中のギルチェ(アン・ウンジン)と侍女たち。 (C)2023MBC

互いを確かめるように抱き合うジャンヒョンとギルチェ。 (C)2023MBC
「2度とそなたを置いて去らぬ」
「必ずや、そなたに会いに行く」
「今宵は抱いてもよいか?」
本気度1000%、超ドストレートな愛のセリフ、それも壮絶な色気を宿したナムグン・ミンの瞳で訴えられたなら、ギルチェとともに視聴者の脳を射抜かれ、恋愛ホルモン・フェネチルアミンが大量分泌されまくり、恋の沼まっしぐら! ああ、自分もナムグン・ミンに“そなた”って呼ばれたい♡

矢をつがえる姿も素敵! 射抜かれたーい! (C)2023MBC
“罵倒”を求めるナムグン・ミン
ジャンヒョンの愛はロマンチックなだけじゃありません。
ギルチェの反応を例に、お話しますね。ジャンヒョンに恋する前のギルチェの対応は実に痛快。息を吐くように甘い言葉を吐き散らかすジャンヒョンを警戒し、けんもほろろに叩き切ります。ジャンヒョンが冗談で彼女の唇を求めれば「からかわないでください!」と食い気味で制し、ジャンヒョンにヨンジュンへの叶わぬ思いを指摘されれば、
「石みたいな顔を粉々にしてやる!」
と、良家のお嬢様とは思えない豪快な言葉遣いで罵倒します(笑)。

ナムグン・ミン様のご尊顔を粉砕するですって……⁉ (C)2023MBC
並の男ならここで、売り言葉に買い言葉で「キーッ!」か「サァーー」っとなるんでしょうが、ジャンヒョンは違います。「キュン♡」としてるんですよ……。というのも、このギルチェのセリフ、容姿端麗、腕も頭も弁も立つジャンヒョンには相当衝撃的だった模様(いい意味で)。
後日、2人が離れ離れになったのち、ジャンヒョンは別の女性に
「私に不細工な石ころと言ってみろ」
という、封建時代においては、なかなかな無理難題を強いていました。自らを罵倒するセリフを第三者の女性に求めるほどの深い愛・強い気持ちを見せるジャンヒョンの一途さに驚くとともに、感心しました。

剣の腕前もソードマスター級のジャンヒョン。こんなにカッコいいのに……。 (C)2023MBC
ナムグン・ミンをめぐる、いろんな愛のカタチ
ジャンヒョンとギルチェのロマンスだけでなく、ジャンヒョンの弟分的存在のリャンウム(キム・ユヌ)の心の闇と葛藤もよかったです。
リャンウムは主演カップルの恋をややこしくする人物。ジャンヒョンが、ギルチェのために心身ともに傷ついているのを、誰よりも近い場所で見ていたからこそ、彼女を遠ざける役回りを担ったんですね……自分の愛する人に傷ついてほしくないから。嫉妬という言葉では表せない、もっと複雑な感情を、ギルチェに対して持っていました。そのリャンウムが、横たわるジャンヒョンの腕を両手で握って、自分の頭を寄せるシーンがあるんです。そこでリャンウムはジャンヒョンに告白するんですよ。「私はお前のもの」「死んでもいいさ、一緒に」と……。グッときました。
リャンウムはジャンヒョンと行動を共にしている歌い手。劇中、歌うシーンもあるので、そちらも必聴です。
ちなみに、本作には『キム課長とソ理事~Bravo! Your life~』で共演し、ナムグン・ミンと親交の深い(KBS演技大賞では、5組の男女カップルとともに「ベストカップル賞」にも選ばれた)ジュノ(2PM)も出演。第1話で声のみの特別出演をしているので、どのタイミングで登場するのか探してみてくださいね(ヒントはギルチェの夢の中です♡)。
作品概要

『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』
全21話
出演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ハクジュ、イ・ダインほか
<コンプリート・シンプル BOX>1~3: 2025年4月2日発売
DVD-BOX:各 6,050 円 (税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
(C)2023MBC
※商品情報は記事公開時点のものです。
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Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。さらに東アジア最大のレインボーパレードである、台湾LGBTプライドパレード「臺灣同志遊行」にも参加。2025年の“海外旅はじめ”はソウル&プサン(韓国)。6月にはシアトル(アメリカ)へ。ミズーリ州まで足を延ばして「水月観音像」を拝めたらいいのだけど……。