【射手座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<8/8~8/21> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー
12星座全体の運勢
「終わりと継承」
8月23日には二十四節気の「処暑」に入り、朝夕に気候や虫の音に涼しさを感じる日も出てくるようになりますが、その直前である8月22日に水瓶座29度(数えで30度)で満月を迎えていきます。
今回の満月のテーマは「はかなさ(無常さ)の受容」。歴史上どんなに強固で安泰に思えた文明や社会も、潮が満ちれば必ず引くように、栄枯盛衰をたどってきましたが、今期は個人においても社会においてもそうした「枯れ」や「衰え」の面が顕著に実感されていきやすいタイミングなのだと言えます。これは逆に言えば、いかに自身の生活や日本社会における奇妙な混乱状況をなかったことにせずに、自覚的に受け入れていけるかがテーマになっていくということでもあります。
たとえば、日本では古来から蜉蝣(かげろう)が、成虫でいられる時間がわずか数時間から数日という短さゆえに、はかなさの象徴として歌に詠まれてきました。それは蜉蝣のきれいな透明な羽や、細長い体のいかにも弱弱しい印象も大きかったはずですが、名前の由来ともなった、日差しの強いに立ちのぼる「陽炎(かげろう)」のゆらめきを思わせるような飛び方がそれを決定づけたように思います。
蜉蝣の成虫には口も消化管も退化してありません。何も飲まず食わずで飛び回って力尽きてしまいます。なぜそんなことをするのか。それはひとえに、交尾するため。飛び回れば異性に会えるから。もちろん、交尾しても結果的に死んでしまいますが、そうすることでDNAはちゃんと受け継がれていく。つまり、遺伝子の側から見れば死ではなく、そこで継承が起きている。
さながら光が粒子であると同時に波でもあるように、蜉蝣という虫は確固とした個体であると同時に、それぞれが連綿と受け継がれていく遺伝子の中継地点でもある訳です。
つまり、保身や自己利益の最大化をはかるのではなくて、どうしたら自身がその一部であるところの大きな全体へと貢献できるか、あるいは、自分がそこに身を投じ、続いていくべき潮流は何なのか。そうした実感が、否応なく膨れあがってきやすいのが今回の満月なのだということ。
その中で、どんな自分事が終わりつつあり、その一方でどんな継承が起きつつあるのかということに、意識を向けてみるといいでしょう。
今回の満月のテーマは「はかなさ(無常さ)の受容」。歴史上どんなに強固で安泰に思えた文明や社会も、潮が満ちれば必ず引くように、栄枯盛衰をたどってきましたが、今期は個人においても社会においてもそうした「枯れ」や「衰え」の面が顕著に実感されていきやすいタイミングなのだと言えます。これは逆に言えば、いかに自身の生活や日本社会における奇妙な混乱状況をなかったことにせずに、自覚的に受け入れていけるかがテーマになっていくということでもあります。
たとえば、日本では古来から蜉蝣(かげろう)が、成虫でいられる時間がわずか数時間から数日という短さゆえに、はかなさの象徴として歌に詠まれてきました。それは蜉蝣のきれいな透明な羽や、細長い体のいかにも弱弱しい印象も大きかったはずですが、名前の由来ともなった、日差しの強いに立ちのぼる「陽炎(かげろう)」のゆらめきを思わせるような飛び方がそれを決定づけたように思います。
蜉蝣の成虫には口も消化管も退化してありません。何も飲まず食わずで飛び回って力尽きてしまいます。なぜそんなことをするのか。それはひとえに、交尾するため。飛び回れば異性に会えるから。もちろん、交尾しても結果的に死んでしまいますが、そうすることでDNAはちゃんと受け継がれていく。つまり、遺伝子の側から見れば死ではなく、そこで継承が起きている。
さながら光が粒子であると同時に波でもあるように、蜉蝣という虫は確固とした個体であると同時に、それぞれが連綿と受け継がれていく遺伝子の中継地点でもある訳です。
つまり、保身や自己利益の最大化をはかるのではなくて、どうしたら自身がその一部であるところの大きな全体へと貢献できるか、あるいは、自分がそこに身を投じ、続いていくべき潮流は何なのか。そうした実感が、否応なく膨れあがってきやすいのが今回の満月なのだということ。
その中で、どんな自分事が終わりつつあり、その一方でどんな継承が起きつつあるのかということに、意識を向けてみるといいでしょう。
射手座(いて座)
今期のいて座のキーワードは「大胆な大局観より些細な日常感覚を」。
「吾々の目にとまらないほどのごく小さな原因が、吾々の認めざるを得ないような重大な結果をひきおこすことがあると、かかるとき吾々はその結果は偶然に起ったという。」
これはフランスの偉大な数学者アンリ・ポアンカレによる偶然性の定義なのですが、ワクチン接種済みの人でもコロナに感染したケースが報道され始めた現在の状況を踏まえると、ここに書かれていることはほとんど私たちの日常的なリアリティそのものと言えます。
ポアンカレはさらに「小さな原因」に「複雑な原因」を加え、自分の定義の有効性を検証するため、さまざまな事例を出していくのですが、その中にやはり日常生活から取材した例があります。
ひとりの男が所用のために通りを歩いて、とある家の前を過ぎる。その家の屋根のうえでは屋根職人が仕事をしている。ところが、この職人がうっかりして手にしていた瓦を落とす。その瓦が、そのとき下を通りかかった男の頭を直撃し、その男は死ぬ。ポアンカレはこうした偶然も、やはり「小さな偶然」ないしは「複雑な原因」に還元できるとして、次のように述べています。
「概して互に縁のない二つの世界が互に作用しあうときは、その作用の法則は必ず非常に複雑なものにかぎるのであって、また他方に於いて、その二つの世界の最初の状況がきわめてわずかに変化しさえすれば、この作用は起こらないでも済んだであろう。この男が一秒遅くとおるか、屋根師が一秒早く瓦を落とすかするためには、いずれにしてもきわめて些細な事情で充分であったであろう。」
ポアンカレの偶然論の要諦は「原因に於ける小さな差異と結果に於ける大きな差異」の対照(ないし強調)にこそあった訳ですが、これは逆に言えば、物事をみだりに単純化せず、また、ひとつひとつの些細なディティールに目をとめる日常感覚を研ぎ澄ませていくことができれば、少なくとも偶然によるショックをやわらげることはできるということでもあるのではないでしょうか。
今期のいて座もまた、いつも以上に生活の解像度をあげ、物事の複雑さへと感覚的に開かれていくことを大切にしていきたいところです。
参考:アンリ・ポアンカレ、吉田洋一訳『科学と方法』(岩波文庫)
これはフランスの偉大な数学者アンリ・ポアンカレによる偶然性の定義なのですが、ワクチン接種済みの人でもコロナに感染したケースが報道され始めた現在の状況を踏まえると、ここに書かれていることはほとんど私たちの日常的なリアリティそのものと言えます。
ポアンカレはさらに「小さな原因」に「複雑な原因」を加え、自分の定義の有効性を検証するため、さまざまな事例を出していくのですが、その中にやはり日常生活から取材した例があります。
ひとりの男が所用のために通りを歩いて、とある家の前を過ぎる。その家の屋根のうえでは屋根職人が仕事をしている。ところが、この職人がうっかりして手にしていた瓦を落とす。その瓦が、そのとき下を通りかかった男の頭を直撃し、その男は死ぬ。ポアンカレはこうした偶然も、やはり「小さな偶然」ないしは「複雑な原因」に還元できるとして、次のように述べています。
「概して互に縁のない二つの世界が互に作用しあうときは、その作用の法則は必ず非常に複雑なものにかぎるのであって、また他方に於いて、その二つの世界の最初の状況がきわめてわずかに変化しさえすれば、この作用は起こらないでも済んだであろう。この男が一秒遅くとおるか、屋根師が一秒早く瓦を落とすかするためには、いずれにしてもきわめて些細な事情で充分であったであろう。」
ポアンカレの偶然論の要諦は「原因に於ける小さな差異と結果に於ける大きな差異」の対照(ないし強調)にこそあった訳ですが、これは逆に言えば、物事をみだりに単純化せず、また、ひとつひとつの些細なディティールに目をとめる日常感覚を研ぎ澄ませていくことができれば、少なくとも偶然によるショックをやわらげることはできるということでもあるのではないでしょうか。
今期のいて座もまた、いつも以上に生活の解像度をあげ、物事の複雑さへと感覚的に開かれていくことを大切にしていきたいところです。
参考:アンリ・ポアンカレ、吉田洋一訳『科学と方法』(岩波文庫)
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ