12星座全体の運勢

「幻想の外へと飛び出して!」 

日増しに気温の下がり始める「霜降」が近づき、蟋蟀の鳴き声もいつの間にか聞こえなくなってくると、ますますひんやりとした秋の夜長を愉しめるようになってきますが、そんな中10月20日にはおひつじ座27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

「大胆な行動」を促す火星や「根本的な変容」を司る冥王星を巻き込む形で配置される今回の満月のテーマは、「子宮内幻想からの脱皮」。これまで無意識的に調子をあわせてきた理想像だったり、なんとなく正しいとされ従ってきた決め事だったり、それらいつの間にか色あせてきつつあった馴染みの「幻想」をいよいよ破棄し、もっとおのれの欲望に忠実になっていくためのきっかけや実感を掴んでいくにはもってこいのタイミング。 

ちょうど秋の日の暮れやすいことの喩えで、よく「秋の日はつるべ落とし」などと言いますが、人によっては「つるべ」を井戸の中に落とすときのように、急速に意識が切り替わっていきやすいでしょう。 

さながら一度も離れたことのない塔から脱け出していくラプンツェルのように、「こうしておけば無難で安全」という領域の“外”へと思い切って飛び出していきたいところです。 
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魚座(うお座)

今期のうお座のキーワードは、「逃げるが価値」。

魚座のイラスト
いつの時代も、どんな場所でも、社会的なプロセスというものはつねに「強い影」をもたらします。つまり、同僚であれ配偶者であれ、他者との関わりというのはたとえ“身内”であったとしても決して完全には安全であり得ないですし、いったん個性化が進めば、個人が複数集まれば、そこでは競争や所有、攻撃などネガティブな影響力から避け切ることはできないですし、完全に傷つかずに生きることは不可能と言えます。 
 
そして、いったん傷を負った人間が取り得る手段は、専門家の判断を仰いで適切かつ迅速な治療にみずから取り組むか、自然治癒に任せるか、あるいは傷そのものをごまかすかのいずれかでしょう。はじめの手段をとる人は最も少なく、またそれが可能なケースも限定されており、社会が複雑化すればするほど、ますます最後の手段を取る人が増えていくのが自然な経過というものでしょう。 
 
にも関らず、たとえば違法薬物乱用に対する厳罰化を求める風潮などは、むしろ年々高まっているそうです。こうした風潮は、社会全体を思考停止に追い込むだけに留まらず、ますます「目に見えない傷」を負う人を増やしますが、現代社会はそれに歯止めをかけるどころか、むしろ加速化の一途をたどっている訳です。 
 
ただし、一部にはそうした風潮を警告する専門家もいます。たとえば、依存症治療を専門とした精神科医の松本俊彦は、『薬物依存症』のなかで「回復には強さはいらない。弱さは決して恥ずかしいことではない。自分の弱い点を熟知し、危険な状況をうまく避け、弱さを補う賢さにこそ価値がある」「強くなるより賢くなれ」と主張しつつ、「必要なのは刑罰ではなく、治療」と世間に発信し続けています。 
 
とはいえ、これからも社会の側は「正しさ」や「強さ」をその構成員に要求し続けるはずですし、多くの人々はそれに応えつつ、小さな傷をたくさん重ねていくはず。今期のうお座は、これからもそうした時代状況をしぶとく生き延びる続けるためにも、自身の「隠れ場所」を目ざとく、賢く、確保していくことがテーマとなっていくことでしょう。 
 
 
参考:松本俊彦『薬物依存症』(ちくま新書) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ