脳科学的に運を上げるための10アクション

脳のさまざまなクセを利用した、運を上げるための思考や行動の習慣を脳神経科学者の毛内拡先生がレクチャー。脳の機能や持久力を高める過ごし方を心がけることで、ものごとのとらえ方や解像度が変わり、自ら運を切り開ける人に!

教えてくれたのは

脳神経科学者
毛内 拡(もうない ひろむ)先生

お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系助教。「脳が生きているとはどういうことか」をスローガンに研究を行う。近著に『脳科学が解き明かした運のいい人がやっていること』(秀和システム)

脳神経科学者がズバリ!「運がいい人」の特徴は?いつでもハッピーでいるための3カ条

action1 イメチェンをする

脳の“知恵ブクロ記憶”を豊かにするには、新しい、かつ感情が動く体験が効果あり。
「髪型を変えたり、新しいファッションを取り入れると、ほかの人からだけでなく、自分へのとらえ方が変化して、脳が活性化します」(毛内先生、以下同)

action2 たくさんの睡眠を取る

脳の機能を最適化するために不可欠な睡眠。睡眠中に短期記憶を長期記憶に移行したり、脳の老廃物の除去も行っている。
「睡眠不足の積み重ねを『睡眠負債』と言い、脳は睡眠負債を2週間記憶しているという研究も。睡眠が不足し脳がゴミ屋敷状態になると、最善の思考や判断ができなくなるリスクがあります」

睡眠中の脳機能最適化のイメージ イラスト

action3 ひとり旅に出る

ツアーや一緒に行く人に頼らないひとり旅は脳にいいこと尽くし。
「ひとり旅は臨機応変な思考や判断が求められ、脳が過去の記憶を総動員して猛烈に活性化して学習するんです。最寄りの一駅前で降りてみるだけでも小さなひとり旅を経験できます」

action4 迷ったら新しいほうを選ぶ

私たちがつい現状維持や楽な道を選択しがちな背景には、脳がエネルギー消費を抑えるために省エネを好む性質があるのだそう。
「だからこそ迷ったら新しいほうを選ぶくらいの心意気が大切。多様な経験を積み、試行錯誤を繰り返すことで“知恵ブクロ記憶”を豊かにして、自ら運を切り開きましょう」

選択に迷っているイメージ イラスト

action5 環境を整える

仕事運を上げたい人は、集中して脳を機能させられる環境を整えて。
「最適な環境は人によってそれぞれ違い、なかにはある程度散らかっているほうが創造的なアイデアがひらめく人も」

action6 TO DOリストをつくる

小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感が高まり、脳機能をアシスト。
「おすすめは今日やることをリスト化して一つひとつこなすこと。達成感や“自己コントロール可能感”を得る手助けに」

TODO LIST イラスト

action7 複数のコミュニティを持つ

人とのつながりを深めることは心の回復を促す効果大。
「他人と協力しあい、成功体験を共有することがストレスを乗り越える糧に。仕事以外にも、自分の居場所が複数あると心の安定も得られます」

思考や習慣を意識するだけで運気UP。脳神の画像_4

action8 デジタルデトックスをする

脳はマルチタスクが苦手。
「研究によると、マルチタスクによって一度失われた集中を取り戻すためには平均23分もの時間が必要だと言われています。しかし、脳は新しいものが好きなので、スマホなどの通知を見ると開かずにはいられないんです。集中したい時は通知をオフに」

action9 夢を口に出す

実現するかしないかに関係なく、夢を語ることそのものがストレス解消に。
「楽しい未来を想像し、夢を語ることによってドーパミンが分泌され、ワクワク感が高まり脳を癒します」

action10 自分を甘やかす

脳内ストレスの軽減には、自分自身の欲求を制限することをできるだけ避けるのが有効。
「たとえばダイエット中に『ケーキを食べてしまった』という後悔は脳疲労にのもとに。禁止を禁止しましょう」

食事をしているイラスト

Illustration : Haruhi Takei Text : Tomoko Sakuma ※MORE2024年冬号掲載