12星座全体の運勢

「淀みや停滞を吹き流せ!」

いよいよ梅雨が明け、本格的な夏の到来に向け日に日に太陽がパワーを増していく二十四節気の「小暑(しょうしょ)」に入るのが7月7日。そして今回はその直前にあたる7月5日にやぎ座で満月を迎えていきます。テーマは「禊ぎと祓い」。

すなわち、すでに時代遅れで何の支えにもなっていない空っぽの言説や価値観に絡まったままもがき続けるのか、それともまやかしやごまかしを切り捨てたところに今後の活動の土台や、大切にすべき礎(いしずえ)を見出していけるか。いずれかに分かれていくことになりそうです。

かつて7月は、涼しい風が吹くのを待つことから「風待月」とも言われたそうですが、今回の満月前後にかけては、自分の内部や周囲に漂うよどみや停滞、行き詰まり感をどれだけ爽やかに吹き流していけるかが問われていくでしょう。

牡羊座(おひつじ座)

今期のおひつじ座のキーワードは、「微かに響く音」。

牡羊座のイラスト
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。とても微かに。そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。

そう書いた村上春樹は40歳を前に日本を出て、三年間の異国生活へと踏み切り、その中で大ヒット作となる『ノルウェイの森』を書き上げ、作家として大きな転換を経ていきました。

おそらく、それは物理的な「音」というより、今いる自分とは別のレイヤーの現実からの誘いであり、あるいは自身の内部からむくむくと湧いてきた未知への衝動が「音」へと置き換わって経験されたものと考えられます。

それをただのノイズととって受け流してしまうか、これまでとは決定的に異なるの秩序への密かな共鳴なのだと気付くかは個人差と言うしかありませんが、村上の場合は、たまたま後者だったということなのではないでしょうか。

いま密かな葛藤や、既存の現実への違和感を強く感じていきやすいおひつじ座の人たちにとって、今回の満月は自分が心の底で何に共鳴しているのかを、改めて浮き彫りにしていくはず。そんなときは、自分の胸にそっと手を置いて、真剣に耳を澄ませてみましょう。


出典:村上春樹『遠い太鼓』(講談社文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ