正しい敬語を学ぼう! ビジネスシーンでよくある間違いと模範解答を紹介
正しい敬語 損する敬語
実際にあった、後輩・社外からのモヤっとエピソードから!
読者から寄せられた体験談から敬語を学ぼう! あるあるな間違いについて、北條さんに聞きました。
教えてくれたのは、ライフスタイリスト・北條久美子さん
東京外国語大学卒業。研修講師を経て、2007年からエイベックスグループホールディングス人事部にて人材育成に携わる。2010年に独立し、一般企業や大学でビジネスマナー研修、キャリアセミナーを行うなど多方面で活躍中
▶▶ライフスタイリスト・北條久美子さんの詳細はこちら
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【正しい敬語】社内の人に……
取引先の方と話していた時、社内の社員に対して「さん」づけをする人がいて社外の人ながらヒヤっとした
【正】社内の人間は社長であっても呼び捨てに
社外の方と会話をする時は、どんなに目上であっても社内の人間は呼び捨てにするのがマナー。「若手の方は上司を呼び捨てにすることに気まずさを感じるのかも。“部長の山田が〜”など、役職をつけると呼びやすいと教えてあげるといいかもしれません。また、相手が社外の方でも、社員のご家族の場合は敬称をつけましょう」(北條さん、以下同)
【正しい敬語】「なるほどですね」は敬語?
「なるほどですね」を連呼する後輩が。敬語になっていないし、真剣に聞いてくれている気がしなくてモヤモヤ……
【正】「なるほど+勉強になります」などひと言添えると印象アップ
「“なるほど”自体は相づちなのでNGではないですが、“ですね”をつけてしまうのが誤り。目上の方に使うのなら“なるほど”に、“勉強になります”などのひと言をプラスして、やわらかくすると◎。同じ系統の相づちに“たしかに”があります。こちらもひと言添えてやわらかくする工夫を」
【正しい敬語】尊敬語と謙譲語の違い
後輩に「この資料を拝見いただけたら」と言われ驚いた
【正】「この資料をごらんいただけますでしょうか?」
「“拝見”は謙譲語で、行動する側を下げる言い方ですね(笑)。“見る”の尊敬語は“ごらんになる”です。同じく間違いやすいものに、“なんと申されましたか?”があります。こちらは“なんとおっしゃいましたか?”が正解。マニアックなものだと“○○様でございますね”も実はNG。自分に対して使う言葉なんです。“サザエでございます!”を思い出してもらえればしっくりくると思います」
【正しい敬語】「いただく」の乱用に注意
「会社に戻らせていただき、すぐにメールをお送りさせていただきます」など“いただく”の乱用をする後輩が。どう注意すれば?
【正】“させていただく”は許可が必要な時につけるもの、と説明してみて!
丁寧に言おうとしすぎて乱用してしまうパターンの典型的な例。「そもそも“させていただく”は、相手の許可が必要な行動につけるものです。たとえば“パスポートをコピーさせていただきます”はOK、“このメールに資料を添付させていただきます”はNG。許可が必要ない場合は“いたします”を使うようアドバイスしてみて」
【正しい敬語】社外の人からの謝罪の言葉が……
ミスが発覚した社外の年下の方に、「ごめんなさい」と言われさらに不信感が……
【正】「申し訳ありません」がビジネスの場での謝罪のベーシック
「“なさい”をつけても丁寧語になるわけではありません。また、“すみません”も謝罪としては軽いので、ビジネスの場での謝罪には不向き。“申し訳ありません”を使うべきです。しっかり謝罪したい時は“申し訳ございません”、これは大変だ! という時は、“誠に申し訳ございません”、と3STEPで覚えておくとよいですね」
【正しい敬語】聞き返す時の言い方は?
聞き取れなかった言葉に「え?」、「はい?」と聞き返す後輩を注意するか迷っています……
【正】「申し訳ありません。しっかり聞き取れず、もう一度お願いします」
「もしかしたら言い方を知らないだけなのかも? そういう時は、“聞き取れなかったのでもう一度お願いできますか?”が適切ということを教えてあげましょう。また聞き取れないからとうやむやにするのではなく、きちんと聞き返すことでミスを防ぐことができることもあわせて共有できると、より理解しやすいかもしれません」
【正しい敬語】「ご苦労」はNG?
お仕事終わりに「ご苦労さまです」を上司に使っている後輩がいてヒヤっとしました
【正】“ご苦労”は上の者から下の者に使う言葉。「お疲れさまです」に置き換えて!
「基本的に、どのような相手に対しても“お疲れさまです”を使っておけば間違いありません。いつも自分が下だと思って接すれば、万が一の失敗もない。後輩に“お疲れさま”を使うのも正しい言葉遣いなので、統一しましょう。状況に合わせて、“お疲れさまです”、“お帰りなさいませ”、“ありがとうございます”を使い分けてもOKです」
【正しい敬語】間違いではないけど言い換えた方がいい言葉も
訪問先で「どうぞ、お座りください」と言われたが「おかけください」では?
【正】「どうぞおかけください」
「実はこれ、敬語としては間違いではないんです。ただ、“お座り”は犬のしつけのイメージが強いため、“おかけください”に言い換えたほうがより失礼がないでしょう。謙譲語や尊敬語がある場合には、そちらを選んだほうが無難です」。言葉がない場合やどうしても出てこない場合のみ、丁寧語を使うようにしましょう。
【正しい敬語】“バイト用語”に注意
「資料のほうはお持ちですか?」と聞かれ、「ほう」って? と思ってしまった
【正】「〜のほう」は封印!
「いわゆる“バイト用語”と呼ばれるもの。この“ほう”はまったく意味を持たないため、必要ありません。社会人ならば使わないほうがいいでしょう」。クセになっているパターンもあるので、今でもつい口から出てきてしまう場合は、早急に封印するのがよさそう!
【正しい敬語】「〜になります」はNG?
訪問した会社で「お手洗いは突き当たり右手になります」と言われ、なんだか違和感……
【正】「お手洗いは突き当たり右手でございます」
違和感敬語あるある。実はこれも「〜のほう」と同じく、バイト用語なのだとか。「“なります”という言葉は、変化するものに対して使うので、間違いですね。変わらないものには使用しないこと。“ございます”に変換できることが多いですよ!」
【正しい敬語】社外で「了解です」はNG?
社内のフランクな会話の時は気にならないが、社外の打ち合わせなどで「了解です!」と言っている後輩にヒヤリ
【正】「かしこまりました」なら失敗知らず
社内での“お菓子ここ置いとくから食べてね!”、“了解です”くらいの軽さの会話ならよいのだけど……。「“了解”は社外で使うのは避けたほうがいいかもしれません。“かしこまりました”や“承知しました”なら間違いないです。とっさに、“かしこまりました”が言えないなら、何度も声に出して慣れておくと定着しますよ」
【正しい敬語】相手の名前を聞く時に……
折り返した電話口で「お名前をちょうだいできますか?」と聞かれモヤモヤ
【正】名前はあげるものではない! ベターなのは「おうかがいしてもよろしいでしょうか?」
これもよく聞く表現! 「名前はあげるものでも、もらうものでもないので、違和感がありますよね。普通に何かを質問する時と同じと考えて、“お聞かせいただけますか?”や、“おうかがいしてもよろしいでしょうか?”などを使って尋ねれば問題ありません」
【正しい敬語】“二重敬語”に注意
後輩が「○○さんがお見えになられます」と伝えてくれるのですが、注意できずにいます
【正】「お見えになる」でOK
「二重敬語と呼ばれるものですね。“お〜なる”でも敬語になるし、“〜られる”でも敬語になっている。この場合は“お見えになる”だけで問題ありません。“おっしゃられる”もよく使われますが、こちらも“おっしゃる”だけでOK。ただ、もはや一般化してしまっているので、自分が言われたのであれば、気にしなくてもいいかも」
イラスト/ery 取材・原文/東 美希 構成・企画/渡部遥奈(MORE)