ビジネスコミュニケーションマナー

ちょっとしたひと言が信頼を損ねたり、印象をよくしたり……。コミュニケーションや伝え方もひとつのマナー!

教えてくれたのは、ライフスタイリスト・北條久美子さん

東京外国語大学卒業。研修講師を経て、2007年からエイベックスグループホールディングス人事部にて人材育成に携わる。2010年に独立し、一般企業や大学でビジネスマナー研修、キャリアセミナーを行うなど多方面で活躍中
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[目次]
  1. 業務上の報告時のマナー
  2. トラブル発生時の上手な伝え方
  3. 職場でのプライベートに関する報告マナー
  4. みんなの体験談から学ぶ【1】忘れられない感動マナー
  5. みんなの体験談から学ぶ【2】忘れられないドン引きマナー

1. 業務上の報告時のマナー

業務上の報告時のマナー
【1】注意しておくべきマナー

→報告は結論から
「報告時に知りたいのは、どうなったかの『結論』や今どんな状況なのかという『進捗』。結論を言わず長々と説明をしだすと、主旨が読めずに話が進んでしまうので、結論→詳細の順番で伝えると、スムーズです」(北條さん、以下同)

業務上の報告時のマナー
【2】こうすれば一目置かれる! +αマナー

→上司が欲しがるタイミングより少し前に
「上司から聞かれるであろうタイミングを先取りして報告するとより上級者。また報告なのか相談なのかを最初に明確にしたり、『今、5分ほどよろしいですか?』など時間を提示したり、プラスの配慮があるとベストです」
イラストで描かれたオフィスの世界にOL風の内田理央が入り込み、メガネをかけた男性の上司と話している様子

2. トラブル発生時の上手な伝え方

イラストで描かれたオフィスの世界にOL風の内田理央が入り込み、デスクで焦っているようす

トラブル発生時の上手な伝え方
【1】とにかく早めに上司に報告

「トラブルやミスに気づいた時は、とにかく一刻も早く上司に報告をすること。たとえ小さいことと思う場合でも報告だけは必ずしておけば、上司サイドも早めのフォローの対策などをしておけます」

トラブル発生時の上手な伝え方
【2】起きたことを簡潔に伝える

「上司や取引先への報告は、まず先に起きてしまったトラブルの内容を簡潔に伝えること。そのうえで、なぜ起きたかということを時系列にそって伝えるほうが、相手の理解や許しを得やすくなります」

トラブル発生時の上手な伝え方
【3】他責で言わない

「第一に『人のせいにしない』というのが基本。自分に非がない場合でも『○◯さんが理解してくれなくて』などではなく、『私の言い方が悪かったかもしれません』などの言葉に言い換えましょう」

トラブル発生時の上手な伝え方
【4】対応策も考えておく

「自分なりの解決策、対応策を考えてから話せるとベター。でも、対応策を勝手に行ってから報告するのは絶対NG。事前に上司や取引先に相談し、まずは提案という姿勢を取ることがポイントです」

3. 職場でのプライベートに関する報告マナー

プライベートに関する報告マナー
【1】結婚をする時

「結婚報告はまず所属する部署の中でいちばん近い上司に。時期は人事上の手続きなどもあるので結婚の予定が決まったらがベスト。結婚式に出席をお願いするなら、数カ月前には報告しておくのが安心」

プライベートに関する報告マナー
【2】身内の不幸があった時

「身内が亡くなったらできるだけ早くいちばん近い上司に報告しましょう。両親など近い身内が亡くなった場合は数日間休むことになるので、その間の仕事の対応方法を上司に考えてもらいましょう」

プライベートに関する報告マナー
【3】妊娠した時

「いちばん身近な上司だけには、妊娠がわかった時点で早めに相談しておくと安心。体調が悪い時、立ち仕事や力仕事への配慮などを得られやすくなります。部署内や人事部には安定期に入ってから報告を」

プライベートに関する報告マナー
【4】転職・退職が決まった時

「基本的には会社の規定にある期限までに。近い上司には転職や退職が決まった時点、半年から3カ月前までに伝えておくのがベスト。後任への引き継ぎも余裕を持てるので、お互いのためにも早めに」
イラストで描かれたオフィスの世界にOL風の内田理央が入り込み、女性の上司に祝福されている様子

4. みんなの体験談から学ぶ【1】忘れられない感動マナー

エピソード1

尊敬している先輩社員。初めての訪問先で4〜5人の方と名刺交換をしてすぐに、すべての方のお名前を名刺を見ずに「〇〇さん」と呼んでいて感動しました!
GOOD POINT ▶︎ 名刺交換時に名前をすぐさま把握する気遣いが上級者!
「オンラインでのミーティングが増える中、対面での名刺交換は、名前と顔を一致させ覚えるためのチャンス。名刺を受け取る際は、相手の名前を復唱して積極的に覚える努力を。相手の名前をすぐに呼べると、好感度がグッと高まります」
6人(2対4)の大人が対面で会議をしているイラスト

エピソード2

CCで入った取引先への先輩の謝礼メールに、「またぜひ、○○様と△△したいです」など、相手に感謝が伝わる具体的な内容が添えられていて、とても勉強になりました!
GOOD POINT ▶︎ 業務連絡ではなく、人のぬくもりを感じる文は印象に残る!
「気持ちや感情を自分なりの言葉で表現すると、よりこまやかで丁寧な印象になり、好感度も高まります。ビジネスライクになりがちなメールだからこそ、意識して具体的なエピソードを添えると、ぬくもりのある文章に」

エピソード3

社外の方に謝罪された時のこと。「○○な気持ちにさせてしまい大変申し訳ございません」とこちらの気持ちに寄り添った一文が添えられていて好印象でした
GOOD POINT ▶︎ やみくもな謝罪ではなく、相手の立場に立った目線が◎
「ただ謝罪するのではなく、相手の立場に立った気持ちを察するようなひと言があると、気持ちがより伝わりやすくなります。謝罪は、『申し訳ありません』より丁寧な『申し訳ございません』を使うと間違いありません」
ピンクのシャツを着た女性がパソコンに向かって笑っているイラスト

エピソード4

上司に叱責された際、お叱りの言葉だけでなく「もったいないよ」と本音とともに背中を押してもらったこと。自分のことを普段から見てくれていたんだなと感じました
GOOD POINT ▶︎ 相手を思うからこそのひと言で、怒られた、で終わらないように
「怒りは第二の感情で、第一の感情はきっと『期待』だったのでは? 期待していたからこそできなかったことを残念に思ったのかもしれませんね。誰かを叱る時、ただ怒るだけでなく、その人の成長につながるようなひと言を添えると◎」

5. みんなの体験談から学ぶ【2】忘れられないドン引きマナー

エピソード1

打ち合わせの時にスマホの音が鳴ったのに、そのままマナーモードにしなかった上司を見て驚いた。立場が強かったからだと思うけど、人としてどうかと思った
正解 ▶︎ ひと言丁寧に謝るだけで印象は180度違います。スマホの扱い方も信頼に関わります!
「立場が上か下かは関係なく、常に正しいと思うことを行える謙虚な人は好感が持てます。スマホの着信やメールの対応は信頼を得ることも失うこともあるので、対応には十分に注意して失礼にならないように気をつけて」
2対2で会議しているイラスト。1人の携帯が鳴り続けていることに驚いている。

エピソード2

訪問先に集合時間前に到着していた新入社員が、上座に座って待っていた時は慌てました。席次をきちんと理解していなかったようです
正解 ▶︎ 上座に通された場合でも、勝手に座らないor上座の中でも末席へ
「たとえ訪問先に上座を案内されたとしても、上司や先輩がこれから来る場合には勝手に上座に座らないこと。自分が下の立場なら、上座の中でも末席を選んで座りましょう。本人がわかっていなかった場合は、帰りにそれとなく伝えて」

エピソード3

後輩がデスクに残してくれたメモ、重要だと伝えたかったのか、すべて赤いペンで書かれていた……
正解 ▶︎ 赤いペンは訂正時のみ使用して
「諸説ありますが、赤字を使うことは縁を切るなど縁起の悪いこととされています。文章の訂正時には赤ペンを使うこともありますが、そうでない場合は赤ペンの使用はNG。正式な書類には使えないことも伝えましょう」
マグカップを持った女性が自分のデスクに戻り、赤ペンで描かれたメモを見つけて驚いているイラスト

エピソード4

届いた封筒のあて先に「〇〇会社様」とあってびっくりした
正解 ▶︎ 会社あては「御中」、個人あては「様」
「社名のみで送る場合は『○○株式会社』など正式名称の後に『御中』をつけて。『様』は個人名にのみつけます。こういうマナーは意外と知らないこともあるので、新入社員にあて名書きを頼む時は、伝えておくと安心です」
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ヘア&メイク/桑野泰成(ilumini.) モデル/内田理央 スタイリスト/辻村真理 イラスト/田中麻里子 取材・原文/本間香奈 構成・企画/渡部遥奈(MORE)