1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!
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ーDATAー
里中さん(仮名)25歳 /未婚 /職業:フリーター
初体験:16歳 /経験人数:6人くらい/セックスとは:わからない
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彼氏と別れたあとに妊娠が発覚して…

モアリポートイメージ写真、オフィス内にいる女性
――彼氏と別れたあとに妊娠が発覚した?

はい。半年付き合っていた2歳年上の彼氏と別れた後に、妊娠4ヵ月と発覚しました。(以下、里中さん)

もともと生理不順で、一カ月くらい生理がこなくても普通だったのですが、別れた後に、あまりにも生理がこないので「もしかして…・・・」と思って、産婦人科に行ったんです。そうしたら妊娠していることが判明して。

――4カ月になるまで気づかなかった?

はい。つわりや気持ち悪さも全くなかったんです。
でも、エコーで人の形がくっきり映っていて「あぁ、本当に赤ちゃんができたんだ」と実感しました。

産むか産まないか…・・・悩みながら、いろいろと調べているうちに、不安ばかりが増していきました。

たとえば、妊娠12週を超えた中絶は、人工的に陣痛を起こして出産しなければいけないということ。役所へ死産届を提出しなければならないこと。手続きも多く、対応してくれる病院も少ないこと…・・・。

――妊娠を誰に最初に伝えましたか?

病院からの帰り道、元彼に「実は妊娠してたんだよね」と伝えました。
元彼もすごく動揺していましたね。結局、2人では決断できず…・・・お互いの親に相談することにしたんです。

両親に相談。意見が分かれて…

男女が話し合っている様子
私の父は、私が幼稚園の時に亡くなっていました。

シングルマザーとして女手ひとつで育ててくれた母に打ち明けるときは、本当に不安でした。でも母は、感情的になることなく「協力して育てよう」と言ってくれて。母の一言で、出産を決意したんです。

一方、元彼の両親は意見が分かれたようで…。

元彼の母親は「孫を見たいから産んでほしい」と言ったようでしたが、父親は「責任を取れないんだったら堕ろしたほうがいい」と。

最終的に元彼から「お父さんがそう言ってるから堕ろしてほしい」と告げられました。

――その時どう思いましたか?

決断を出すまでに何度か元彼と、電話で相談をしていました。私の「産みたいと思っている」という考えには一切寄り添ってくれることはなく「お父さんが…」と、父親の考えに従うばかりだったんです。

元彼は厳しい父の言う通りの人生を歩んできたと言っていましたが、ここでもか…・・・と。

――結果、どう決断しましたか?

付き合っているときは結婚を意識する時期もありましたし、妊娠が発覚したときは、もう一度関係を結び直して、結婚したほうがいいのか、とも考えました。

でも、一方的に「墜ろしてほしい」と告げる元彼の対応を前に、未婚のシングルマザーとして子どもを産むことを決めたんです。

母のサポートを受けて出産

モアリポートのイメージ写真、赤ちゃん
ーーそのことは元彼にどう伝えたのですか?

「結婚もしなくていいし、養育費も認知もしなくていい。私は産みます」と告げました。

元彼は「本当にいいの?養育費は払うよ」「産むなら子どもにあわせてほしい」と言ってきたのですが、その時の私は、関係を絶ちたいという気持ちが強くて…・・・。

元彼の父親から、そういう約束をするなら、弁護士を立てて話し合ったほうがいいと言われ、父親としての認知はせず、私が育てていくことを書面で取り交わしました。

―ひとりで育てていくことに不安はありませんでしたか?

実家暮らしだったので、母のサポートを受けることができました。

母は現在、職場で出会った男性と再婚しています。

ふたりが交際をはじめたのは、私が中学生の時だったのですが、「在学中は、名字を変えたくない」という私の意志を尊重して、卒業を待ってから籍を入れてくれました。

「これはいやだ」「これはいい」と、母とは昔から何でも話せる親友のような関係性なので、子育てに関しても本当に助かっています。

子どもが女の子なので「あなたを育てていた時を思い出す」と言って、すごく協力的に子育てを手伝ってくれています。

――経験を通して感じたことを教えてください

自分自身、すごく変わったなあと思います。

子どもは1歳1カ月になるのですが、 今までは、感動系の映画を観ても泣くタイプじゃなかったんです。

でも、出産してから『はじめてのおつかい』を見て、号泣しちゃうくらい、とっても涙もろくなった。最近は娘が笑いかけてくれるだけでウルウルしちゃいます。

元彼と会いたいとは思わないけれど、命を宿してくれてありがとうという気持ちも、自然に沸き上がるようになりました。

外野の声に耳を傾けすぎないで

女性が女の子を抱きよせている写真
娘とは、母と私のように、親友みたいな関係を築きたいと思っています。

妊娠が発覚した時、「両親が揃っていないと子供がかわいそう」とか、そういう言葉をかけられることも。でも、仮面夫婦みたいな家族もいるし、両親が揃っていないから不幸だとは思いたくはありません。母から受け取った沢山の思い出や感情を、娘にも与えたいと思っています。

妊娠がわかって悩んでいる時に、ある産婦人科の先生のメッセージを読みました。

「産むにしろ産まないにしろ、命が宿ったことは奇跡です」

大変なことも多いけれど、それ以上に、娘が私の元に産まれてきてくれた奇跡に感謝して、日々の幸せをかみしめています。
【過去のモア・リポート】
>>29歳で初彼氏、初セックスを経験したMさん【モア・リポート23】
>>入社3か月で妊娠。授かり婚をしたOさんの話【モア・リポート25】
>>レズ風俗ってどんなとこ?【モア・リポート27】
取材・文/毒島サチコ