1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

流産は他人事じゃない

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ーDATAー
前田さん(仮名)31歳 /既婚/出版関係
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入籍直後に妊娠が発覚

妊娠初期の流産を経験したMさん「赤ちゃんの画像_1
ーー流産を経験された?

はい。昨年末に流産を経験しました。妊娠7週にあたる時期に突然、腹部の激痛と出血があり、立てなくなったんです。後日産婦人科にいくと、流産だと診断されました(以下、前田さん)

――突然の事だったのですね。妊娠に気づいたのはいつですか?

妊娠に気付いたのは、生理が一週間遅れて、妊娠検査薬でうっすら陽性が出たときです。
当時私は入籍したばかりの時期で、予想外の妊娠でした。

「仕事の調整をしなければ」「結婚式はどうしよう」

妊娠はおめでたいことではありますが、本当に予想外だったので。でも、夫も私もいずれは子どもを望んでいたこともあり、少し早まっただけだね、と動揺はすぐに喜びに変わりました。

――それからどうしましたか?

妊娠が発覚してからは、赤ちゃんの名前や男の子か女の子か、そんな事ばかり考えるようになりました。一週間後には、ワクワクしながら産婦人科に行ったんです。

でも、産婦人科で「妊娠が確認できない」とお医者さんに言われ、目の前が真っ暗になりました。

――なぜ妊娠が確認できなかったんですか?

その時期は、妊娠5週にあたるのですが、エコーで見えるはずの赤ちゃんの袋(胎嚢)が見えなかったんです。

妊娠週数が間違っているかもしれない、とも言われましたが、セックスした日をきっちり覚えていたので、流産か、最悪手術が必要になる子宮外妊娠などのケースも説明されました。

「一週間後にまた来てください」と告げられました。

――不安な気持ちで一週間を過ごされたのですね。

はい。ネットの記事を読み漁っていました。仕事も手につかず。今までで一番長い一週間でしたね。

一週間後、産婦人科を訪れると、やっと赤ちゃんの袋(胎嚢)が見えました。これで最悪のケース(子宮外妊娠)の可能性はなくなった、と。

思わず病院で「良かった!! ちゃんと妊娠してた!」と叫んだのですが、赤ちゃんの心拍確認はできず……。

お医者さんは「赤ちゃんの袋も小さいですね。近々出血があるかもしれません。また二週間後に来てください」と。喜んでいる私にくぎをさすように冷静な声で言いました。

それから一週間後。真っ赤な出血と、腹痛があったんです。

突然の出血で「あぁ、流れたな」と思った

妊娠初期の流産を経験したMさん「赤ちゃんの画像_2
――どんな出血ですか?

生理2日目に近いけれど、生理よりも真っ赤な血で、腹痛も強かったと記憶しています。

前日もピンクの微量の血の出血がありました。正常な妊娠初期にも微量の出血があると聞いていたので、それであってほしいと願っていたのですが。

夕食を食べているとき、突然腹痛に襲われ、トイレに駆け込みました。その際、鮮血とともに、”どぅるん”と、何かがでるような感覚があったんです。直感的に「あ、今のは赤ちゃんかもしれない……」と思いました。

すぐに横になり、鎮痛剤を飲みました。腹痛は30分ほどで収まりましたが、同時に涙があふれてきて。

その日の夜「赤ちゃんがいなくなったかも……」と、夫に泣きながら話しました。

――その後、産婦人科で流産が確定したのですか?

はい。エコーで確認すると、見えていた赤ちゃんの袋がなくなっていました。覚悟はしていたけれど、やっぱり「流産確定」と言われると、涙があふれて。

妊娠に気づかず、お酒を飲んでいたのが悪かったのかもしれない。もしかしたらつまづいてこけたのがいけなかったのかも、と自分を責めました。

夫にも「飲みすぎたからじゃないの?」なんて言われたりして。些細な言い争いもしました。

でも、お医者さんいわく初期流産は、受精卵の染色体異常によるものがほとんどで、お母さんの行動や食事などが原因となって流産することはないのだそうです。

そして、30代の女性の15%~20%くらい、つまり5,6人に1人は流産経験がある、ということでした。

――予想以上に多い印象です。

はい。私も聞いた時は、とても驚きました。

私の周りで流産を経験した人の話は聞いたことはないからです。なぜだろうと思っていると、お医者さんは「流産しても、みなさん秘密にしています」と。

「安定期に入ってから妊娠報告を」の意味が分かった気がしました。

流産を経験して感じたこと

妊娠初期の流産を経験したMさん「赤ちゃんの画像_3
――その後、体調はいかがですか?

次の生理が来るまでの1ヶ月は、気分が沈むことも多かったです。

そんな時、お医者さんが言った「あなたのせいじゃない。流産は誰にでも起こりえること」という言葉を思い出していました。

お医者さんいわく、最近の妊娠検査薬の精度がよく、早く妊娠に気付けるようになった一方、今までなら「生理が遅れている」で見過ごされてきた流産に気付いてしまい、悲しい思いをする人が増えたのだそうです。

私もたまに生理が遅れることがあったので、妊娠検査薬を試していなければ、妊娠に気付くことはなかったかもしれないと考えたりしました。

流産から2か月経ち、今では順調に生理も来るようになりました。いつも通りの生活を送っています。

――これからの事を教えてください。

今まで妊娠検査薬で陽性になれば、正常妊娠であり、赤ちゃんは自然に生まれてくる、と当たり前のように考えていました。

でも、流産を経験してから、人が産まれてくるのって本当に奇跡なんだな、と身をもって感じています。

もう少し落ち着いたら、妊活をしてみようと思っています。今は「したい」欲がまったくないですが。

予想外の妊娠・そして流産を経験してからセックスをする意味が変わったような気がします。

ーーどのように変わった?

セックス=子どもをつくる行為、という考えがとても強くなりました。昔のように情熱的なモノではなくなったような気がしています。

そんな変化はちょっぴり寂しいけれど、支えてくれた夫のことは今まで以上に愛しています。

次こそは元気な赤ちゃんを産みたいと思います。

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