1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

「男性に依存」はとても危険。自立とは、依存できる場所を増やすこと

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ーDATAー
吉田さん(仮名)35歳 /既婚 /自営業
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父親が子どもに暴力を振るうように

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――現在の状況を教えてください。

今は、2人の子どもを育てるステップファミリー(※子連れで結婚した家族)ですが、夫とは別居中です。(以下、吉田さん)

――なぜ、別居したのでしょうか。
 
次女が生まれてから、シングルマザーとして育てていた長女に対して、夫の暴言が目立つようになったからです。付き合った当初は、長女の保育園の送り迎えなど、育児にも協力的だったのですが、次女が産まれてから、長女に家事を強要したり、暴言を吐いたりするようになって。私に対する暴力も増えました。

ある日、命の危険を感じ、警察に駆け込みました。すぐに私と2人の子どもはシェルターに即日保護されることになったんです。

――シェルターとはどのような場所でしょうか。

シェルターとは、DV等が起こった場合、一時的に保護してもらえる場所です。別の場所に一時保護されることはあるものの、即日保護が基本で、私もすぐ入居となりました。

住所は非公開で、どこにいるのかがバレないように、通信機器全ての電源を切り、職員に預けました。

――シェルターでの生活はどうでしたか?

突然のことだったので、自分と子どもの着替えくらいしか持ち合わせていなかったのですが、シェルターで服を寄付してもらいました。

食事は3食出て、おやつもありました。幼い次女のために、離乳食を出してもらって。本当に助かりましたね。外出は午前中と午後で1時間ずつと限られた時間のみでした。

――その後、どうされたのですか?

入居後は、ケースワーカーさんが今後の生活について相談に乗ってくれます。私はふたりの子どもを育てていたので、「ひとりで子どもを養育できるか」「今後どうしていくか」を話しました。
 
私は当時、フルタイムで働くOLでしたが、育休中だったこともあり、家を借りるには収入が足りず。

その後、環境面や経済面のヒアリングを経て母子生活支援施設に入ることになりました。

母子生活支援施設で生活して

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――完全に旦那さんとは離れて生活をされていたんですね。

そうですね。身内を含め、母子生活支援施設に男性は一切入れません。

私は今まで、子育てや夫のことで悩んだとき、あまり相談できずにいました。私の異変に気付いた友人に「相談してね」と言われることもあったのですが、そう言われると逆に頼れなくて……。

 その点、施設では、保健師さんや臨床心理師さんなどプロが相談相手になってくれて。(自治体ごとに対応している内容も異なるので、全ての施設に同じサポートがあるは限らないのですが)。
傷ついた心が少しずつ回復していくのが分かりました。 

――母子生活支援施設での生活はどうでしたか?

私の入居していた母子生活支援施設には門限があって、夜11時~6時まで。2DKで毎月の家賃は、7,000円ほどでした。家賃は現在の収入や、貯金などを考慮して、人それぞれ決定されるようでした。

 キッチンもお風呂もついているアパートの一室ですし、サポートもとても手厚いと感じました。たとえば、私がコロナのワクチンの副作用で寝込んでいるときに、子どもの送り迎えを職員の人に頼むことができました。

 入居している人は、何らかしらの心の傷を抱えている人が多かったので、入居者同士の交流はそこまでありませんでした。私自身、シェアハウスのような雰囲気は苦手なので、それが良かったのですが、みんなどこか「踏みこまないでね」という雰囲気はありましたね。

現在は施設を出て、働きながら2人の子どもを育てています。

夫との出会いは、マッチングアプリ

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――旦那さんとは、どうなったのですか?

離婚には至っていないのですが、離れて暮らすようになり、関係は良好です。

次女を泊まりで預けることもあります。長女とも関係性は回復しており、たまに会って話したり、電話をしたりすることも。数ヶ月に一度娘たちをそれぞれの父親に預けるDAYがあり、その日は私も友人とお酒を飲んだりしています。

私は母親を7歳の時に亡くしているのもあって、娘の父親に対しても、「会えるときに会っておかないと」と感じています。 

――そもそも今の旦那さんとはどのようにして出会ったのでしょうか?

 長女が3歳の時、「そろそろ婚活をしよう」と思いました。マッチングアプリを使って、4日目に今の夫とマッチングしたんです。

私は、フルタイムで働いていたので、忙しかったのですが、夫は自営業で時間の融通が利きました。当初は長女の面倒もとてもよく見てくれて。この人となら、一緒にやっていけるかも、と思ったんです。

でも「ステップファミリーの壁を越えて結婚するのが難しい」と言われ、別れを意識するようになりました。ちょうどその頃、私はもう少し長女と一緒にいられるような職場に転職を考えていて、内定が出たら、別れを切り出そうと考えていました。

そして、無事内定が出たので、別れたのですが、その数日後、妊娠が発覚したんです。
 
――予期せぬ妊娠がきっかけでご結婚されたんですね。

はい。次女の出産当日に籍を入れました。

「暮らし」に恋愛を持ち込むのは危険?

――ご自身の経験を通してどのようなことを考えましたか?

私がシェルターや母子生活支援施設での経験を通して思ったのは、男性に依存している女性が多いということです。命からがら逃げてきたのに、また暴力を振るわれていた男性のところに戻ったり、施設を出た後もすぐに彼氏を作って、また辛い思いをしたり。

私自身、最初はそうでしたシングルマザーで子どもを育てられるか、という不安もあり、夫を頼る形で結婚したんです。

シングルマザーの方が彼氏にぞっこんになってしまい、夜遅くまで子どもを置いて出かけてしまう、という話も聞きます。

そういうのを聞くと、なおさら「暮らし」の中に性愛や、恋愛を持ち込むのは危険だと感じました。

自立とは、依存できる場所を増やすこと

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――今後のことを教えてください。

娘たちにはたくさんつらい思いをさせてしまいました。これからは、今まで以上にたくさんの愛を注ぎたいと思っています。

現在私は、児童養護施設でのボランティア活動なども行っていて、いつか自身が民間の母子生活支援施設のような居場所を作りたいという夢を持っています。

 ――どのような居場所をつくりたいと思っているのですか?

シングルマザーや家庭に大きな問題を抱えている人だけでなく、「子育てに少し疲れたから、ほかの人の手を借りたい」と思ったときに一週間入居できる、そんな場所があればいいなと考えています。

私が自身の経験で学んだことは、「自立」とは1人で生きることではなく、依存できる場所が複数あることではないか、ということです。

自立とは「ひとりでできること」だと考える方も多いと思います。でも、違います。

「できない」「無理かも」と言える場所が複数あることが、本当の意味の自立なんです。

私はたくさんの人の支えがあって、今こうして子どもを育てられています。

日本中のお母さんが一旦逃げて休んで、また立ち上がれる、そんな場所をつくりたいと思っています。

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取材・文/毒島サチコ