話題作をいっき見するなら、今!

令和の20代女性が抱える本音が詰まったABEMAオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』が話題になっています。
ABEMA内の総合ランキングで連日TOP10入りをしており、さとうほなみさん、山崎紘菜さん、佐藤玲さん、石橋菜津美さん演じる登場人物たちのリアルさに共感する声がSNSでも多数上がっています。

DAILY MOREで、20代~30代の恋愛・セックス体験談を取材した連載『モア・リポート』(  https://more.hpplus.jp/love/morereport  )を執筆している、今年30歳を迎えたライター毒島サチコが、ABEMAオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』を企画・プロデュースした藤野良太さんを直撃取材しました。
(左から)佐藤玲さん、山崎紘菜さん、さとうほなみさん、石橋菜津美さん
(左から)佐藤玲さん、山崎紘菜さん、さとうほなみさん、石橋菜津美さん

ストーリー

「どうして私たちは、年齢に縛られて生きなきゃいけないんだろう? 」
女がゆえ抱えるリアルな悩み/焦り/怒りをユーモラスかつ痛烈に描く。現代の東京を生き抜く29歳独身女性たちの恋とキャリアとセックス、そして友情の物語。これはきっと、今を生きるあなたの話。

なぜ私たちは30歳になるのが怖いのか

藤野良太プロデューサー インタビュー【前編】

なぜ、30歳を前にすると焦り、息詰まるのか?
焦っているのは、望んでいる自分になることができていないから?
子どもが欲しいから?
それとも、
周りから「結婚しないの?」と訊かれることが増えるから?

女性の本音が詰まっているこのドラマがどのように生まれたのか……。
藤野良太プロデューサーのお話しを通して、新たな時代を生きるヒントが見えてきました。
ドラマ場面写真

東京で働くアラサー女性は二極化している

――『30までにとうるさくて』は、まさに30歳を迎えた筆者をはじめ、around 30の人たちに非常に刺さるタイトルだと思います。
このドラマを企画した背景からおうかがいできますか?

藤野良太さん(以下、藤野さん)「ドラマの企画が動き始めた時、企画会議でサイバーエージェントの女性社員があまりABEMAのドラマを観ていないということが話題に上がったんです。サイバーエージェントの女性社員=東京で働いている女性、です。つまり、“働く女性たちが時間を投資してでも観たいと思えるドラマが少ないのではないか”という疑問が生まれたんです。

それなら、意欲的に働いている20代の女性に届くドラマを作ろうと考え、届けたいターゲットを思い切って絞りました。

『まずは取材だ!』ということで、東京で働く30歳前後の女性30人くらいに話しを聞きました。

そこで見えてきたのは、東京で働く女性は、“人生に葛藤している人”と“そうでない人”の二種類に分かれる、ということだったんです」
ドラマ場面写真

29歳。悩むのは総合職の人が多い?

――人生に葛藤する女性とそうでない女性の違いはどこにありますか?

藤野さん「『人生に悩んでいる』という回答は、会社勤めの総合職の人に多い傾向にありました。仕事を頑張っている一方、不安を抱えていたのです。

その原因のひとつには、プライベートでも仕事と同じように、将来に関する多様な情報を一生懸命集めてしまう、というところにあるのではないかと考えました。

たとえば、SNSで他人の人生が可視化されていることで、自分と比較してしまい、不安が膨らんでしまう。他人の人生を見すぎてしまうことで、『私はこのままでいいのだろうか……』と、不安になってしまうといった傾向です」

――SNSを見た時、自分以外の人がキラキラして見えて不安になる、そんな経験は私にもたしかにあります。

藤野さん「情報を集めることで“自分の軸”がぶれてしまうんですよね。情報収集に積極的で、感度の高い女性ほど、葛藤を抱えているということが、取材を通して見えてきたんです」

「私はこれで生きていく」と決めている人は悩まない?

――不安を抱えていない女性の特徴については?

藤野さん「自分のやりたいことが明確で「私はこれで生きていく」と決めている人たちは、人生に対してポジティブな傾向にありました。たとえば、専門職の人など。そういう人たちにとっては、30歳はひとつの通過点なのかもしれません」

――明確に人生の目標を持っている人にとっては、30歳というのはあくまでも「通過点」。一方、そうでない人にとっては、30歳というのが「悩みのきっかけ」になることがある。そういうことですね。
ドラマ場面写真

30歳前後の女性が抱える「生きづらさ」

藤野さん「それだけではなく、日本社会が抱える課題もあります。生き生きと働く女性は増えたけれど、家事や育児の負担は女性にばかりかかっていたり、根深い男性社会の中で苦しんでいたり。女性が頑張って生きようとすればするほど、大きなストレスを抱えることは事実です」

――女性が活躍する場が増えたとはいえ、まだ日本社会は男性中心ですよね。『30までにとうるさくて』の予告動画を拝見しましたが、不倫をめぐるシーンがありました。社内不倫をした男性は役職を保ったままだけれど、相手の女性は有無も言わさず飛ばされるという内容でしたね。

藤野さん「それも実際の話がベースなんです。同じフロアで働く男女が不倫をした際、男性はそのままの役職に残り、女性だけ他部署へ飛ばされた。ドラマ中のエピソードは、すべて取材で聞いたリアルな話をベースにして構成しています。

彼氏とはセックスレスだけど、性欲の強いバリキャリ女子の主人公・美山遥(29歳)は10人くらいの女性をモデルにして作り上げています」

――だから、リアルで共感する点も多いんですね!
ドラマ場面写真

女性の本音から生まれたドラマ

藤野さん「もうひとつ、ドラマを作る上で着目したのは、そうした女性たちがストレスを発散する場所や、声を上げる場所、性欲を解消する場所などが少ないのではないか?という点でした」

――具体的にはどういうことでしょうか。

藤野さん「たとえば、ストレスや性欲を解消する方法は、男性はたくさんあるわけですよ。でも、女性にはそういう場が少ない。その背景には、日本の性教育の内容や、古い価値観などの影響があるのではないでしょうか。特に、女性が性について話すのは恥ずかしいという風潮。男性の中には、『女性には性欲がない』という誤った認識を持っている人までいます」

「セックスについて語っていいんだ!」

藤野さん「『30までにとうるさくて』を観た人同士で語れるきっかけが生まれれば、と思います。今までは他人に言ってはいけないと思っていたことを、ドラマを通して『あ、話してもいいんだ!』『セックスについても語っていいんだ!』と思ってもらえたら嬉しいですね」


【前編】では、仕事、恋愛、結婚、出産、セックス...。29歳の女性が抱える悩みについてお話しをお伺いしました。
【後編】では、どうしたらその悩みを解決できるのかを、藤野プロデューサーとともに考えます。
>>【関連記事】女優さとうほなみインタビュー「年齢にとらわれず、今を楽しむことが大切」
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ドラマ場面写真

藤野良太 プロフィール

ABEMAオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』企画・プロデュースを担当。これまでプロデュースしたドラマは国際エミー賞、バンフ世界メディア祭、ニューヨークフィルフェスティバルに出展。第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞・作品賞受賞。第36回ATP賞テレビグランプリ・ドラマ部門奨励賞受賞。代表作は「水球ヤンキース」「恋仲」「好きな人がいること」「刑事ゆがみ」「グッド・ドクター」「僕だけが17歳の世界で」「17.3 about a sex」など

作品紹介

ABEMAオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』

放送:毎週木曜 22時~(全8話)
放送チャンネル:ABEMA SPECIALチャンネル
企画・プロデュース:藤野良太
脚本:山田由梨
演出:金井紘
出演:さとうほなみ、山崎紘菜、佐藤玲、石橋菜津美/堀井新太、栁俊太郎/島崎遥香、中田クルミ・菊池亜希子
©AbemaTV, Inc.
■番組詳細は下記からcheck!
 『30までにとうるさくて』(無料)
文/毒島サチコ