人気急上昇の俳優ビョン・ウソクの悪役姿が観られる『力の強い女 カン・ナムスン』をチェック!【韓ドラオタクおすすめの1本】
悪役に初挑戦したビョン・ウソクのヤンデレ演技が光る!
韓国ドラマ大好き!なライターがおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は、女性たちへの力強いエールとビョン・ウソクのヤンデレ演技がさく裂する『力の強い女 カン・ナムスン』のあらすじと見どころを紹介します。
『力の強い女 カン・ナムスン』
全16話
出演:イ・ユミ、キム・ジョンウン、キム・ヘスク、ビョン・ウソクほか
Netflixシリーズ「力の強い女 カン・ナムスン」独占配信中
あらすじ
ナムスン(イ・ユミ)は、幼い頃、父親と訪れたモンゴルで迷子に。その後、モンゴル人夫婦に保護され育てられるが、幼い頃の過去の記憶をなくしてしまう。育ての親から十分な愛情を注がれて成長したナムスンは、保護された時の所持品から、自分が韓国出身であることを知る。生き別れた家族を探すために韓国へと渡るが、新種麻薬事件に巻き込まれ、自身の真の強さを試されることになり……。
ここが見どころ!
本作のストーリーは、代々、女性にだけ怪力が受け継がれる遺伝子を持つヒロインと、その母と祖母、3世代が世直しをしていくというもの。
22歳の主人公カン・ナムスンを演じるのは、あの『イカゲーム』のイ・ユミ。母ファン・グムジュをキム・ジョンウンが、さらに恋に世直しにと人生を謳歌する祖母キル・ジュンガンを、“国民の母”と異名を持つキム・ヘスクが演じています。
「怪力女性がヒロイン? その設定、どこかで……」と思った方、正解です!
本作は、2017年に放送されたドラマ『力の強い女 ト・ボンスン』のスピンオフという位置づけ。前作の主人公カップル、ト・ボンスン(パク・ボヨン)とボンスンの相手役であるアン・ミンヒョク(パク・ヒョンシク)が、本作にカメオ出演しているので、そちらも探してみてくださいね。それでは、ストーリーのみどころを紹介します。
正義感が強く、天真爛漫なナムスンのドタバタ劇にスカッ!
まず、何といってもモンゴルで育ったナムスンの、竹を割ったような性格が気持ちいい! 都会育ちの人間にとって「本音と建て前」は社会常識のひとつ。しかし、大自然の中で育ったナムスンにとって、そんな常識なんてはおかまいなし。いいことはいい、ダメなことはダメと正直に言うし、理不尽さを感じたら訴えるし、わからなかったらその場で素直に質問します。そこがいいんです! セクハラ、パワハラ、モラハラなど、世間の女性たちを悩ませている諸問題を気持ちよく(物理的にも)ぶっ飛ばしてくれます。
スカッと度を高めているのは、若くしてホームレスとして暮らす彼女の友人たちや、詐欺師にならざるを得なかった若者、さらには新型麻薬を牛耳る悪の組織といった闇の存在を、しっかりと描いているところ。
ジェンダーや貧富の差、詐欺や薬物といった社会問題を適度に混ぜ込み、ただのアクションコメディではなく、社会派エンターテインメントとして魅せる手法は、さすが韓国ドラマ。爽快で痛快です。
「その人らしさ」を全肯定する力強いメッセージ性
冒頭でナムスン一家の女性たちの特徴について話しましたが、それでは男性陣はどうなのでしょうか。はい、「気弱で優柔不断」「力が弱く、メンタルも発言力も圧倒的に女性よりも弱い」。つまり、ナムスンの家の男性たちは、基本的に女性陣のいいなり(笑)。しかし、スーパーパワーで実力行使する彼女たちとは別の形で、物事をサポートしています。彼女たちの暴走を諫めたり、(たまに)助言を与えたり、いっぱいご飯を食べることで癒し(?)を与えたり。誰かにとっての欠点が、別の誰かの長所や魅力になることを教えてくれます。
劇中、「弱い男もいれば、強い女もいる」と、ナムスンに言わせることで、「男女に差」があるのではなく、「個々の差」、つまり、「その人らしさ」であることを肯定しています。「女が強くて何が悪いの? 私は私だし、それでいいよね」。そんなナムスンのまっすぐな心の声が聞こえてきそう。巷でよく耳にする「女らしさ」「男らしさ」といった表現のくだらなさを笑い飛ばす姿勢が清々しくて、観ていて気持ちいい!
また、ナムスン一家の、三者三様の生き様も見逃せません。
ナムスンの母親・グムジュ(キム・ジョンウン)は、2児の母親であり、質屋の経営者で江南のフィクサー。まわりには成金と揶揄されているけれど、財閥2世や3世の集まるパーティで「金持ちだけが住みやすい世の中ではなく、皆が住みやすい世を」とスピーチするなど、安心安全で公正な世の中を作るため、世直しの日々。
そして、ナムスン祖母のキル・ジュンガン(キム・へスク)は、牛マークが目印のオープンカー(しかもランボルギーニ!)を乗り回す、食肉業界の“生きる伝説”。引退後、悠々自適に過ごしていたある日、恋に落ちた相手が高齢者相手の詐欺に遭う。そこから、高齢者をターゲットにした犯罪が横行していると知ったジュンガン。彼女の中で眠っていた正義感に火が付いて……。
一代で財を築き上げ、孫のいる年齢になっても恋をし、その街に暮らす人々の平和を守る、ナムスン一家の女性たち。
彼女たちの姿には、現代に暮らす私たちを縛っている、「性別」「肩書」「年齢」からの解放というメッセージが込められているように思えてなりません。
大ブレイク中のビョン・ウソクの悪役ぶりに沼る!
今年、『ソンジェ背負って走れ』で大ブレイクを果たした俳優、ビョン・ウソクも出演。初恋の相手に一途な男リュ・ソンジェの十代から三十代までを見事に演じ分け、“青春の代名詞”“夏の擬人化”“国民の初恋”“記憶操作男”“月曜日の治療薬”という異名をつけられるほど、韓国ドラマファンからの熱い愛を捧げられている俳優です。
そのビョン・ウソクが、本作では、流通販売会社・DOO-GOの代表リュ・シオを演じています。腹の内どころか感情ひとつ見せず、目的のためには手段を選ばない冷徹さで、次々にミッションを進めるシオ。実は麻薬の製造・流通にまで手を染めていて、部下に指令を下す姿は“悪党”そのもの。『ソンジェ~』で魅せたピュアさとさわやかさがまったくない、“ダークなカリスマ”演技にきゅん!
その生い立ちから極悪非道にならざるを得なかったシオは、ナムスンを観察するうちに、心に立ち上ったはじめての感情と向き合います。
最初は、非凡な能力を持つナムスンがいれば自らの組織内での立場が盤石になると所有欲をむき出しにしていたシオ。しかし、利用しようと彼女と過ごすうちに、その天真爛漫ぶりにほだされて、次第に女性として意識するようになるのでした。
そして、「俺と付き合う?」「一日中君がいなくて気になったし、会いたかった」「僕に好かれるのは嫌かな?」と、ナムスンに猛アタック! 神が生み出した唯一無二の完全完璧ルックスから放たれる熱烈な愛の告白に畳みかけられたら、自分なんぞは好きじゃなくても秒で恋に落ちて、「好き好き大好き、愛してる!」と全世界に向けて叫びまくると思うのですが、そこはナムスン。ハートも超人。
「私も韓国ドラマが面白かったら次の話が気になるし、観たいし、そういうことじゃないですか」とはぐらかすのですが、すかさずシオは「僕が好きなのが嫌なんですか? 心配しないで、急がないから」と、鋼鉄のハートで迎撃。
どうすればシオ(というかビョン・ウソク)を愛さないでいられるのか、本気で教えてほしい……。
強烈なヤンデレモードで愛を語るビョン・ウソクの姿は、2024年6月現在、本作でしか観ることができないので、ぜひともチェックしてください。
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『力の強い女 カン・ナムスン』
全16話
Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で食べまくりました。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。最近、念願の「漢江ラーメン」を食べました。漢江のたもとで食べるラーメンは、控えめに言って最高!