教えてくれたのは 関屋裕希さん
臨床心理士。東京大学大学院医学系研究科客員研究員。専門分野は職場のメンタルヘルス。現在、新型コロナウイルスの拡大によりニーズの高まるストレスマネジメントプログラムの研究開発にも携わる。著書に『感情の問題地図』など
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オン&オフを切り替えるコツは、景色を変えること!

一人暮らしの場合、仕事や食事、オフの時間もすべて同じワンルーム……という人も多いはず。一日の中で気持ちにメリハリをつけてリモートワークをこなすにはどうすれば? すぐに実践できるポイントを、臨床心理士の関屋裕希さんが解説します。
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ちょっとした工夫で、リモートワークへの集中力がアップ。

働き方もコンディショニングも、小さな工夫やメリハリで快適に

ワンルームのリモートワーク中、気持ちを上手に切り替えるコツは、物理な環境の変化にあり。
「たとえば、仕事をする時は壁の方を向いて座り、オフの時間は逆に壁を背にして過ごすなど、見える景色を変えるだけでも意識は変わります。テーブルの上も、仕事の時は仕事道具だけを置き、食事やオフの時間は仕事道具を見えないようにしまうことも重要です」(関屋さん、以下同)

1日のリズムを整えるためにも、ランチの時間帯はあらかじめ決めておくと◎。
ランチョンマットを敷くだけでも気分が変わるのでおすすめ。そして、食事が済んだらすぐ仕事を再開するのではなく、1時間なり45分なり、昼休みにしっかり休憩することでメリハリをつけられます」
もちろん、仕事の都合で多少ズレたからといっても落ち込む必要はなし!

けれど、慣れない働き方・広いとはいえない部屋での作業にストレスが溜まるのは当然。
こういう状況で心を落ち着かせたくても余計にイライラしやすいので、リモートワーク中のイライラは発散させる方向で考えて。
歌う、踊る、笑うといった方法のほか、パンをこねたりタオルを振り回すなどの行動も効果的。難しく考えず、体のこわばりをほぐすために1時間ごとにアラームをかけて、立ち上がったり伸びをするだけでも10秒前とは確実に気分が変わるはずです。部屋の換気や散歩などもいいリフレッシュになりますよ」

リモートワーク生活は、働き方もコンディショニングも自分次第。
仕事を終えたらリラックスできるよう、いつも以上に快適さ&心地よさを意識して。ちなみに、香りの力で仕事モードに切り替えたい時は、柑橘系がオススメだそう。
「自分自身に意識が向きやすく変化に気づきやすい状況でもあるので、心地いいことや楽しいことの行動リストを作って、実践しながら随時アップデートするのもいいですね。さみしくなったら、流行りのオンライン飲みで友人の顔を見てリフレッシュするのもひとつの手。あるいは、自分と似ていたり、憧れやシンパシーを感じる人の作品に触れることでも孤独感は軽減されていきます

初めてのリモートワーク生活は、必要なセルフケアを身につけるチャンス。好きな香りの入浴剤やふわふわのタオル、お気に入りの部屋着、愛犬との時間など、自分の”好き”をじっくり見極めてみて。
取材・文/国分美由紀