ちゃんと知りたい! 日本での同性婚の現状

大切なパートナーと人生をともにしたいと思っても、法律的に「結婚」を認められない人たちがいる。自由に、そして平等に、結婚する・しないを「選べる」社会をつくるには……? LGBTQ+の権利を啓発する“プライド月間”の6月こそ、みんなで考えてみよう。まずは日本と世界における「同性婚」の歴史と現状を知ることから始めてみよう!

女性同士の同性婚をイメージしたイラスト

お話をうかがったのは……

ライター
松岡宗嗣さん

LGBTQ+に関する情報を発信する一般社団法人『fair』の代表理事。当事者の立場から政策や法制度に関して執筆等を行う

弁護士
寺原真希子さん

公益社団法人『Marriage For All Japan - 結婚の自由をすべての人に』代表理事でもあり、全国の同性婚訴訟にも関わる

同性婚が認められないことで、当事者たちにはさまざまな困難が!

☑︎ 財産の相続ができない
☑︎ 外国人パートナーは同じ国で暮らせない
☑︎ 命に関わる時にそばにいられない
☑︎ 子供を育てても家族になれない
☑︎ 夫婦や家族が使える制度が使えない

法的な結婚が認められていないと“家が借りられない”、“死に目にあえない”などさまざまな困難に直面してしまう。「結婚という仕組みは、実はパートナー間に必要な“権利”のパッケージになっています。法制度は国民を守るためのもの。平等であってほしいですよね」(松岡さん)

『パートナーシップ制度』を導入している自治体は278に! ※2023年4月時点

日本全体の人口に対するカバー率はもうすぐ7割に。「取り組みが全国に広がることで、同性婚の法制化に賛成する人も増加。仕組みはみんなの意識を変えると思うんです」(松岡さん)

“子供には男女の親が必要”“少子化が進む”という懸念は根拠なし!

34カ国で同性婚が認められていますが(2023年2月時点)、出生率や家族の価値観に影響したという因果関係はないそう。「むしろ、同性婚が認められると当事者の生きづらさが軽減し自殺率が大幅に下がるという研究結果が」(寺原さん)、「同性カップルに育てられた女性が首相になった国もあります」(松岡さん)

男性同士の同性婚をイメージしたイラスト

実は『パートナーシップ制度』に法的効力はほぼなし

法的な効力がないため、相続ができない問題や共同親権を持てない問題などは解決していないのが現状。「市区町村などができることには限界があります。とはいえ、自治体が制度を取り入れることで国会議員の問題意識を高めたり、LGBTQ+の人たちの勇気につながったり、プラスの効果も」(寺原さん)

選択の自由をすべての人に! 必要なのは選択肢の平等

実現すべきなのは“異性同士でも同性同士でも結婚という選択肢が平等に与えられること”。「もちろん、同性カップルにも異性カップルと同じように結婚を希望しない人もいます。ただ、誰もが結婚するかしないかを選べる状態が、人権の守られた社会だと思いませんか?」(松岡さん)

同性パートナーにも家族と同等の権利を認める企業・団体も

「たとえば、『KDDI』には同性パートナーを配偶者として認めるだけでなく、同性パートナーの子を“家族”として扱う制度が」(松岡さん)。「賛同を可視化する『Business for Marriage Equality』という取り組みで、婚姻の平等、同性婚の法制化に賛同してくれる企業・団体が、なんと370社を超えました」(寺原さん)

同性婚は民法を改正すれば実現可能!

“同性婚の法制化に憲法改正は必要ない”という意見が専門家の間では多数派。「婚姻にまつわる民法の語句を少し置き換えるだけで同性間の結婚が可能となり、戸籍制度自体の変更は必要ありません。技術的に言えば難しくなく、制度化となれば短期間で実現できるはずなんです」(寺原さん)

同性婚が認められないと、差別が再生産される!?

「国が同性婚を認めないことは『LGBTQ+の人々には法的保護を与える必要がない』という否定的なメッセージを発しているのと同じこと。それが社会全体に影響を与え、LGBTQ+への差別を増長してしまう側面も。さらにそれが当事者のスティグマ(負の烙印)となり、抑圧され続けてしまうという問題も」(松岡さん)

女性同士の同性婚をイメージしたイラスト

同性婚の“これまで→今”がわかる! 年表

同性婚の歴史から重要点をピックアップ。世界に比べ、日本はかなり遅れているかも……。

2001年
▶︎世界で初めて、オランダで同性婚が法制化

2014年
▶︎青森県在住のレズビアンカップルが市役所に婚姻届を提出。しかし憲法を根拠に不受理。

2015年
▶︎同性カップルら455人が、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てる。
▶︎東京都渋谷区に『同性パートナーシップ条例』ができる。
▶︎アメリカの連邦最高裁判所が「同性婚を憲法上の権利として認める」と判断。

2019年
▶︎日本で「結婚の自由をすべての人に」訴訟が、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡地裁にて提起。
▶︎アジアで初めて、台湾で同性婚が可能に。

2022年
▶︎2021年に札幌地裁で「同性同士の結婚が認められていないのは憲法違反」と判断されたのに続き、東京地裁でも「同性パートナーと家族になる法制度がないことは憲法違反」と判断。ただ、大阪地裁は「違反せず」と判断。

2023年
▶︎岸田首相が、同性婚や夫婦別姓について「家族観や価値観、社会が変わってしまう」と発言し物議を醸す。
▶︎5月30日には名古屋地裁判決、6月8日には福岡地裁判決を予定。また、札幌訴訟、東京訴訟及び大阪訴訟については、それぞれ高裁へと審理の場が移動。

イラスト/中島ミドリ 取材・原文/衛藤理絵 ※MORE2023年7月号掲載