プライド月間の今こそ考えたい、同性婚のこと。

大切なパートナーと人生をともにしたいと思っても、法律的に「結婚」を認められない人たちがいる。自由に、そして平等に、結婚する・しないを「選べる」社会をつくるには……? LGBTQ+の権利を啓発する“プライド月間”の6月こそ、みんなで考えてみよう。

当事者が今考えていること。感じていることは?

現場ではどんなことが起こっていて、どんな悩みがあるの? 当事者たちに、“本当のこと”を教えてもらいました。

必ず世の中は変わる。そう信じて活動していきたい

みたらし加奈
臨床心理士・公認心理師
みたらし加奈さん

臨床心理士・公認心理師として活動するだけでなく、マイノリティへの理解を深め、差別や偏見をなくすための講演・活動を行っている。NPO法人『mimosas(ミモザ)』副理事でもあり、SNSを通してメンタルヘルスの情報を発信

心理師として、ひとりの当事者としてLGBTQ+に寄り添い活動を続けるみたらしさん。彼女が感じてきた、日本の同性婚のリアルとは?

世の中は変わってきている。けれどまだ足りない

「ここ10年で、だいぶ世間の流れが変わった実感があります。メディアでもよく取り上げられるようになりましたし、情報発信をする当事者もかなり増えました。

私は以前、同性パートナーとYouTubeチャンネルを運営していたことがあるのですが、その頃は日本に女性同士のカップルYouTuberはほぼいなかった記憶があります。彼女とは真剣に交際し、アメリカでの結婚を目指しハワイ留学までしました。しかし、結婚のハードルは思ったより高くて……。

元気な時は『頑張ろう』と前向きに思えるのですが、疲れてくると『私たちはどうなるの?』という不安が襲ってくるんです」(みたらし加奈さん、以下同)

法的に結婚できないことが当事者の大きなストレスに

「結婚できないことからくるゆがみは、リレーションシップに影を落とします。数年後、私と彼女は別々の道を歩むことを決めました。同性婚が認められていない日本において、同性パートナーと長く関係を続けるということは大きな覚悟とパワーがいること。さまざまな理由で、幸せを諦めざるを得ないケースがたくさんあるんです。

パワフルに活動する当事者たちだって、底なしに力がわいてくるわけではありません。でも『応援の声があるだけで勇気を取り戻せる』と皆さん口をそろえて言いますね。それに、みんなの声が集まれば『これは見逃せない問題だ』と政治家に訴えかけることだってできます。私自身、同性婚の問題を考えていくうちに、この問題が政治と大きく関わっていることに気づきました。

実は最近、政治家を目指す妹とともに『アネイモ』というYouTubeチャンネルを開設しました。同性婚だけでなく、さまざまな差別や偏見のない社会をつくるために活動していくつもりです。よかったら皆さんもぜひ遊びにきてくださいね。一緒によりよい社会をつくっていきましょう」

撮影/つぼいひろこ 取材・原文/衛藤理絵 ※MORE2023年7月号掲載