1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

妻の不倫が発覚し、結婚2年目で離婚へ

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ーDATAー

川原さん(仮名)29歳 /会社員/未婚/男性

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洗濯かごにあるはずの下着がない

W不倫サレ夫の実話

ーー不倫が原因で離婚した経験がある?

はい。元妻の不倫が発覚し、昨年離婚しました(以下同、川原さん)。


ーーなぜ不倫に気づいたのですか?


元妻のスマホを見てしまったんです。

LINEのやりとりで「今日はホテルで楽しかったね」と、明らかに肉体関係があったとわかる内容のものを見つけてしまいました。


ーースマホを見たのはいつですか?

休日の夜、元妻が帰ってきてシャワーを浴びている時です。女友達と出かけたり、帰りが遅くなったりする回数が増え、彼女に対する違和感が強くなったタイミングでした。

その日も夜遅くに帰ってきてシャワーに直行したので、「やっぱり何かおかしいぞ」と。それで洗濯かごをのぞいてみると、なぜか下着だけなかったんです。


ーー下着はどこに?


シャワー後、彼女に不倫を問い詰めたら「下着は汚れたからクローゼットに隠した」と言い、あまりの生々しさに目の前が真っ白になりました。


ーー早々に不倫を認めたのですね。


そうですね。元妻は隠すことなく、すべて僕に打ち明けました。その日も、不倫相手とデートをしてホテルに行っていました。


ーー不倫が確定した時、どのような気持ちになりましたか?


疑っていたとはいえ、心のどこかで元妻を信じたい気持ちがあったので、不倫の証拠を見てしまった時は呼吸もできなくなるほど動揺しました。

そもそも僕が彼女と結婚を決めたポイントのひとつが「異性関係がしっかりしていた」でした。そういう意味で信用できると思って結婚したのに、たった2年で不倫されるなんて。

でも、時間がたつにつれ、動揺する一方でどんどん冷静になっていく自分もいました。

不倫相手は会社の上司で、既婚者だった

W不倫サレ夫の実話

――不倫相手はどんな人だったのですか?

不倫相手は、元妻の会社の上司で、ひと回り以上年上の男性でした。相手は結婚していて子どももいたんです。いわゆるW不倫です。

元妻が不倫を認めたので、僕は彼女のスマホから不倫相手である男性に電話をかけました。電話にはでなかったので、LINEを送りました。


ーーどのような内容ですか?

「法的手段をとります」と淡々とした内容を送りましたね。男性からはすぐに返信があり「すべて僕が悪かったです。今後やり取りはこちらでお願いできますか?」とメールアドレスが送られてきました。その日、僕は妻からスマホをあずかり、不倫の証拠を全部おさえました。


ーー法的手段とは、慰謝料のことですか?

そうですね。次の日、僕も元妻も会社を休んで2人で話し合うことにしたんです。


ーー離婚を考えた?

あまりに突然の出来事だったので、すぐに「離婚」にはたどり着けるはずもなく。彼女に対して愛情もあったので、離婚という選択はありませんでした。

僕は今後について話し合おうというスタンスだったのですが、彼女から「離婚したい」と切り出されたんです。

妻から切り出された離婚「前からずっと考えていた」

W不倫サレ夫が告白する離婚の顛末「元妻にの画像_3

ーー彼女のほうが離婚を考えていた、ということですか?

はい。「前から離婚したいと思っていた」と言われました。僕たちには子供もいないし、まだふたりとも20代なのでやり直しもきくだろう、と。


ーー彼女が離婚を考えていた理由はなんだったのでしょうか。

わかりません。急に「前から考えていた」と言われても思い当たることがなかったんです。どうしてもっとはやく言わなかったの」と伝えると「言える雰囲気じゃなかった……」と。僕は夫婦仲は良かったと思っていたし、休日はふたりでよく出かけていたので、寝耳に水でしたね。


ーーセックスレスなどの問題は?

結婚前と比べると、スキンシップは減ったと思いますが、まったくない状態ではありませんでした。

ーーその後どうなりましたか?

恥ずかしながら不倫された僕の方が「やりなおしたい」という展開になりました。でも、元妻は「離婚したい」の一点張りだったので、折衷案として別居することになったんです。

別居後、義父は「幸せにするっていったよな?」と逆ギレ

W不倫サレ夫の実話

自分の両親には理由は告げず「もしかしたら離婚することになるかもしれない」と報告し、元妻の両親には「彼女が不倫をした」と正直に伝えました。


ーー義両親も驚いたのではないですか?

そうですね。義両親はすぐに僕に謝りにきました。でも翌日、義両親は元妻と3人でのんきに東京観光をしていて驚きました。妻はもちろん、義両親もまったく反省していないのではないか……と。


ーーその後、話し合いはしましたか?

何度か話し合いを重ねたものの、元妻の反省していないような言動もあり、離婚を決意しました。離婚が成立するにあたって、僕は元妻と彼女の不倫相手に慰謝料を請求しました。


すると、元妻から「このくらいしか払えない」と、ふざけた金額がきたので、義両親に連絡したんです。すると義父は僕に逆ギレし、「お前、挨拶にきた時、幸せにするっていったよな?」「娘が不倫をしたのはお前のせいだろう!」と言われました。


彼女が僕のことをどのように義両親に伝えていたのかわかりませんが、義両親は完全に彼女の味方でしたね。

離婚後も癒えない、不倫されたトラウマ

W不倫サレ夫の実話

ーーその後どうなりましたか?

弁護士に相談し、不倫相手と元妻にそれぞれ慰謝料を請求し、正式に離婚しました。

僕の場合は「すべて僕が悪いです」と、不倫を認めたメールが証拠となり、慰謝料の交渉を有利に進めることができました。やり直す場合でも、離婚する場合でも、慰謝料を請求する場合は、感情的にならず、すぐにプロに相談することが必要だと思いました。


ーー不倫からの離婚を経験した今、どう思いますか?

不倫って“心の殺人”と聞いたことがあります。まさにその通りだと思いました。「不倫」の証拠を見た時のトラウマは一生忘れられないと思います。


もし今後、再婚したとしても、僕は相手を疑ってしまうかもしれません。元妻にされたことは、一生治らない心の傷として残っていますから。不倫は、ひとりの人生を壊す行為です。彼女を許すことは一生できないと思います。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。