知らないから出ないんだ! 便秘にまつわる「10の真実」

ただの便秘とあなどるなかれ! 真実を知らずに過ごしていると、するりと出るべきものがまさかの大渋滞に! 今すぐ知っておきたい、便秘にまつわる「10の真実」を大公開します!

【教えてくれたのは……福澤麻理先生】
『西新宿きさらぎクリニック』副院長。クリニックでは便秘外来を受け持ち、便秘事情に精通しているお通じのプロフェッショナル
【便秘の真実1】●●●の食物繊維が必要

食物繊維を十分に摂取することが、便秘解消の大きなサポートに。「腸内の水分などを吸着して膨らみ、便の“かさ”を増して排便を促す『不溶性食物繊維』がよく知られていますが、粘度が高く便の水分量を増やして軟らかくする『水溶性食物繊維』も不可欠です。不溶性7 :水溶性3 の割合が理想的といわれています。消化に時間のかかる不溶性食物繊維は摂取しすぎると腸に負担がかかってしまい、便秘を悪化させる場合もあるので注意が必要。その場合は不溶性を減らして水溶性を多めにとりましょう」(福澤先生、以下同)


【便秘の真実2】便の●●が水分である
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健康な人の便は80%が水分で、残りの20%は食べかす、生きた腸内細菌、はがれた腸粘膜が3 分の1 ずつを占めるのだそう。ところが、「便秘で大腸に便がとどまっていると水分が吸収されてしまい、コロコロとした硬い便になってしまいます」。また、腸壁にへばりついて一生取れないような「宿便」というものは存在しないのだそ
う! 「長さや位置といった腸自体の形状や、食事や疲れ、気候などの外的ストレスからくる自律神経の乱れが原因で便が渋滞しているだけ。ずっと詰まっているのではなく、いつかは出ます。まずは生活習慣を見直しましょう」


【便秘の真実3】毎日出ていても●●●があれば立派な便秘
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便秘とは、快適に排便ができない状態のこと。「たとえ毎日出ていても、量が少ない、コロコロしている、残便感がある、排便できずにお腹に張りや痛みがあるなど、不快感がある状態を『便秘』といいます。逆に2 ~ 3 日お通じがなくても、不快感がなければ便秘とは限りません。また、香辛料やジャンクフードなど食事の内容が影響して一時的に不快感があったとしても、続かないのが普通。まずは、きちんと自分の症状を把握することが大切です」。いわゆる“快便”とは、1 日1 回以上、バナナ形の便がスムーズに出る状態が目安だそう。


【便秘の真実4】便秘になると●●●のリスクが

実は、便秘によって、肌のカサカサや吹き出もの、ニキビといった肌荒れのリスクも増加するのだとか。「大腸には、水分を吸収する働きのほかに、吸収した栄養素を血流にのせて全身に送り込む働きがあります。ところが、便秘で大腸に長時間便が残っていると、腸内で腐敗が進んで悪玉菌が増え、アンモニアなどの有害物質が発生。この有害物質が腸で排出しきれなくなると、栄養素と一緒に血液中に取り込まれてしまい、皮膚のターンオーバーを妨げる原因に。その結果、さまざまな肌の不調が現れてしまうのです」


【便秘の真実5】●●にくいのは便秘も一因

便秘によって発生するアンモニアや硫化水素などの有害物質は、肌荒れだけでなく、ダイエットにも影響があると考えられている。「本来なら、肝臓で栄養素の代謝や吸収をする際に使用されるはずのエネルギーが、血液中の有害物質を取り除くことに浪費されてしまうため、体の基礎代謝が低下します。それが肥満やむくみの一因となり、結果としてやせにくい体質になってしまうのです。つまり、便秘を解消すればエネルギー代謝が高まり、やせやすい体になるということ。女性にとって便秘は、まさに美容の大敵といえます」


【便秘の真実6】●●トイレのほうが出しやすい
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「トイレで前傾姿勢になってかかとを上げたポーズを取ると、便の出口である肛門と直腸がほとんど一直線に近い角度になるため、便がスムーズに排泄されやすくなります。その点では和式トイレのほうが出しやすいといえるかもしれません。洋式なら足もとに踏み台などを置くのも一案です」。また、便秘の人は長時間トイレにこもる傾向があるけれど、実は逆効果なのだとか。「長時間いきみすぎると肛門に大きな負担がかかるのでやめましょう。便意を感じてトイレに入り、5 分待ってみてダメならトイレから出て、次の便意を待つほうが効果的です」


【便秘の真実7】便秘になると悪い●●が発生
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腸には「口から入るガス」と「腸内で発生するガス」の2種類のガスが存在。これらは血液中に吸収されたり、おならやげっぷとして出たりするが、成人は1 日平均2〜3ℓものガスを排出するといわれる。「便秘になるとお腹が張るのは、腸内細菌のバランスが崩れることで悪いガスが発生し、通常よりも相対的にガスの量が増えてしまうから。便秘でガスが出なくなっているわけではありません。また、悪いガスや有害物質がたまりすぎると体は排出しようとするため、血液に取り込まれて体臭や口臭となってしまうこともあるので要注意です」


【便秘の真実8】下剤を使い続けると●●●になる

つらい便秘を解消しようと下剤を使った経験のある人も多いはず。「どうしてもつらい時にだけ使うのならいいのですが、腸を刺激して排便を促す『刺激性下剤』を日常的に服用していると、腸が刺激に慣れて自力で動く力が弱くなります。そのため通常の規定量では反応しなくなって服用量がどんどん増える、“薬を飲まないと出ない”と思い込むなど、いわば依存症になってしまいます。まずは生活習慣を改善しながら、依存性のない整腸剤で腸内環境を整えましょう。しばらく続けて様子を見てもダメなら専門のクリニックへ」


【便秘の真実9】食べてから●●時間以内に消化される
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「通常は食べてから24時間以内に消化されますが、食事そのものが出るわけではありません。胃や十二指腸で消化吸収されやすい状態になった代謝物が小腸を通って大腸へ移動し、大腸のぜん動運動によって固形物となって排出。便となって排出されるには“かさ”が必要なので、食事量や内容によって排出までの時間に個人差があるのです」。特に、ダイエットしている人は水分が減りがちで、かさも減りやすいので、いつも以上に水分摂取を意識すること。「朝から日中の間に500㎖のペットボトル2本を目標に飲み、帰宅したらもう1 本飲むぐらいの目安でとりましょう」


【便秘の真実10】便秘は●●しない
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「便秘は遺伝しませんが、一緒に暮らす家族の体型が似てくるように、同じ生活をしていると体質も似る可能性はあります。また、ひとり暮らしを始める、結婚するなど生活が変わると便秘になるケースもありますが、多くは生活習慣の見直しによって改善できます」。日中、オフィスでの便意を我慢してしまうことも便秘の原因につながる。「職場でトイレに行くことが難しいなら、出勤前に出す習慣をつけましょう。水や朝食など何か口にしてから、便意がなくてもトイレへ入るクセをつけると、脳や体が排出リズムを覚えるので少しずつ朝に便意が起きるようになります」


「排便は和式のほうがやりやすい」「下剤を使い続けると依存症に……」という事実、あなたはしっていましたか? ぜひこの10の真実をしっかり覚えて、便秘改善の参考にしてくださいね。 次回は便秘を改善するストレッチテクをご紹介予定。お楽しみに!
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