女の欲望と幸せは400年前と変わらない!? 美しく残酷なおとぎ話『五日物語ー3つの王国と3人の女ー』

女の欲望と幸せは400年前と変わらない!?  美しく残酷なおとぎ話『五日物語ー3つの王国と3人の女ー』_1
若さや美しさを手に入れること、母親になること、そして大切な人に愛されることなど、世代の違う3人の女性たちが追い求める様々な幸せが描かれるファンタジー映画です。ただし驚くのは、原作となったジャンバティスタ・バジーレの「ペンタローネ(五日物語)」が、なんと17世紀に書かれたものだということ。「シンデレラ」や「白雪姫」の原型となり、グリム兄弟にも多大な影響を与えた世界最初のおとぎ話を、『ゴモラ』や『リアリティー』のマッテオ・ガローネ監督が映像化しました。

おとぎ話の映画化といっても、子ども向けファンタジーとは一線を画すダークで残酷で皮肉に満ちたストーリーと、グロテスクで美しい映像がてんこ盛り! しかも母親になることを強く望むあまり母性と支配をはき違えて転落していく女王や、若さと美貌を取り戻し、王に見初められて妃の座を手にした老婆とその妹の対照的な運命、大人の世界に憧れを抱きながらも、父である王が決めた醜いオーガ(鬼)と結婚することになった王女など、設定を現代に置き換えてもまったく違和感のない、女性たちの欲望が生む悲劇がリアルです。

望みを叶えたはずのヒロインたちが直面する残酷な物語の裏に、必ず男性の影があることもまたシュール。老姉妹の物語だって、王がその歌声に惚れ込んで勝手に“若く美しい女性”だと勘違いしなければ、彼女たちが過剰な欲望を抱くことはなかったはず。若さと美しさこそが女性の魅力だとする男性の考えは、400年経った今も私たち女性を翻弄する価値観です。ただし、悲しい物語だけでないのが唯一の救い。身勝手な父親や醜い結婚相手など、男たちの都合によってモノのように扱われた非力な王女が、いかにして自分の運命を変えていくのかは見応えアリ。覚悟を決めた女がいかにクレバーでしたたかで美しいのか。恐ろしくも心震えるラストに注目です。

(文/松山梢)

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