ほろ苦いけど最高にまぶしい! ふたりの女子高生のひと夏を描いた青春映画『ハローグッバイ』

大人になると、就いている職業や趣味、生活スタイルなど、自分と似ている属性の友人が増えていくもの。ところが個人の趣味嗜好はいっさい関係なく、ドカッと同じ教室に入れられ、同じ制服を着て集団生活することを求められた学生時代は、ちょっと人と違うと変わり者扱いされたりハブられたり、グループに属していたとしても空気を読んでその場をやりすごさなければいけなかったり。狭い人間関係なりの社会性を求められていた気がします。しかも誰かに助けを求めて泣きつくほど子供でもなく、飲みに行ってグチったり、サクッと旅に出て現実逃避できるほど大人でもない。青春時代には楽しくて甘酸っぱい思い出もいっぱいあるけど、ちょっと息苦しかったほろ苦い思い出も、誰の心にもあるはずです。

今回紹介するのは、そんな青春まっただ中の女子高生ふたりの物語。はづき(萩原みのり)と葵(久保田紗友)は、同じ高校に通う2年生。ところがスクールカースト上位にいる派手めのはずきと、優等生の“委員長”である葵は、ほとんど接点はありません。ただし、はずきは元カレの子供を妊娠しているかもれない不安や仲良しグループ内の軋轢、そして葵は学校でも家庭でも優等生を演じなければいけない不満があり、人間関係に悩みを抱えています。そんなふたりがある日、認知症のおばあさん(もたいまさこ)と偶然出出会ったことで、ちょっとだけ日常が変化。想いを伝えられなかった初恋相手にラブレターを渡したいというおばあさんのために、一緒に初恋相手を探そうと思い立つのです。

映画の中には人気者のはづきと孤独な葵、女子高生とおばあさん、LINEと手紙、鼻歌とピアノなど対照的な物事が多く登場。それらがひょんなキッカケで混ざり合ったとき、時代や年齢や立場が違っても、実は根底に共通の思いを抱えていることに気づく様子をみずみずしく描いているのが新鮮でした。予定調和な人間関係も心地いいけれど、たまには彼女たちのように全く違う価値観や世界に飛び込んで新たな出会いをしてみたい。そんな初々しい気持ちを思い出させてくれる青春映画です。メガホンを取ったのは本作で長編監督2作目となる菊池健雄監督。映画で起こる出来事をわかりやすい言葉で説明せず、美しい光や音楽で映し出す手腕は見事です。女子高生とおばあちゃんをつなぐ主題曲を担当した、キーボーディスト・渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)の美しいメロディーもステキ。劇中では重要な人物を演じながらピアノも披露しているので、こちらも注目です。

(文/松山 梢)

●7/15〜ユーロスペースほか全国順次ロードショー

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