「自分を追いつめるのをやめたら、音楽がもの画像_1
■自分を追いつめるのをやめたら、音楽がもっと楽しくなった。

23枚目のシングル『Bloom』を今月リリースしたsuperfly・越智志帆さん。「最近、以前より高いキーが出るようになったし、声をナチュラルに響かせられるようになったんですよ」と、瞳をキラキラ輝かせながら話す。

それは昨年11月にデビュー10周年を記念して行われたコンサートでも、年末に出演した『第68回NHK紅白歌合戦』でも実感したそう。

「歌いながら解き放たれる感覚がありました。ヨガをやったあとみたいにスッキリしましたね。以前は歌い終えてからもあれこれ気にしたり反省して自分を追い込んでいたけれど、リラックスした状態で歌いさえすれば豊かな声が出るとわかった。声を出すというのは、大きく深呼吸することと一緒ですから」

この1~2年で生活習慣を変えたことも大きかったよう。

「料理をよくするようになったんです。おだしをちゃんととり、野菜の切り方にもこだわって、時間をかけて作る。手間ひまかけて作ったごはんにまずいごはんはないですね。“おいしい”って幸せだな、“食”って楽しいなって、あらためて思えるように。食が自分の体をつくるんですよね」

それゆえに今作では以前にも増して豊かになった歌声が味わえる。表題曲のバラード『Bloom』は優しく心にしみ入るように。収録曲の『Fall』は先頃終了したドラマ『あなたには帰る家がある』の主題歌で妖艶さと激しさを混ぜながら歌った。一枚のCDで異なる声の出し方を試しているのも聴きどころ。

「口の開き方とか歌う時の姿勢で声の表情が変わるんです。たとえば『Fall』のレコーディングは、ライブみたいに体勢を変えながら歌ってみた。メロディが急に上がるところは少しかがんでから体ごと持ち上げるようにして歌ってみたり。声の研究するのが楽しい。そう、今の私は“声研究家”です(笑)」


■誰かになりきって歌詞を書くのもマイブームのひとつ


新たな“結婚ソング”としても育っていきそうな愛の歌『Bloom』。対照的に『Fall』はドラマの内容にも似て背徳のにおいがする。その歌詞を書く際はドラマの引っかき回し役・綾子(木村多江さん)をイメージしたそう。

「誰かになりきって歌詞を書くのもマイブームのひとつ。以前は“自分自身に向きあって書かなきゃ”、“メッセージをこめなきゃ”といった強迫観念にとらわれていて。でも“そうじゃなくてもいいんだ”と思えたら歌詞を書くのも楽しくなった。今はほかの人のためにも書きたいくらい」


(プロフィール)
おち・しほ●1984年2 月25日、愛媛県生まれ。2007年にSuperflyとしてデビュー。圧倒的なヴォーカル、ライブパフォーマンス、そしてオリジナリティ溢れる音楽性で、不動の人気を築く。7 月27日に行われる『めざましクラシックス“つながる”スペシャル』にゲスト出演。

取材・文/内本順一
「自分を追いつめるのをやめたら、音楽がもの画像_2
■SINGLE『Bloom』

シングルとはいえ、Disc1には表題曲をはじめCD初収録曲4 曲、Disc2には「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE“Bloom”」のライブ音源を16曲も収録と超豪華。●発売中 通常盤¥2700(ワーナーミュージック・ジャパン)