9月9日スタート! 日本初上陸のミュージカル『ラグタイム』

ミュージカル『ラグタイム』ってどんな作品?

本作は『ライオン・キング』や『キャバレー』という名だたる名作ぞろいの1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞。ドラマ・デスク賞ミュージカル最優秀作品賞・最優秀脚本賞・最優秀作曲賞 他多数受賞した、ビッグタイトルなんです!

【東啓介】上演直前の通し稽古にドキドキ⁉の画像_1

〝ラグタイム〟の意味は?

ラグタイムは、19世紀末から20世紀初頭にかけ、アメリカで流行した音楽のジャンルのひとつ。黒人のダンスの伴奏音楽や酒場で黒人が演奏したピアノ音楽が起源で、白人の客にウケのよいマーチなどの西洋音楽に黒人特有のノリが加わり、リズムのシンコペーション(強調)を強く押し出した初の軽音楽です。
本作の舞台は、20世紀初頭のアメリカ。まさにラグタイム・ミュージックの全盛期と重なるため、時代の空気を含んだ、より豊かなステージになることでしょう。

あらすじと役どころ

本作は、急速な産業発展とともに第一次大戦に向かう時代であり、アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代――20世紀初頭のニューヨークを舞台に、移民のユダヤ人、特権的な白人と差別され続けている黒人というそれぞれのルーツを持つ3家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする……という物語。

本作の中心人物を演じるの3人。すでに娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人、ターテ役に石丸幹二さん。流行のニューミュージック“ラグタイム”を弾いて新時代の到来を目指す黒人ピアニスト、コールハウス・ウォーカー・Jr.役に井上芳雄さん。また、正義感にあふれ人種的偏見を持たない裕福な白人家庭の母親、マザー役に安蘭けいさんという、大スター俳優陣が勢ぞろい。

この中でさんが演じるのは、マザーの弟ヤンガーブラザー役。裕福な白人家庭に育ちながら、黒人が生み出したラグタイムや、ユダヤ音楽にも影響を受けつつ、自分自身を模索していく重要な役を演じます。

石丸幹二さん

石丸幹二さん

公開稽古レポ! 東啓介さんの雄姿をお届け

米トニー賞で最優秀脚本賞、最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞したミュージカル『ラグタイム』(演出・藤田俊太郎)が9月9~30日、東京・日生劇場で日本初上演!
この大作に東啓介さんも出演します。石丸幹二さん、井上芳雄さん、安蘭けいさんという、ミュージカルの大スターたちとの共演を果たす東さんの雄姿を目撃すべく、8月23日に行われた公開稽古にお邪魔してきました。

東啓介さん
東啓介さん
東啓介さん

数十名のカンパニー全員が集結した公開稽古

この日は、日本版『ラグタイム』初のメディア限定公開稽古。全部で4シーン、計20分弱の稽古でしたが、キャスト全員が集まる稽古は今日が初めて。

最初に、演出を担当する藤田俊太郎さんがあいさつ。「こんなにたくさんのプレスの皆様に来ていただけるということは、大変注目されている作品なんだなと。……あ、今のところは“(笑)”付きでお願いします」と場を和やかになったのち、公開稽古へ。


石丸さんが演じるユダヤ人たち、井上さんが演じる黒人たち、安蘭さん演じる白人たちが、テーマ曲「Ragtime」にのせて、友好か対立か、それとも……⁉  という一瞬即発の気配を宿しながら『ラグライム』の世界へと観客を誘う代表的なシーンに、さんも出演。カンパニー全員で重層的なハーモニーを繰り広げ、これから始まる物語への期待が高まる部分です。

また、井上さん演じるコールハウス・ウォーカー・Jr.を中心とした「The Gettnig' Ready Rag」では、井上さんがシーン最初のセリフをかんでしまうアクシデントが。一瞬、現場は笑いに包まれたものの、すかさず井上さんが「もう1回やりましょう!」と声を掛けるやいなや、ピリッとした緊張感が包み込み、見事、迫力あるダンスシーンが繰り広げられたのでした。みなさん、素晴らしい集中力! 切り替えが早い!

そして、最後は石丸さん演じるターテと、安蘭さん演じるマザーが、運命的に再会したシーンで歌う「Our Children」。互いの子供たちが仲良く遊ぶ姿を見守りながらのひとときの幸福を伝える二重唱を披露した後、“歌い切った!”という感じの石丸さんの笑顔が印象的でした。そんな石丸さんと安蘭さん、そして2人の子役による「ありがとうございました!」のあいさつで、公開稽古は終了したのでした。

公開稽古の様子

MORE的、東さん観察レポ

MOREとしてはやはり、われらが東啓介さんの様子は、しっかり拝見(観察)してきました。

ミュージカル界のスターやバイプレーヤーたちが集い稽古をしている中、待ち時間のさんの様子はというと、全体を見まわしたり、共演者の方々とお話ししたり。

特筆すべきは、子役の男の子が話しかけてきた時。男の子の呼びかけにはちきれんばかりの笑顔を見せたさんは、大きな手で男の子の髪をわしゃわしゃと(笑)。そして、彼のほっぺを両手で挟むと、いたずらっ子のようにほほえみながらほっぺをフニフニとし、その場から去っていったのでした。

以前の取材をした時に、「稽古中や上演中は、演じる役に引きずられがち」と語っていたさん。この日は、共演者と会話したり、息を合わせたり、笑い合ったりして、さん流の優しくておおらかな“ヤンガーブラザー”を作り上げていたように感じました。

本作は東京・大阪・名古屋の3大都市で開催。さんが新しく息を吹き込んだヤンガーブラザーを堪能するためにも、ぜひ「ラグタイム」の世界を体験しに行ってみてください!

公開稽古の様子

公演情報

ミュージカル『ラグタイム』

<東京公演>
日程:2023年9月9日(土)~30日(土) 
会場:日生劇場
<大阪公演>
日程:2023年10月5日(木)~8日(日) 
会場:梅田芸術劇場 メインホール
<愛知公演>
日程:2023年10月14日(土)~15日(日) 
会場:愛知芸術劇場 大ホール

キャスト:
石丸幹二/ターテ
井上芳雄/コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けい/マザー
遥海/サラ
川口竜也/ファーザー
東 啓介/ヤンガーブラザー
土井ケイト/エマ・ゴールドマン
綺咲愛里/イヴリン・ネズビット
舘形比呂一/ハリー・フーディーニ
畠中 洋/ヘンリー・フォード&グランドファーザー
EXILE NESMITH/ブッカー・T・ワシントン
ほか

スタッフ
脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志
訳詞:竜 真知子
演出:藤田俊太郎
振付:エイマン・フォーリー
音楽監督:江草啓太
美術:松井るみ
照明:勝柴次朗
衣裳:前田文子
音響:大野美由紀
ヘアメイク:柴崎尚子
映像:横山 翼
指揮:田邉賀一
歌唱指導:YUKA
演出助手:守屋由貴/寺崎秀臣 舞台監督:倉科史典
プロデューサー:小嶋麻倫子/塚田淳一/江尻礼次朗

製作:東宝

■ミュージカル『ラグタイム』公式ホームページ
https://www.tohostage.com/ragtime/index.html

東啓介さん

プロフィール

ひがし・けいすけ ●1995年7月14日生まれ。東京都出身。2013年、『テニスの王子様』(2ndシーズン)で俳優デビュー。その後はミュージカル作品を中心に活躍し、『ダンス オブ ヴァンパイア』(2019年)では帝国劇場の舞台にも立ち、近年では『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』や『マタ・ハリ』(ともに2021年)などに出演。2022年は、TBSドラマ『ファイトソング』、フジテレビドラマ『ナンバMG5』、テレビ東京ドラマ『チェイサーゲーム』など、映像作品にも多数出演。ABC(関西)テレビドラマ『●●(まるまる)ちゃん』に、日替わりゲスト・高橋彰吾役で出演。

取材・文/中川薫 撮影/新谷真衣