時空を超えたラブコメディ『ソンジェ背負って走れ』に沼る!【韓ドラオタクおすすめの1本】
演技・ルックス・歌唱力、オールキルのビョン・ウソクに沼オチ必至!
韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は、急逝した“推し”のためにタイムスリップしたオタクが未来を変えるべく奮闘する、ファンタジー・ラブコメディ『ソンジェ背負って走れ』のあらすじと見どころを紹介します。
『ソンジェ背負って走れ』
全16話
出演:ビョン・ウソク、キム・へユン、ソン・ゴニ、イ・スンヒョプほか
U-NEXT独占配信中
© CJ ENM Studios Co., Ltd.
あらすじ
15年前に不慮の事故で下半身不随になったイム・ソル(キム・へユン)。すべてに絶望していた彼女を救ったのは、大人気バンド“ECLIPSE”のメンバー、リュ・ソンジェ(ビョン・ウソク)の言葉だった。以来、ソンジェの熱心なファンとして一途なオタ活に励む。2022年12月31日、“ECLIPSE”のコンサート終了後、ひとりで自宅に向かっていたソルの車椅子が故障。雪の降る漢江の橋の上で途方にくれていたソルの目の前に現れたのは、なんとソンジェ! 推しとの突然の対面に感極まったソルは「この世に存在してくれてありがとう」と熱い思いを伝え、運命に感謝し、夢見心地で帰宅。しかし、数時間後、ソンジェの訃報を知ることになる。どうしても彼の死を受け入れられないソルは家を飛び出し、誤って川で転倒。目を覚ますと、高3だった2008年に戻っていて……。
推しを守るため、ソルは時をかける!
ここが見どころ!
5/28に最終回を迎えた『ソンジェ背負って走れ』。視聴していた方の多くは今、深刻な“ソンソル(ソンジェ&ソル)ロス”なのではないでしょうか。
日韓だけではなく、フランス、アメリカ、イギリス、カナダ、ブラジルでも高い評価を獲得したこのドラマ、韓国で行われた最終回の観覧イベントはチケット発売開始前からサーバーダウンするほど申し込みが殺到。また、アメリカのタイム誌には「今年最高のKドラマ」として記事にされ、番組OSTであるECLIPSEの『Sudden Shower』が米ビルボードの「グローバル200」チャート内にランクインするなど、世界中で大注目されているドラマなんです。それでは、多くの視聴者を“沼”に突き落とした本作の魅力とは?
(以下、ネタバレあります)
視聴者との感情シンクロ率200%のキム・ヘユンの絶品演技
本作は「自分を絶望から救ってくれた推しを、絶対に死なせない!」と決心したオタク(=ソル)がタイムリープして最愛の推し(=ソンジェ)を死から守るストーリー。よくよく観ていくと、2人は命を燃やしながら、お互いを守り合う物語でもあったのです。
誰かの死に悲しみにくれることはあっても、「その人を生き返らせよう」とまではななかなか思わないですよね。しかし、ソルにはそう思うに値する十分な理由がありました。事件に巻き込まれ、下半身を動かすことができなくなったソル。ある日、病院のベッドで絶望していた彼女に、ラジオ番組の視聴者参加コーナーの電話が。当たり散らすソルに、番組のゲストだったアイドルバンド・ECLIPSEのソンジェが、こう声をかけます。
「生きていてくれてありがとう。きっと、そばにいる人は生きてくれてありがたいと思っている」
「今日を生きて。天気がいいから。明日は雨が降るけど、雨が止んだら、また生きてみて。そしたらいつか、もう大丈夫と思える日がくるかもしれない」
渇いた大地に夕立が降って、雨水がしみ込むように、この日を境にソルの生活は一変。絶望を捨て、車いすを駆使しながら推し活を楽しむ世界に飛び込んだソルの前向きな姿は、明るくて、眩しくて。ソルの絶望と希望を行き来する演技を、『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』や『スノードロップ』のキム・ヘユンが感情豊かに表現。ソルの涙や慟哭を観ていると、胸がぎゅーっと締めつけられるのですが、だからこそ、「ソンジェを生き返らせる」という突拍子もない願いが、スッと受け入れられるのかもしれません。
回を重ねるごとに輝く、ソンジェとビョン・ウソク
人気を後押ししたのは、「10~30代のソンジェ」を演じたビョン・ウソク。身長189cm、均整の取れた体と美しい顔立ちという完璧なルックスの持ち主。あまりにもフレッシュな清涼感にあふれているため、現在32歳なのに高校生役をやってもまったく違和感なし! モデル出身のせいか、高校の制服でも、大学スタジャンでも、アイドルのようなキラキラした舞台衣装でもなんでも着こなすうえに、ピアノの弾き語りから、学生時代の甘酸っぱいツンデレ、イチャイチャシーン、大号泣や泥酔シーンまで、ビョン・ウソクの魅力がこれでもかというほど詰まっているので目を離さないでくださいね。
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実年齢32歳とは思えないさわやかさ。眩しい~!© CJ ENM Studios Co., Ltd.
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大学のスタジアムジャンバー着こなすソンジェ。© CJ ENM Studios Co., Ltd.
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ピアノを弾き語る、スター・ソンジェも眼福。© CJ ENM Studios Co., Ltd.
さらに劇中で流れるOSTでは、ECLIPSEのボーカルとして5曲(!)も歌っているうえ、めっちゃお上手! 特に『Sudden Shower』は、本編とリンクした名曲。
スターとしての悩みを抱えながら、ソルのために奮闘する姿まで、ソンジェの青春の挫折と栄光と苦悩を一手に引き受け、見事に演じ切ったビョン・ウソクですが、約10年に及ぶ俳優生活は順風満帆ではなかったそう。100回以上オーディションに落ちたり、台本の読み合わせにこぎつけたものの、現場まで行って断られた経験も(涙)。
実はこの主演のソンジェ役、キャスティングが難航して、ビョン・ウソクにオファーがくるまでにかかった時間は、なんと3年。確かに19歳から34歳までのソンジェを演じつつ、さらに水泳、歌、ピアノ演奏もこなせる人じゃないと務まらないのは難易度が高いですよね。終わった今ではビョン・ウソク本人しか思いつかないくらい。ソンジェとビョン・ウソクとの出会いは、それこそ運命だったのかも⁉
とことん一途なソンジェに惚れる!
本作を観て思い出したのは、2009年放送のアイドルグループのあれこれを描いた『美男ですね-イケメンですね-』。チャン・グンソクが演じたテギョンはプライドが高く、かなりの俺様っぷりだったけれど、ソンジェは違う。確かにほかの芸能人のように高級マンションに住み、スポーツカーに乗ってはいるけど、15年も初恋の人を思い続けているピュアで一途な人。ソルに対してはとことんひたむきで、熱を出せば看病し、そそっかしいソルを身をていして守る。食事では「フーフーして食べなよ」と熱々のサムゲタンの身をほぐしてあげ、サンドイッチ弁当まで持たせてくれる面倒見のよさにきゅん!
そして、ソルの様子を伺うソンジェの一挙一動がかわいいんです♡
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うたた寝中のソルに腕枕するソンジェ。彼のこの後の行動に注目!© CJ ENM Studios Co., Ltd.
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イノシシの罠にハマった(笑)ソルを助けるソンジェ。© CJ ENM Studios Co., Ltd.
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オシャレな店に行くつもりが、なぜかサムゲタン店になったことに落ち込むソンジェ(笑)。© CJ ENM Studios Co., Ltd.
そして、ソルとソンジェの住む町や、それぞれの玄関先で起きる家族ぐるみの涙と笑いは『応答せよ1988』の路地のように騒がしくて、懐かしくてあったかい。
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ソンジェを配達員と勘違いして応対中のソル。この時のソンジェの心の中は……。© CJ ENM Studios Co., Ltd.
「もしかしたら逃してはいけない瞬間が、どこかで光を放ちながら私に合図を送っていたかもしれない。それが私がここに来た理由、私たちが再会した理由じゃない?」(ソル)
ソルが推しを救うために過去にタイムスリップすることで始まった物語は、ソンジェとソルがお互いを守り合いながら、いつしか叶えられなかった初恋を芽吹かせるストーリーへと変わっていきます。
ラジオから流れる音楽、雨から守ってくれた黄色い傘、青春時代の時を刻んだ時計など。誰もが心にしまいこんでいる切ない初恋の記憶を呼び覚ましながら、過去と現在を行き来する2人を観ていると、人生って、切実に願えばやり直しができるのかもしれない、と思わせてくれるポジティブなメッセージを感じました。
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『ソンジェ背負って走れ』
全16話
U-NEXT独占配信中
Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で食べまくりました。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。最近、念願の「漢江ラーメン」を食べました。控えめに言って最高!