公開中&近日公開予定の話題作の中から、キーワードに沿った2本のイチ押し映画と、その他のおすすめ映画をご紹介します。

【今月のキーワード】歴史を改変!? 映画愛に満ちたおとぎ話

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昔々ハリウッドで、というタイトルのとおり、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、映画の都ハリウッドを舞台にしたおとぎ話だ。描かれるのは1969年。ベトナム反戦運動を背景に、ロックやヒッピーなどのカウンター・カルチャーが生まれた変革の時代で、ロマン・ポランスキー監督の妻だった女優のシャロン・テートが、カルト集団マンソン・ファミリーに殺害されるショッキングな事件が起きたのもこの年だった。劇中でも重要な鍵となるこの事件を含め、史実とフィクションを織り交ぜて5年もの歳月を費やした本作。何が“おとぎ話”なのかは観てもらうしかないが、衝撃的な内容なのに不思議と温かな余韻を残す、ハリウッドへの愛が詰まった物語だ。ちなみにポランスキーの隣人で、すぐにメソメソ泣く落ち目の俳優を演じたレオナルド・ディカプリオと、彼を支える勇敢なスタントマン役のブラッド・ピットの凸凹コンビも最高に愛らしい。2大スターを同じ映画で見られる奇跡は、ある意味いちばんおとぎ話的かもしれない。

【今月のイチ押し★シネマ1】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

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舞台は1969年のロサンゼルス。50〜60年代初頭に西部劇の主役として人気を誇ったリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)はすでに過去の人。時代の波に取り残され落ち込むリックを優しくなぐさめるのは、スタントマンとして苦楽を共にしてきたクリフ・ブース(ブラッド・ピット)だった。●8/30〜全国公開

【今月のイチ押しシネマ2】『イングロリアス・バスターズ』

史実をモチーフにフィクションを作り上げるテクニックはタランティーノ監督の得意技。2009年公開の『イングロリアス・バスターズ』も、第二次世界大戦下のフランスを舞台にナチスへの復讐を誓う人々を描いたおとぎ話だ。史実をはちゃめちゃに塗り替える手法は強引だし、目をおおいたくなるほど暴力的な描写も満載。それでもやっぱりスカッとするのは、エンターテインメントを愛する監督流の正義とユーモアがこめられているからに違いない。
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第二次世界大戦中のフランスを舞台に、ナチスに家族を殺されたユダヤ人女性と、ユダヤ系アメリカ人兵士の特殊部隊“バスターズ”の壮絶な復讐劇。主演はブラッド・ピット。Blu-ray¥1886(NBCユニバーサル・エンターテイメント)

【まだまだあります、おすすめシネマ!】『人間失格 太宰治と3人の女たち』と『トールキン 旅のはじまり』

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『人間失格 太宰治と3人の女たち』
蜷川実花監督が小栗旬を主演に迎え、作家・太宰治の奔放な恋と人生を描く。妻の美知子に宮沢りえ、愛人の静子に沢尻エリカ、最後の女である富栄に二階堂ふみが扮するなど女優たちも豪華。ダメ男の太宰以上にクレイジーな、美しき女性陣の強烈キャラが爽快! ●9/13〜全国公開 ©2019『人間失格』製作委員会
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『トールキン 旅のはじまり』
今なお世界中で愛され、映画化やゲーム化もされた傑作小説『ホビットの冒険』や『指輪物語』の原作者J・R・R・トールキン。彼のあまり知られていない作家デビュー前にスポットを当て、物語に大きく影響を与えた友情と純愛を描く。●8/30〜TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開 ©2019 Twentieth Century Fox
原文/松山 梢