2023年MORE8月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

水曜日のカンパネラ・詩羽(うたは)さん

ビスチェ(参考商品)/YASUE NOGUCHI パンツ(参考商品)/HELLO MOE ネックレス¥27500/PAMEO POSE 表参道店(PAMEO POSE) その他/スタイリスト私物

うたは●2001年生まれ、東京都出身。2021年9月、「水曜日のカンパネラ」の2代目・主演&歌唱担当として加入。2022年2月にリリースした『エジソン』のMVが解禁後、SNSを中心に話題となり、4800万再生を突破。今年、4月26日には2nd EP『RABBIT STAR ★』をリリースし、現在、12カ所13公演の全国ツアーを開催中

自分の内なる声に向きあい、信じることで私がつくられる

昨年リリースした『エジソン』で、音楽シーンの最前線に躍り出た、「水曜日のカンパネラ」の2代目ヴォーカル・詩羽さん。川上未映子氏の短編作品が原案で、アートディレクター・千原徹也氏が監督を務めた、映画『アイスクリームフィーバー』で俳優デビューを果たした。

詩羽さん「もともと演技に興味があったので、千原さんからオファーをいただいた時、このチャンスは絶対に逃すまいと出演を即決しました。初めてのお芝居は、すごく楽しかった! 音楽や写真表現では見せられない私の一面を出すことができたので、これからも演技の機会を増やしていきたいという思いが芽ばえましたね」

今作では、世代の異なる4人の女性の人生と感情の交錯が描かれている。詩羽さんは、アイスクリーム店でアルバイトする主人公の後輩、桑島貴子を好演した。

詩羽さん「貴子は、世の中のあらゆることに対して疑問を持っている高校生で、人一倍自分と対話をしているキャラクター。私は、高校生の時から今のように刈り上げにして、前髪はオン眉、口にピアスをしていたのですが、それゆえに学校にいた頃は、“普通”や“正しい”とされる格好や振る舞いって何? という疑問によくぶつかっていました。でも、そのたびに自分との対話を繰り返して、私にとっての“正しさ”=“好き”を信じて、貫き通してきました。そういう部分が私と貴子は似ている。だから、すんなりと役を生きることができたと思います」

「画の美しさも魅力」と、詩羽さんが語るこの映画には、象徴的なモチーフとして“アイスクリーム”が出てくる。ある登場人物にとっては、それは日々を頑張る“ガソリン”という設定。

詩羽さん「私の毎日の原動力もアイスクリーム。アイスクリーム屋さんでアルバイトをしていたくらい大好きで。新作が出たら必ずチェックしちゃうし、仕事を頑張った日は絶対に食べちゃいます。あと、最近の私のモチベーションといえば、自分を取り巻く環境。いい挑戦ができる場所に身を置けているので、今は努力することが楽しくてしかたがないんですよ」

努力の過程で、心が折れそうになる瞬間もあるはず。そんな時はどう気持ちを立て直しているのか。

詩羽さん「弱った自分を否定せずに、これも大事な経験だと考えますね。人間は失敗するからこそ、これから起こるいいことにも気づける。だからミスしても『やべぇ。やっちゃった〜! でもいい経験だ!』と受け止めて、すぐに気持ちを切り替えています」

映画『アイスクリームフィーバー』

映画『アイスクリームフィーバー』キービジュアル

©2023「アイスクリームフィーバー」製作委員会

川上未映子の短編集に収録された『アイスクリーム熱』を、千原徹也が映画化。物語は、アイスクリーム店でアルバイトをする、常田菜摘(吉岡里帆)と、作家・橋本佐保(モトーラ世理奈)の出会いから始まる。●7/14(金)〜全国公開

撮影/久野美怜(SIGNO) ヘア/イシわタ美サき スタイリスト/久保田姫月 取材・原文/海渡理恵 ※MORE2023年8月号掲載