藤井隆×千葉雄大にインタビュー！舞台・『ジャズ大名』の魅力や裏話をお届け

千葉雄大&藤井隆が共演！好きな気持ちを抑えて稽古中

12月9日からKAAT 神奈川芸術劇場でスタートする舞台「ジャズ大名」に、千葉雄大さんと、藤井隆さんが出演します。筒井康隆の同名小説が原作で、1980年代に映画化もされた本作の上演台本・演出は、福原充則さんが担当。

物語は、江戸末期に千葉さん演じる好奇心旺盛な藩主が、アメリカから漂着した黒人奴隷と出会い、彼らの音楽の虜になるところからスタート。藤井さんは、藩主を見守る家老を演じます。

前編では、藤井さんと千葉さんの”初共演”についてや、稽古中の裏話などをインタビュー！

――今回、千葉さんと藤井さんは、お芝居では初共演と伺いました。

千葉：昔から藤井さんの大ファンなので本当にうれしかったです。ちょうどこの舞台が決まる前に、藤井さんとバラエティ番組でご一緒したんです。その時に写真を撮ってくださって、一生の思い出にしようと思っていたところに舞台のお話をいただいて！
さっきふたりで撮影した時の写真のデータを個人的にいただきたいくらい、共演できて幸せな気持ちでいっぱいです。

藤井：もったいない言葉。本当にうれしいです。

僕、応援してくださる方から「実はファンです」や「隠れファンです」とか、「もっと表に出てきてください！隠れなくて大丈夫ですよ」と思う言葉をかけていただくことが多いんです（笑）。
だから、バラエティ番組でご一緒した時に、千葉さんが、はにかみながら真っ直ぐに愛情を伝えてくださって本当にうれしかったですし、あの日の収録はすごく楽しかったです。

それもあって今回の舞台の話をいただいた時、「絶対にやらせてください！」と即答しました。千葉さんと共演できることも、福原（充則）さんが呼んでくださったことも、筒井（康隆）さんの作品に携われるということも全部がうれしかったです。

――千葉さんは、実際に大ファンの藤井さんと共演してみていかがですか。常にそばにずっと好きだった存在がいるわけですが……。

千葉：ファンだからといって、隣からじっと見て、「藤井さん、このタイミングでこれ食べるんだ～」、「これが好きなのか」とかずっとチェックすることはないですよ（笑）。そこは役者同士で、ちゃんとお芝居に集中して頑張っております！

藤井：千葉さんは本当にマナーがいい方なんです。だから、むしろ関心が物足りないくらいです（笑）。あんなに好きって言ってくれたのにアレ？ロックオンされないのか…って。というのは冗談で、僕の役が、千葉さんの役のお父さんの代から仕えている家老なので、稽古場でじゃれても仕方がないですし、舞台後に仲良くなることは分かっているので、今は千葉さんが作ってくださっている「殿」と言いたくなる空気感を大切にしています。すごく大好きだからキャッキャしたい気持ちはあるんですよ、僕も。でも、今はその気持ちをグッとおさえています（笑）。

千葉：それは僕もです！

自然と湧き出た感情を踊りで表現。瞬間的に生まれるエネルギーを届ける。

――それでは、作品についてお伺いします。福原さんの脚本を読まれた時の印象を教えてください。

千葉：シンプルに面白いなと感じました。初めて見るようなト書きがあって、そのひとつひとつが、本読みの時に立体的になっていくのが楽しかったです。

藤井：筒井さんが80年代に発表された衝撃作「ジャズ大名」を、福原さんがどんなふうに書かれるのかをすごく楽しみにしていました。時代も変化して、テーマ的に言葉選びが難しい舞台だと思うのですが、そこに挑むってすごいなと思います。

――ずばり、本作の見どころはどこでしょうか。

藤井：一緒に言ってみる？

千葉：一致したいですね。

藤井：ですね。やっぱり千葉さんが先に言ってみて。

千葉：……動き！

藤井：全く一緒です。

千葉：今回、舞台で披露する踊りは、ダンスというよりも身体表現という印象。普通、ダンスは振り付けを踊ることじゃないですか？　もちろんそういう部分もあるのですが、今回の舞台では、感情が湧き出た先の表現を出せたらいいなと思いながら稽古をしているので、そこが見どころのひとつです。

藤井：福原さんは気持ちを整えることを大切した演出をされる方。例えば、「みんなで同じ気持ちになってください」とか、「ここでこういうことが起きているから、こういう気持ちでセリフが言えますよね」といったアドバイスをしてくださるんです。だから、稽古の時に緊張や照れ臭さで、意図をきちんと汲まずにセリフを言ってしまうと、福原さんは、その役の心の動きをすごく丁寧に教えてくださるんですよ。セリフの意味をみんなが理解して、動きがパチっと合った時のお芝居はすごく面白いので、そこも見どころじゃないかと思います。

――千葉さんのお話にダンスの話が出てきましたが、今回の振りは即興的な部分もあるということですか？

藤井：今の段階では断定はできないですが、ワークショップを受けた時は、「振り付けを覚えてください」という感じではなかったですね。

千葉：そうですね。今日ちょうど稽古をした箇所だと、その場で起こったことや、目が合った相手とどう意志疎通するかが大切だった。「あなたはそういう気持ちなのね。でも、僕はこういう気持ち！」といったように、共鳴しても反発しあってもいい。その瞬間に生まれるエネルギーを大切にしているので、表現に“相手がこうきたからこう返さないといけない”という細かな決まりはなかったです。

藤井：尊重しあう感じですよね。

千葉：はい、そこがジャズらしいなと思いましたね。

衣装協力／

藤井さん：クラウデッドクローゼット（048-930-7224）

ジャズ大名

＜公演概要＞

作品名：KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』
原作：筒井康隆＜「エロチック街道」（新潮文庫）所収＞
上演台本：福原充則山西竜矢
演出：福原充則
音楽：関島岳郎
振付：北尾亘

出演：千葉雄大　藤井隆／
大鶴佐助　山根和馬富田望生大堀こういち／
板橋駿谷　北尾亘永島敬三福原冠　今國雅彦　佐久間麻由／
ダンテ・カーヴァー　イサナモーゼス夢／
高田静流入手杏奈米田沙織山根海音神野幹暁

あらすじ

維新の嵐が吹き荒れる江戸時代、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷が故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日本の小藩に流れてついてしまう。鎖国の世、外国人の取り扱いに困る藩主は彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰り広げていく。熱狂はいつまでもいつまでも続き、そして……。