12星座全体の運勢

「風の便りを受け取って」 

2月19日には節気も「雨水」に変わり、雪や氷が溶けていよいよ春に向けて草木も芽吹き始めますが、そんな折の2月27日にはおとめ座で満月を迎えていきます。 

今回の満月は、2月18日に体制と制約の土星と激しくぶつかり合った変革と解放の天王星と歩調を合わせつつ、後者の影響力を一気に押し広げていくような配置となっていますが、そのテーマを端的に表すとすれば「癖や偏りの昇華」となるでしょう。 

つまり、無理にエネルギーを集中させて単発的に興奮していくというのではなく、みずからの身体の要求を素直に聞いて、瞬間瞬間の生命の流れにうまく乗っていくなかで、ふつふつと静かな快感が湧いてきて、ごく自然に発散が起きてくるというイメージです。 

ちょうどヒヤシンスの花が開いていく時期でもありますが、幕末に伝わったこの花には「風信子」という漢字が当てられています。「風信」は風の便りという意味も持っており、風に漂うほのかな香りがそっと春の便りを届けてくれますが、今期はそうした微細な変化の流れにきちんと身をもって反応・順応していけるかどうかが、各自においていつも以上に問われていくのではないでしょうか。

牡羊座(おひつじ座)

今期のおひつじ座のキーワードは、「疎外された労働の向こう側」

牡羊座のイラスト
「働き方改革」のもと昨年より労働者派遣法の法改正が続き、「同一労働同一賃金」の推進が叫ばれている昨今ですが、とはいえそれで「派遣労働」の問題点そのものがなくなる訳ではありません。 
 
派遣先に「頑張れば正社員になれるよ」などと言われて頑張ってみるものの結局正社員になれず切られて悔し涙を流すといったケースはまだまだ決して少なくなく、派遣労働者のキャリア上の困難や生活への不安に関する相談は減ることなく寄せられ続けています。 
 
そうした派遣労働の問題点について、すでに180年前に若きカール・マルクスが資本主義批判を目的とした『経済学・哲学草稿』のなかで次のように指摘していました。 
 
さて、労働の外化とはどんな形を取るのか。 
第一に、労働が労働者にとって外的なもの、かれの本質とは別のものという形を取る。となると、かれは労働のなかで自分を肯定するのではなく否定し、心地よく感じるのではなく不仕合わせに感じ、肉体的・精神的エネルギーをのびのびと外に開くのではなく、肉体をすりへらし、精神を荒廃させる。だから、労働者は労働の外で初めて自分を取りもどし、労働のなかでは自分を亡くしている。(中略)(かれの労働は)欲求を満足させるものではなく、自分の外にある欲求を満足させる手段にすぎない。肉体的強制その他が存在しないとき、労働がペストのように忌み嫌われ遠ざけられるところに、労働のよそよそしさがはっきりと示されている。外からやってきて人間を外化する労働は、自己犠牲の労働であり、辛苦の労働なのだ。」 
 
ここで使われている「外化」という言葉は「疎外」という言葉にも置き換えることができますが、いずれにせよ実現された物や実現の行為が他人に奪い取られるという否定的な意味で使われていることが分かります。 
 
「最後に、労働が労働者にとって外的なものだということは、労働がかれ自身のものではなく他人のものであり、他人に属すること、労働のなかでかれが自分ではなく他人に帰属していることのうちに見て取れる。」 
 
こうした疎外された労働の姿の向こうには何が広がっているのでしょうか。青年マルクスは、そこに人間と自然、そして人間と人間が豊かに交流し発展してゆく“本来の労働”を透視せずにはいられませんでした。その意味で、今期のおひつじ座もまたそうしたマルクスのまなざしに自身のそれを重ねていくことになるかも知れません。 


参考:カール・マルクス、長谷川宏訳『経済学・哲学草稿』(光文社古典文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ