12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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獅子座(しし座)

今期のしし座のキーワードは、「うまくいくこと」。

獅子座のイラスト
コロナ禍を通して、人間関係の在り方がそれまでとガラリと変わった今、私たちはもはや虚勢や見栄をまとった強く鈍感な存在者でいることが以前より難しくなってしまったように思います。そして改めて、「弱く敏感な存在でありながらも、互いにぎくしゃくしたり、緊張することなく、いかに他者と良好な関係を結んでいくことができるか?」といった問題をひとつの課題として取り上げる必要に迫られているように思います。 
 
ただしそれは、個別の相手に応じた単なる攻略ノウハウや取り扱い説明書のような、対症療法的な仕方での応答ではなく、他者と関わることについての考え方そのものにおけるより根本的な次元でのモデルチェンジが不可欠になってくるはず。 
 
例えば、キリスト教思想研究者である柳澤田実は、論文「馬に乗るように、ボールに触れ、音を奏でるように、人と関わる」のなかで、「世界は配置(disposition)であり、人間は自らを取りまく配置によってたえず態勢づけられている(disposed)」という言い方で、「世界を認識主体の構成物あるいは表象として捉える近代的な世界観」を相対化するために「配置(disposition)」的に世界を理解していくというアプローチを提唱しています。 
 
それは「意識や主体に先行/潜行する世界を、しかも意識や主体をも包摂しつつ先在/潜在するその世界を、認めるという態度」から出発しており、それでいてあらゆる「主体」を単に無効化し、「何でもあり」な相対主義や、非人間主義的な思想に帰着しようとするのではなく、「①身体から独立した自己意識の優位、②心の私秘性、そして③効率化優先の自然科学的な世界観」を批判しつつ、非人称的な「うまくいく(going well)」が成り立つとき、そこで一体何が起こっているのかを明らかにする試みなのだ、と。 
 
「うまくいく」ための関わりには、「調和」や「統一」といった強い概念を使った説明は不自然であり、むしろ理性的判断や“高い意識”に還元されることのない微妙な調整を実現している「配慮」や「気配り」のようなものが欠かせず、柳澤はそこにこれまでの強い概念体系では捉えられなかった「幸福な倫理の可能性」があるのではないかと述べています。 
 
今期のしし座もまた、自己自身の固有性を心のうちにばかり求めるのではなく、むしろ微妙な配置の仕方やその調整においてこそ求めていきたいところです。 
 
 
参考:柳澤田実編『ディスポジション 配置としての世界』(現代企画室) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ