12星座全体の運勢

「最初の思い」 

年末が近づき、慌ただしさが増すとともに、華やかに街がにぎわうこの季節。そんな中、冬至直前の12月19日にふたご座27度(数えで28度)で今年最後の満月を迎えていきます。 

ふたご座28度のサビアンシンボルは「破産宣告を認められた男」。ここではもはや「優れた個人であることを証明する」という不毛な競争のフェーズが終わり、これまでどこかで違和感を感じていたアイデンティティやセルフイメージを不可逆的に壊していくことがテーマとなっていきます。 

ただ、それは本質的には必ずしもネガティブなものではなく、どんな人間もひとりで生きている訳ではない以上、自分がどんなコミュニティに属していて、いかなる仕方で持ちつ持たれつの網目の中にあるのかということを改めて可視化していく通過儀礼であると同時に、救われたい、誰かに、ないし社会に良いことをしたい、と心から最初の思いを発揮しなおしていく大きな節目ともなっていくように思います。 

ちょうど、この時期には「南天」が鮮やかな赤い実をつけますが、実に咳止めの薬効があり、葉にも腐敗防止の作用があるとされ、何より「難を転じる」という語呂合わせから、古来より縁起がいいとされてきました。 

今期のあなたもまた、みずからの未熟さ、つたなさを念頭に初心にかえり、これから自分は何をしていきたいのか、という「最初の思い」を真っ白な紙の上に書き出してみるといいでしょう。 
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魚座(うお座)

今期のうお座のキーワードは、「風水よりわび・さび」。

魚座のイラスト
経済的に他のアジア諸国に肩を並べられるどころか、さまざまな指標において既に追い抜かれて久しい日本ですが、GDPや海外純資産といった経済指標以外のところで、何が強みなのかと聞かれた際、今や真っ先にアニメや漫画などの文化的なソフト資産をあげる人がほとんどであるはず。 
 
そして、そこからさらに一歩踏み込んで、ではそうした日本文化を特徴づけるものとは一体何か、と問われたとき、とっさに「わびさび」などと口に出してみる人はいても、そこでうまく説明できる人はほとんどおらず、従って「わびさび」を実際に自分の活動に適用できている人もほとんどいないのではないでしょうか。 
 
とはいえ「Wabi-Sabi」はいまや「Sake」や「Robata」などと並んで英語で名詞化されたように使われている言葉の一つでもあるのですが、そのきっかけとなった一冊に、Twitter社の元CEOのジャック・ドーシーも愛読書にあげたレナード・コーレンの『Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers』があります。 
 
副題に「アーティスト、デザイナー、詩人、哲学者のために」とあるように、クリエイティブな創作活動全般に興味を持つ人たちに、じつに分かりやすく書かれているのですが、コーレンは「わびさび」をまず、「不完全で、はかなく、未完成のものが織りなす美」であり「謙虚で、つつましやかなものが織りなす美」と定義しつつ、似た言葉として「RUSTIC(シンプル、野暮ったい、ザラザラした)」や「プリミティブ・アート(土臭い、気取りがない、簡素)」を挙げ、さらに次のようなイメージや素材も提案しています。 
 
わび・さびのイメージは、私たち自身の生命に限りがあることを直視させ、存在することの孤独と静かな悲哀を感じさせる(かもめやカラスの鳴き声。霧笛の音色。ビルの合間に鳴り響く救急車のサイレン)」 
「わび・さびのモノにつかわれている素材は、認識できる範囲を超えている(和紙を透過した光、ひび割れた粘土、錆びた金属)」 
 
うお座から数えて「心の基盤」を意味する4番目のふたご座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、自身の日本人としてのアイデンティティを感じ直す意味でも、「わび・さび」の素材やイメージを自分の生活空間や日常に取り入れてみるのはいかがでしょうか。 
 
参考:レナード・コーレン、内藤ゆき子訳『Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers』(ビー・エヌ・エヌ新社) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ