12星座全体の運勢

「存分に自分をぬかるませる」 

大地が目覚め、うるおい始める時期とされる「雨水」に入る直前である2月17日には、しし座の27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

寒さがゆるんだり、厳しくなったりと、もしかしたら一年のうちでもっとも大地の息づかいを意識させられる時期にもあたるタイミングですが、そんな今回の満月のテーマは「不思議なほどの気持ちの明るさを楽しむこと」。 

冬が終わると光あふれる春の日が訪れるように、多大なフラストレーションや深い暗闇の後には、必ずふわふわとした浮遊感や解放感を伴うような回復期がやってきます。今回のしし座満月の時期もまた、厳しい冬の終焉と本格的な春の到来とをつなぐ過渡期であり、寒さと乾燥で張りつめていた神経や身体の末端のこわばりをどれだけゆるめていけるかということが大切になっていきます。 

ちょうどこの時期に雪解けや霜解けで土壌がぬかるむことを、昔から「春泥」と呼んでいたように、積極的にアクビをしたり、特に上半身の緊張や指先のとどこおりをほぐしていくことで、存分に自分をぬかるませていくイメージで過ごしてみるといいかも知れません。 

涙や鼻水もどんとこい。春への始動は、まずは身体の中から。全身がアクビそのものであるかのような赤ちゃんになったつもりで、たっぷりとゆるんでしまうことを自分に許してあげてください。 
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水瓶座(みずがめ座)

今季のみずがめ座のキーワードは、「困惑の悦び」。

水瓶座のイラスト
今は何か目新しい言葉が出てきても、グーグルなどの検索エンジンにそれを入力してを検索すれば、その言葉に対する十分すぎるほど膨大な説明が出てくるようになって、便利と言えば便利になりましたが、どこか言葉が私たちの外側に行ってしまって、上っ面だけを通り過ぎているように感じている人も少なくないのではないでしょうか。 
 
少なくともそこには、新しい言葉や概念と直面したときの“困惑”それ自体を肯定的に受け容れる余地がなくなってしまっていますし、むしろそうしたストレスやタイムラグをできるだけなくしていくことが良いことである、という方向に向かっていっているように思います。 
 
ただ、そういう方向に心身を適応させていこうとすると、必ず無理が出てきて、心も身体もこわばってしまう。つまり、人間にはやはり適度なゆるみや遊びが必要な訳です。その意味で、物理学者の佐治晴夫と編集工学研究所の松岡正剛の対談『二十世紀の忘れもの』には、ちょうどそんなゆるみや遊びをめぐる、次のようなやり取りがあります。 
 
松岡 ぼくも月狂いですけど、月の出は大きく見えますが、この「ムーン・イリュージョン」と呼ばれている謎はまだ解けていないですよね。でも、指で丸をつくって他のものと比較すれば月は小さくなります。満月の月を見て手をかざしては、「これは困った」と毎回思ってしまう。こんなことがプトレマイオス以来の問題と言われていることなんですね。デカルトも解けない、バークリーも解けないし、以来ずうっと解けていない。そういう問題が、いまここにある。それは悦びであるとともに、言い知れぬ“困惑の悦び”なんですね(笑) 
佐治 困惑の悦びって、いいですね。(…)いやあ、人生は謎ですよね(笑) 
松岡 ときどきね、風呂から上がった瞬間に、「何をするんだったのか」と思ってしまうことがあります。風呂から出たところなのに、次のことが思い浮かばず、一時、戸惑ってしまう。それから、何かをしようと思って立ち上がったのに、「あれっ?」って思ってしまう。こういう瞬間って、いいですよね。「度忘れ」というか、「立ち往生」をした瞬間といいますか、ただのボケかもしれないですがね(笑) 
佐治 そういうふうに「あれっ?」と思うときは、たぶん精神的に余裕があるときでしょうね。とにかく、何かに追い詰められているときは、スーパーコンピュータのように熱くなっていますから、そんな余裕はないです。」 
 
今期のみずがめ座もまた、そんな「立ち往生」や「困惑」を受け容れたり、誰かと一緒におもしろがったりするくらいのノリで、人生の謎と付き合ってみるといいでしょう。 
 
 
参考:佐治晴夫、松岡正剛『二十世紀の忘れもの』(雲母書房) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ