12星座全体の運勢

「見せるための花はいらない」 

すでに青葉若葉が目に鮮やかになってきましたが、暦の上で夏の始まりを告げる「立夏」にほど近い5月1日には、おうし座10度(数えで11度)で新月を迎えていきます。 

おうし座11度のサビアンシンボルは「花の畝に水を撒く女」。みずからを耕し、ケアすること、洗練させることを象徴する度数であり、さらに今回の新月は「理想と刷新」の天王星と重なる形で起きていきますから、自分を取り巻く世界を変えるためにいつも以上に大胆な態度表明を行ないやすいタイミングといえます。 

それを踏まえた上で、今回の新月のテーマをあえて一言でいうならば、「見せるための花はいらない」ということになるのではないでしょうか。 

例えばイチジクの花は、花が見えないまま、いきなり果実が育ち始め、花はその果実の真ん中に隠れていますが、人間に置き換えてみるとそのような人は滅多に見かけないはずです。 

というのも、いまの社会ではいかに自分をよく見せ、市場価値や評価を高められるか、高くもしくは長く買ってもらうかということが過剰に重視されており、結果的に自意識にがんじがらめになったり、生い茂る雑草のような自分の目立たない側面を過小評価したり、身体的ないし精神的な健康ということが疎かになったりして、美しいとは本来どういうことなのか、ますます分からなくなっているように感じるからです。 

その意味で、今回の新月ではどんなに常識に反してもいい、モテなくても見向きもされなくていい、他ならぬ自分自身を喜ばすための時間を確保し、そうした取り組みに方向性を切り替えていくために、どれだけそれ以外の部分、すなわち「誰かに見せるための花」やそのための手間ひまを、思い切って切り捨てることができるかが問われていくでしょう。 
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蟹座(かに座)

今期のかに座のキーワードは、「無限ゲーム」。

蟹座のイラスト
先日、タカラトミーの人気ボードゲームシリーズ『人生ゲーム』の令和版が、お金を稼いで億万長者になるという設定から、インフルエンサーとなって獲得したフォロワー数によって勝敗が決まるという設定に変わったということを知って、もはやゲームと現実の境い目がほとんどなくなってしまったような複雑な気分になりました。 
 
ただ、一口にゲームといっても、人生ゲームのような明確なルールと定義された終わりがあり、勝つことを目的にプレイする「有限ゲーム」と、プレイし続けることそれ自体が目的であり、ルールに難があればゲーム遂行のために変えていくことのできる「無限ゲーム」の少なくとも2種類があって、例えば、ゲームクリエイターのイアン・チェンは『美術2020年8月号特集ゲーム×アート』に収録されたインタビューの中で、両者をプレイして得られる実感の違いについて次のように述べています。 
 
われわれにとって人生は、締め切り、取引、ランキング、日程、選挙、スポーツ、大学、戦争、ポーカー、宝くじといった有限ゲームに満ちている。有限ゲームで勝っても、ベース・リアリティ(実感の基礎)に立ち戻ることができず、その接点に介在する無限ゲームのフィールドの中で目覚める。われわれが無限ゲームに生きるのは、それが肉体的、精神的な健康とは無関係なベース・リアリティに意味をもたらすからだ」 
 
ここでいう無限ゲームとは、具体的には子供を持つことだったり、会社を設立することだったり、ヴァーチャル空間で新たな人格を開発したり、まったく架空のファンタジー世界をつくることなどが挙げられ、もちろん進化する生命もまた無限ゲームな訳ですが、こうした観点に立ってみると、人間という存在は、言わば「意識」をテーマにした無限ゲームをプレイしているプレイヤーなのだとも言えます。 
 
チェンはさらにそれを「ホームを求めるか、驚きを求めるか」という目的軸と、「物語による操縦か、本能的直感による操縦か」という操作感軸という2つの軸によって作られる4つのアーキタイプに分類した上で、プレイヤーは基本的に4つすべてに関わっているが、特定の仕事の中で、人生のある段階で、異なる割合になっていくのだと述べています。 
 
例えば、慣習や前例を無視した自由な思考実験をしている時などは「ハッカー(驚き×直感)」が強まり(アクションゲーム系)、人工知能の研究など進化し続ける対象やストーリーを創造したり、それを維持していくことに熱を傾けていれば「エミッサリー(驚き×物語)」が強まる(RPGゲーム系)。また、特定のテーマや世界観を構築し、そこで多くの人に楽しんでもらえるようなコンテンツを運営していけば「ディレクター(ホーム×物語)」になりますし(シュミレーション系)、もっと特例のプレイや課題に夢中になったり、やり込み度をとことん追求していけば「カートゥーンニスト(ホーム×直感)」になる訳です(ボードゲー系)。 
 
ひるがえって、今のあなたはどんなプレイスタイルで無限ゲームに参加しているのか。まずは上記のチェンの類型で確認してみるといいでしょう。 
 
 
参考:『美術手帖2020年8月号 ゲーム×アート』(美術出版社)
12星座占い<5/1~5/14>まとめはこちら
<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ