12星座全体の運勢

「見せるための花はいらない」 

すでに青葉若葉が目に鮮やかになってきましたが、暦の上で夏の始まりを告げる「立夏」にほど近い5月1日には、おうし座10度(数えで11度)で新月を迎えていきます。 

おうし座11度のサビアンシンボルは「花の畝に水を撒く女」。みずからを耕し、ケアすること、洗練させることを象徴する度数であり、さらに今回の新月は「理想と刷新」の天王星と重なる形で起きていきますから、自分を取り巻く世界を変えるためにいつも以上に大胆な態度表明を行ないやすいタイミングといえます。 

それを踏まえた上で、今回の新月のテーマをあえて一言でいうならば、「見せるための花はいらない」ということになるのではないでしょうか。 

例えばイチジクの花は、花が見えないまま、いきなり果実が育ち始め、花はその果実の真ん中に隠れていますが、人間に置き換えてみるとそのような人は滅多に見かけないはずです。 

というのも、いまの社会ではいかに自分をよく見せ、市場価値や評価を高められるか、高くもしくは長く買ってもらうかということが過剰に重視されており、結果的に自意識にがんじがらめになったり、生い茂る雑草のような自分の目立たない側面を過小評価したり、身体的ないし精神的な健康ということが疎かになったりして、美しいとは本来どういうことなのか、ますます分からなくなっているように感じるからです。 

その意味で、今回の新月ではどんなに常識に反してもいい、モテなくても見向きもされなくていい、他ならぬ自分自身を喜ばすための時間を確保し、そうした取り組みに方向性を切り替えていくために、どれだけそれ以外の部分、すなわち「誰かに見せるための花」やそのための手間ひまを、思い切って切り捨てることができるかが問われていくでしょう。 
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射手座(いて座)

今期のいて座のキーワードは、「抜け感づくり」。

射手座のイラスト
近代合理主義の見直しということが叫ばれるようになって既に久しいですが、それがいまだにスピリチュアルや陰謀論などと一足飛びに結びつきがちなのは、90年代のオウム事件などの教訓を消化しきれてないことの何よりの証しであるように思われます。 
 
しかし、本当の意味で自分や周囲の人を大事にしたり、寄り添ったり、その果てに社会の役に立っていくということが難しくなっているように感じるのは、逆に言えば、多くの人がはじめから無駄なく、合理的かつ機能的に人の役に立とうとして空回りしたり、力み過ぎてしまうからであって、いったんきちんとぶっ飛んだり、思いきり横道にそれたり、世間から雲隠れした経験をへることで“抜け”がないからなのかも知れません。 
 
つまり、スピリチュアルや陰謀論を好む人というのは、たいていは“大真面目”に世間に適応しようとしているだけなのであって、だからこそ袋小路に陥りがちなのだということです。こうした傾向については、例えば整体師の片山洋次郎は『オウムと身体』という本の中で次のように語っています。 
 
いずれにせよ、無理にエネルギーを集中したってダメです。それはただの興奮であって、その後に虚しさに襲われるんです。本当のエネルギーの集中は、その人の身体の要求に素直に生きていれば、自然にしかも目一杯やってくる。そうして、思いきり発散する。今の瞬間の生命の流れに完璧に乗っていれば、自動的にむしろ静かに快感がやってきます。 
 
オウムに『生死を超える』という本がありますが、いくら力んでも「生死を超える」わけではありません。思いきり生きていると瞬間瞬間に「死」があり、刻一刻生まれ変わっているのがわかる。また、一人きりで生きているのではないこと―常に回りの人たちやモノの世界と響きあっていることもわかります。自分の意識だと思っているものが、実は自分と回りの世界の干渉の場だということもわかってきます。生ききっているその瞬間こそ、自らが空っぽだということがわかるのです。」 
 
こう言われてみると、確かに日本のように忌み避ける代わりに、死が日常的な光景としてあったチベットのような社会では、かえってカルト宗教のようなものは生まれないでしょうし、その意味で、近代合理主義を見直し、健全な生活感覚を取り戻すには、ごく身近なところで「死」を感じたり、片山がいうような「自分と回りの世界の干渉の場」となって響きあっている感覚を取り戻していくことが近道なのだとも言えるはず。 
 
5月1日にいて座から数えて「技術やスキル」を意味する6番目のおうし座で新月を迎えていく今期のあなたもまた、そうした抜け感づくりに長けていくべく、まずは自身のこわばりや力みをとっていくことから始めてみるといいでしょう。 
 
 
参考:片山洋次郎『オウムと身体』(日本エディタースクール出版部) 
12星座占い<5/1~5/14>まとめはこちら
<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ