殿堂入り

【牡牛座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<5/15~5/28> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー

12星座全体の運勢

「大きなリズムや流れと協調しよう」 

立夏をすぎ、すっかり太陽がまぶしい季節に入って、街では日傘をさしている人もちらほら見かけるようになってきた5月16日には、さそり座25度(数えで26度)で満月を迎えていきます。 

さそり座26度のサビアンシンボルは「新しい土地でキャンプするネイティブアメリカン」で、キーワードは「臨機応変」。ここでの「ネイティブアメリカン」とは、「自然と調和して生きている人」の象徴であり、彼らは人生に対してなにか過剰な要求をすることがない代わりに、自身の内側から新しい欲求が湧き出てくるごとに、それにふさわしい場所へと直感的にたどり着くことができます。 

26度というのは、外部への志向性が生まれる度数なのですが、今回は固定宮の終わり際で起きる満月で、かつ「硬直化したシステムや慣習」を意味する土星を巻き込んだ形で起こるため、柔軟宮に特有の“流動性”がひときわ強調されやすい配置と言えます。 

今回の満月では、これまでしがみついてきた“正しい”やり方や“揺るぎない常識”とされてきたものの息苦しさや不自然さに改めて気が付き、そこから自然と離れていくアクションや気持ちの動きが出てきやすいでしょう。 

土星は特定の社会の枠内だけで通用する常識や考え方を表しますが、「ネイティブアメリカン」が依拠している「自然」は、そうした狭い常識や考え方を相対化するより大きな生態系のリズムとともに絶えず動いており、そうした大きなリズムや時代潮流と協調して機能していくことに自分らしさを感じていけるかが、今期は問われていくはずです。 

牡牛座(おうし座)

今期のおうし座のキーワードは、「生き埋めにされた声に耳を澄ませていく」。

牡牛座のイラスト
村上春樹が1981年3月に雑誌『BRUTUS』誌で発表した「ニューヨーク炭鉱の悲劇」という題の短編小説があります。ビージーズの「New York Mining Disaster 1941」という曲の歌詞にひかれて書いたとされるこの作品を、当時編集者は「ビージーズはおしゃれじゃない」という理由から掲載をしぶったそうです。 
 
この曲は、1966年にイギリスのウェールズ地方、アバーファン村のマーシル・ヴェール炭鉱で起こった落盤事故をヒントにビージーズのメンバーが作ったのですが、実際ニューヨークに炭鉱はありません。ビージーズはこの炭鉱事故を下敷きに、当時のアメリカが遂行していたベトナム戦争を架空の「ニューヨーク炭鉱」に置き換えている訳ですが、「だからこそ村上はひかれたのだろう」と、文芸評論家の加藤典洋は『村上春樹の短編を英語で読む』の中で述べています。 
 
話者である28歳の「僕」の回想という形式をとるこの作品には、ビージーズの曲の歌詞に着想を得たとおぼしき、落盤事故にあい生き埋めになった鉱夫たちの場面が出てくるのですが、その該当箇所を以下に引用してみましょう。 
 
空気を節約するためにカンテラが吹き消され、あたりは漆黒の闇に覆われた。誰も口を開かなかった。五秒おきに天井から落ちてくる水滴の音だけが闇のなかに響いていた。 
「みんな、なるべく息をするんじゃない。残りの空気が少ないんだ」 
年嵩の坑夫がそう言った。ひっそりとした声だったが、それでも天井の岩盤が微かに軋んだ音を立てた。坑夫たちは闇のなかで身を寄せ合い、耳を澄ませ、ただひとつの音が聞こえてくるのを待っていた。つるはしの音、生命の音だ。 
彼らはもう何時間もそのように待ち続けていた。闇が少しずつ現実を溶解させていった。何もかもがずっと昔に、どこか遠い世界で起こったことであるように思えた。あるいは何もかもがずっと先に、どこか遠い世界で起こりそうなことであるように思えた。 
みんな、なるべく息をするんじゃない。残りの空気が少ないんだ。 
外ではもちろん人びとは穴を掘り続けている。まるで映画の一場面のように。」 
 
この作品の解釈をめぐって、加藤は先の著書のなかでじつにシンプルに解釈しています。つまり、ここでは何かが引き算されているという読後感に基づいて、作品を通じて村上は法律上の殺人でも道義上の殺人でもないそこらへんにいくらでも転がっている「死」への思い、関係が描かれているのだと捉えたのです。そして、社会から隔てられた「戦場」という不可視の「坑内」に「生き埋め」になった人びと=ベトナム戦争への出征兵士の動向に耳を澄ませているのであり、村上はこれを1977年の自分を起点に、日本社会に静かに進行していた「戦争」ないしそれに類するものとして描き出していたのだと。 
 
同様に、16日におうし座から数えて「他者」を意味する7番目のさそり座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、自分の生きている現実の“外側”で現に“生き埋め”にされてしまっているかそけき声に、どれだけ耳を澄ましていけるかがテーマとなっていきそうです。 
 
 
参考:加藤典洋『村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 上』(ちくま学芸文庫)
<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。

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