今までと、これからと。終わらせたくない、ロングロングインタビュー

大好きだからモデルとしてもっともっと成長するために──。7月27日に33歳を迎えたばかりの栞里が、ついに旅立つ時がきた。MOREで過ごした11年間分の軌跡と、これから始まる人生に想いをはせる。

赤いワンピースを着た佐藤栞里

服・小物/すべてスタイリスト私物

ラストシューティングの地は、沖縄・恩納村。エメラルドブルーの海をバックに撮影を予定していた。しかし、天候はくもり。そんなあいにくの空模様を感じさせない、栞里の笑い声がビーチに響きわたる。「今日の海、ちょっと濁ってるけどそれもいい味!(笑)」。そう言いながら、子どものように海で遊ぶ彼女のおかげで、私たちの心は晴れていった。持ち前の優しさと、明るさ。どんな状況も楽しもうとするアティチュード。それは11年前からまったく変わらない。

成長させてくれた忘れられない企画

2016年には、初のライフスタイルブック『ちゃまてばこ』を刊行。彼女のページを数多く担当してきた編集担当と共に、構想を含め約1年かけてつくり上げた。

「この本は、私が100%自信を持って届けられた作品。一緒につくった編集さんは、家族やマネージャーさん以外で、自分の本音をぶつけられる人。そんな絶対的な信頼を置いている存在と、本の制作中にはぶつかったこともあった。原因は、私の甘え。私の本だから、どういうページにするか私が決めないといけないのに、あらゆることの最終判断を編集さんに委ねてしまっていたんだよね。そうしたら、『栞里は、どうしたいの?』と長文のメールが届いて。それを読んだ時、相手の意見を尊重するだけじゃなくて、自分の考えや想いをまっすぐ伝えて、それを“いい”と思ってもらえるように努力することが大事なんだなって気づくことができた。一緒にお仕事をする相手には、『参加してよかった』と思ってもらいたいから」

栞里を形づくったテーマといえば、姉役・佐藤ありさと、妹役・佐藤栞里のコンビ企画もそう。

「“佐藤姉妹”って言葉ができた時、『私、MOREにいていいんだ!』って気持ちになったし、初めて“佐藤”っていう平凡な名字に感謝した(笑)。佐藤姉妹のおかげで『しゃべくり007』にふたりで初出演することができたし、MOREがなければそれも叶わなかったかもしれない。憧れだったありさの隣にいられることも、私にとっては夢みたいだったんだよ」

ありさの存在は、「MOREのカバーガールをしてみたい」という目標をくれたという。

「MOREの表紙は、女優さんやタレントさんしか飾れないイメージだったから、昔は私が、“MOREで表紙を飾る”という夢を持つことは許されないと思っていて。でも、モアモデルとして活躍していたありさが単独で表紙を飾った時、“もしかしたら私も頑張ればいつか”って思えるようになったの。ありさが道を切り開いてくれたおかげで、カバーガールになる夢を持てるようになったから、本当に感謝してる」

赤いワンピースを着た佐藤栞里

そして、2016年12月号、念願の単独カバーガールに抜擢される。

「表紙が決まった時、家族には焼肉屋さんで発表して。『ふたりに伝えたいことがありまーす! MOREで単独表紙が決まりました!』、『えぇー!』ってやり取りをした記憶(笑)。父とハイタッチしてる横で、母は泣いてた。表紙が私の夢だって知っていて、ずっと応援してくれてたから。撮影日までは、今自分ができる、自信につながることをすべてやろうと思って、毎日肌やボディのメンテナンスに通い。それなのに、なんと! 撮影前日、プレッシャーで眠れなくなっちゃって……。今だから言えるけれど、ヘア&メイクさんは、むくみを取るのにかなり苦労したと思う。だけどね、この日の撮影のおかげで大切なことを思い出せたの。それは、“私はひとりじゃない”ってこと。カバーもチームでつくり上げるものなのに、ひとりで背負い込みすぎていたなと。撮られている時は、不安でいっぱいだったけど、編集さんやマネージャーさんに『いいっ!』って言ってもらえてすごく安心したし、今でも見守ってくれたみんなの表情は、はっきりと覚えてる」

それ以降、何度もカバーを担当。

「1度目の経験があったから、2回目からは少しずつ自然体で挑めるようになったかな。去年の9月号の表紙の撮影は、すごく印象に残っている。撮影テーマは当日に知ったんだけど、この時は、『モデルだからこそのポーズをしてほしい』ってオーダーされて。モデルの仕事が好きだからこそ、その言葉が私にはエールに聞こえたし、期待に応えたいって強く思った」

11年の間に、数えきれないほどのテーマに登場したが、特に忘れられない企画が、「佐藤栞里 ニキビとの闘い 1000日の記録」(2019年10月号)だという。多忙な時期に悩まされたニキビについて赤裸々に語られている。

「ニキビに悩まされていたことをさらけ出すのは怖かった。できることなら人に言いたくないし、隠したいし、恥ずかしいことだった。でも編集さんに、私と同じようにニキビに悩んでいる人がたくさんいると聞いて、すべて話してみようと決心したんだよね。その記事は、反響が大きくて、SNSに『勇気をもらいました』ってメッセージがたくさん届いたの。その時に、憧れてもらえることだけがすべてじゃなくて、悩みに寄り添える存在としてでも誰かの力になれることを実感できた。むしろ私が勇気をもらった出来事でした」

赤いワンピースを着て海に入る佐藤栞里

安心をくれるMOREという場所があったから新しいチャレンジをめげずに頑張れた

誰ひとり取り残さない気軽に話しかけやすい人に

長年後輩だった栞里も、2018年頃からモアモデルの中で、いわゆる“先輩”の立場となった。

「ええ──! そっか、MORE歴で見ると先輩か……。正直、先輩として後輩を引っぱろうと意気込んだことって、申し訳ないくらいなかったかもしれない。“佐藤先輩!”だなんてもし言われたら、『いやいや! みんな同じ立場だよ!』ってなっちゃうと思う(笑)。できる限り年下の方とも、フラットな関係でいたいなという意識が強いのかもしれないね。でも、迷ったり悩んだりしている人がいたら、まずはいちばんに聞いてみようかなと気兼ねなく思ってもらえるようなそんな人でありたいなとは思ってた。それは以前、川田さんが、ひとりポツンとスタジオにいた私に話しかけてくれて心が救われた経験があるから。どの現場でも、“誰のこともひとりにしない”って姿勢は、人として大事にしていきたい」

撮影/東 京祐 ヘア&メイク/川添カユミ(ilumini.) スタイリスト/石上美津江 取材・原文/海渡理恵 ※MORE2023年9・10月合併号掲載