写真集 『かの日、』の制作秘話と、込めた思い

飯豊まりえさん

モアのレギュラーモデルとして活躍中の飯豊まりえさんが、写真集『かの日、』を2023年8月23日(水)に発売。今年デビュー15周年を迎えることを記念し、24歳から25歳にかけた春夏秋冬を密に切り取ったという作品の舞台裏と、この一冊にかける彼女の思いを探ります。

せっかくの機会をいただいたのでなにか物語を作りたかった

飯豊まりえ(以下、まりえ)「芸能のお仕事を始めて15年。ネガティブな意味ではなく、これまで心のどこかで素の自分を出していくべきではないと考えていました。節目の年に何かカタチに残るものをと考えていたタイミングで素敵な機会をいただき、ファッション誌のモデルやお芝居でいただくような“役割”に依存しない、“自分らしさ”を切り取った物語を作りたいと思ったんです。2〜3日で集中して撮影するのではなく、1年間をかけて紡いだ時間を少しずつ記録に残していきたいと編集さんに伝えました。

撮影は10代のころからお仕事でお世話になっていて、縁の深い写真家の東京祐さんにお願いしました。手作りのカレーを振る舞ったり、沖縄を思う存分楽しんだり、土砂降りの中でキャンプに臨んだり、さまざまなシチュエーションでの撮影にも挑戦しました。“飯豊まりえの日常”の写真でありながらも、この写真集を見てくださった方の特別な誰かや、忘れられない人と過ごした記憶が蘇ってくるような、そんな懐かしく温かい気持ちになってもらえたら嬉しいです」

飯豊まりえさん

ふとした瞬間を切り取った、移動中のカットがお気に入り

「飛行機で軽食を食べている瞬間を撮影されるとは思っていなかったのですが、完全オフモードな1枚がお気に入りです。思い返せば、予期せぬタイミングでシャッターを切られることが多々…(笑)。撮られそうだなと思って少し構えていたら撮られないなんてこともあって、「これは違ったか…(笑)」みたいなことの連続でしたね。ほとんどフィルムカメラで撮影したということもあって、どんな写真が撮れたのかは出来上がってのお楽しみというのもワクワク感やドキドキ感を掻き立てられました」

撮影のために新調した赤いワンピースがときめきをくれた

「自らロケ場所を提案し、衣装も私服から選び、セルフメイクで挑んだ本写真集。洋服は撮影場所の雰囲気に合うものや手に取ってくださる方の気持ちと全体のバランスを考えて選びました。着慣れたものの方が生活感があるかなと思い、手持ちの服をクローゼットから引っ張りだしたこともあります。クローゼットの前で頭を抱えたのも懐かしいです(笑)。赤いワンピースは新調しました。普段は選ばないものだからこそ、すごく新鮮でテンションが上がったのもいい思い出です。

あとは、久々に浴衣を着られたのもすごく嬉しかったです♡ 企画時点から春夏秋冬を切り取るならば、浴衣は絶対に入れたいと考えていました。 夏のデートなら、浴衣で花火大会!と、スタッフさん含めみんなで盛り上がったのですが、撮影時の2022年夏はコロナ禍のため花火大会があまり開催されていなかったので、手持ち花火で撮影しましたね」

撮影中、特に印象的だったのは、バースデーのサプライズ

「撮影現場での印象的なエピソードといえば、バースデーケーキのカット。誕生日が近かったこともあり、その瞬間を写真に収めようと編集さんがサプライズで東さんを呼んでくださっていて。さらに、ずっと食べてみたいと言っていたフードスタイリスト・いわさ あやかさんがバースデーケーキを用意してくれていたんです。ただ、Oggiの撮影が予定より2時間も巻いてしまって早々に帰ろうとする私を、ヘアメイクさんとスタイリストさんが手を変え品を変え理由をつけて必死に引き止めてくださり、バースデーサプライズも急遽2時間前倒しになりました」

飯豊まりえさん

カメラの前で普通にすることがなにより難しかった

「製作の過程で難しいと感じたのは、素の自分をさらけだすことでした。はじめのうちはどうしても撮られているという意識が強かったので、なんだかぎこちなくなってしまって。もし自分が撮影場所にプライベートで遊びに行ったら、どんな風に振る舞って何をするのかと考えながら撮影していたのですが、カメラの前に立つとそれすらも難しかったんです。親戚のお兄さんのような存在の東さんと、絶大な信頼を置くスタッフの皆さんがいてくださったので、回を増すごとに自然と肩の力が抜けて撮影に参加できるようになっていました」

飯豊まりえさん

『かの日、』の制作を経て、モノづくり欲がムクムクと湧き上がり中!

「写真集『かの日、』を手にとってくださった方が、いつか誰かとどこかで見た、あるいは「~だったかもしれない」景色や時間、空気を、私の向こうに感じてもらえたら嬉しいなと思い、春夏秋冬の私を1年という年月をかけて写真に収めてきました。誰かと過ごしたかの日、記憶の中にあるかの日を、親しい人からの手紙で思い出すような、そんな写真集になったと思っています。このご縁を通じて、食べ物や洋服など自分の好きなものやあると便利だなと感じるものを未来にカタチとして残していけたらいいなと考えています」

『かの日、』書影
『かの日、』軽食を食べている飯豊さんの写真

飛行機で軽食を食べているカット 撮影/東京祐

『かの日、』赤いワンピースを着た飯豊さんの写真

赤いワンピースのカット 撮影/東京祐

書名:飯豊まりえ15周年写真集
『かの日、』
撮影/東 京祐
発売日:2023年8月23日(水)
定価:3,300円(税込)
発売:小学館

https://www.shogakukan.co.jp/books/09682420

information

8月31日(木)まで、代官山 蔦屋書店3号館2階SHARE LOUNGEのエスカレーター横にて、パネル展を実施中。未掲載ショットを含む大判ポスターで写真集の世界を感じることができます。

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撮影/川原崎宣喜  スタイリスト/コギソマナ(io) ヘア&メイクアップ/AYA(TRIVAL) 取材・文/大塚悠貴