岡山天音

1月5日に公開される主演映画『笑いのカイブツ』で、笑いに取り憑かれた男の半生を熱演している岡山天音さん。インタビュー後編では、仲野太賀さんと菅田将暉さんという、尊敬する先輩二人との共演について、そして岡山さん自身が日々救われているという「笑い」について聞きました。 

仲野太賀は、‟なんでも相談したくなる人”

──本作では10代の頃から付き合いがある菅田将暉さんだけでなく、仲野太賀さんとも共演されていますね。仲野さんが演じたのは、ツチヤが尊敬する芸人の西寺役でしたがいかがでしたか? 
 
太賀くんと僕の関係は、ツチヤと西寺の関係にすごく近いと感じていて。太賀くんって本当に優しいんです。同業の後輩として昔からいろんなことを相談してきたので、自分がこれまで積み重ねてきた実人生の時間があれば、ツチヤと西寺のような関係値になれると思っていました。 
 

──相談したくなる人なんですね。 
 
話を聞いてくれるし、アドバイスもしてくれる。本当に「太賀くん!」って感じです(笑)。相談して解散した後に、「ちょっと余計なことを言っちゃったかも。ごめん」みたいなLINEをしてくれたりもするし、本当に優しくて素敵な人なんです。 
 
現場ではカメラが回っている時も回っていない時もずっと寄り添ってくれたし、太賀くんの人間力や温かさに包まれていました。 

岡山天音

──プライベートでも交流があるお二人と共演できたことは、岡山さんにとって大きな経験だったのでは? 
 
本当に「こんなこと起こるんだ!」って感じですよね。これまでも菅田くんや太賀くんが軸となる作品に参加させてもらうことはありましたけど、今回は僕が真ん中にいる現場に二人が来てくれた。それ自体が信じられないですし、見えざる力やご縁を感じさせられる現場でした。 
 

──笑いに救われた経験はありますか? 
 
めっちゃあります。すごい落ち込んでいる時でも、お笑いを見たら笑っちゃう時があるじゃないですか。心が硬くなっている時に、芝居はそこまで届くのかなとも思うんです。 
 
お芝居とお笑いを横並びで見たときに、誰かを癒すものとして敵わないなとか、悔しいなと思うこともあります。人間にとって笑うことはすごく原始的だし、僕自身も大きい存在だと思っています。 

岡山天音

──特に好きな芸人さんは? 
 
永野さん。あと最近ハマっているのは若手コンビの9番街レトロさんですね。Artistspokenというアプリで有料のラジオ番組をやられていて。毎回更新されるたびに楽しみに聞いています。もったいないからすぐ聞かずにちょっと時間を置いたりも(笑)。自分にない感覚があると笑っちゃいますね。 

 
──お笑い以外で、最近笑ったことは? 
 
どんな物事も、見る角度によって面白くなると思うんです。僕は漫画や小説も好きなんですけど、たとえ自分にはささらないと思った作品でも、視点を置く場所を変えれば面白く感じる部分が必ず見つかるというか。自分が何かを創作する時に応用できたりもしますしね。 
 
人の話も一緒ですよね。どう聞くかによってなんでも楽しむことができる。面白いか面白くないかは、そのものに備わっているものではなく自分が決めること。受け手次第だと思うんです。だから基本、人の話を聞いている時は楽しいし、常に笑っちゃってると思います。 



Profile

おかやま・あまね●1994年6月17日生まれ、東京都出身。2009 年、NHK『中学生日記』で俳優デビュー。2017 年公開『ポエトリーエンジェル』で第32 回高崎映画祭最優秀新進男優賞、2018 年公開『愛の病』でASIAN FILM FESTIVAL最優秀男優賞を受賞。近年の主な映画出演作は『新聞記者』、『王様になれ』、『青くて痛くて脆い』、『FUNNY BUNNY』、『キングダム2 遥かなる大地へ』、『さかなのこ』、『沈黙のパレード』、『あの娘は知らない』、『BLUE GIANT』、『キングダム 運命の炎』など。『ある閉ざされた雪の山荘で』の公開も控えている。

映画『笑いのカイブツ』

笑いのカイブツ

©︎2023「笑いのカイブツ」製作委員会

何をするにも不器用。人間関係も不得意なツチヤタカユキ(岡山天音)の生きがいは、テレビの大喜利番組にネタを投稿すること。その実力が認められ、念願叶ってお笑い劇場の作家見習いになる。ネタを書くためにフードコートで長居をしていると、ハンバーガー屋の店員ミカコ(松本穂香)が声をかけてきて、素直にツチヤの努力を尊敬してくれる。ところが笑いだけを追求し、他者と交わらずに常識から逸脱した行動をとり続けるツチヤは周囲から理解されず、志半ばで劇場を去ることに。偶然出会ったピンク(菅田将暉)の紹介で、怪しげなバーで働くことになったツチヤは、カウンターでラジオを聞きながら、番組にネタを投稿するハガキ職人として再起をかける。すると、尊敬する芸人・西寺(仲野太賀)から声が掛かり、構成作家を目指して大阪から上京することに。●2024年1月5日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー

映画『笑いのカイブツ』公式サイト
▷▷【岡山天音】インタビュー前編はこちら

撮影/山本仁 ヘア&メイク/森下奈央子 スタイリスト/岡村春輝 取材・文/松山梢