【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——瀬戸朝香さん

今回のゲストはかつて主演ドラマではクールな女性を演じていた瀬戸朝香さん。本来は、甘えん坊の人見知りだったという彼女を変えたのは、数々の経験でした。

2022年MORE12月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「子どもたちのおかげで、自分の世界が広がりました」

MORE【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——瀬戸朝香さん
「趣味で始めたアクセサリー作りが仕事に。ちゃんとこだわって、ブランドに育てていきたい」

ジャケット¥217800・ドレス¥143000/IZA(N21) 靴¥130900/セルジオ・ロッシ カスタマーサービス(セルジオ・ロッシ) ピアス¥37400・リング(右手)¥39600・リング(左手)¥35200/SIRI SIRI

10&20代の頃

芸能界に入ったきっかけはスカウトでした。中3の夏休みに突然、事務所の人がピンポ~ンって家にやってきて、「タレントになりませんか」って(笑)。こんな田舎にスカウトの人が来るわけないし、騙されたらいけないと警戒していたんですけれど、何度も電話をいただいて熱心に誘われるうちに「おもしろそうだからやってみようかなぁ」と。それで中学卒業と同時にひとりで上京したんです。とはいえ、東京には友達もいないし、私は末っ子で甘えん坊だったので、すっかりホームシックに。母に毎日電話をしていたら、電話料金が1カ月で11万円もかかったり(笑)、黙って新幹線に乗って家に帰ってしまったこともありました。

でも、しだいに自分の出演作が評価されたり、「感動したよ」なんて声をいただくようになると、仕事にやりがいを感じるようになって。そこからはドラマに映画にと、忙しく駆け抜けた20代。「こんなに続くと思わなかった」って母がいちばんびっくりしていました。

30代の頃

結婚したのは、ちょうど30歳の時でした。読者のみなさんも「結婚をするならどんな人がいいんだろう?」って悩んでいるかもしれませんが、私が大事にしたのは、自分のスタイルを保ちながら結婚できるかどうかということ。結婚をして何かを我慢したり、自分を犠牲にしたりするようになると、結局、長続きしないと思うんですね。

たとえば私の場合、結婚してからも仕事は続けたいと思っていたので、結婚後も変わらず忙しく過ごしていました。第一子を妊娠したばかりの時は、つわりがひどかったんですけれど、それでも毎日連続ドラマの撮影をしていたし、大きくなったお腹を隠しながらCMの撮影もしていました。

産後2カ月後にはスピード復帰。妊娠でかなり太ったので、短期間でめちゃくちゃ絞って戻したんです。でも、復帰できてうれしい反面、赤ちゃんを人に預けて現場に行くのがどうも落ち着かなくて。仕事はこの先もできるけれど子育ては今しかできない。成長の瞬間を見逃したくない。そんな思いがこみ上げてきたんですね。それで仕事をセーブして、育児中心の生活に切り替えることにしました。

子どもたちには勉強より、好きなことをさせてあげたい

子どもたちには、とにかく伸び伸びと育ってほしいと思っています。だからわが家では勉強より、子どもたちのやりたいこと優先。成績も中の下くらいなら許します(笑)。私の母も娘をひとりで東京に出すのはつらかったと思うんですけれど、「あなたが決めたことなら応援するから」と言ってくれました。だから私も子どもたちには、やりたいことをさせてあげたい。今、長男が12歳、長女が9歳になって、ふたりともちょっと親離れしてきて、寂しいところもあるけれど、それも成長の過程ですよね。

子どもができて、私自身もすごく変わりました。それまではとても警戒心が強くて、人に対してバリアをつくってた。でも、子どものおかげで自然とママ友とも仲よくなれたし、行動範囲も広がりました。子どものおかげで自分自身の世界が広がった気がしています。
瀬戸朝香さんインタビュー。「人生は長い!の画像_2
「30歳の頃。結婚した直後で毎日が充実していました」
2008年LEE2月号

45歳の今

コロナ禍で自粛生活になった時、マスクを作ろうと手芸屋さんに行ったら、ブレスレットのキットが売っていたんですね。「おもしろそう」と始めたのがきっかけで、ビーズやひもを使ってオリジナル作品を作るように。ついに昨年、ブランドを立ち上げました。今まで作ったのは300種類くらい。本当に手作りなので、ひたすらおうちで作業してます(笑)。趣味の延長で始めたことだから楽しいし、「かわいい」って言ってもらえるとうれしくて。今は一時休止中ですが、今後ジュエリーブランドとしてちゃんと育てていきたいなぁと思って、準備しています。

今年は芸能生活30周年で、個人事務所も立ち上げました。まだまだやってみたい役もたくさんあるので、マイペースに楽しみながら頑張っていきたいです。

悩める読者へのアドバイス

人生は長い!! 若いうちは、失敗を恐れずチャレンジを
20~30代って、まだやり直しのきく年齢。もし今やっている仕事がしっくりきていなかったら、怖がらずに新しいことに挑戦してみるのもアリ。たとえ失敗しても絶対いい経験になるはずですよ!!

PROFILE

Asaka Seto
1976年、愛知県生まれ。1994年、月9ドラマ『君といた夏』でヒロインに抜擢されたことでブレイク。『Age,35 恋しくて』、『友達の恋人』、『成田離婚』などヒット作に多数出演。2021年、ジュエリーブランド『tieta°』を立ち上げた
Asaka’s 45years
15歳 芸能界デビュー
16歳 ドラマ『素晴らしきかな人生』でドラマ初出演
17歳 ドラマ『君といた夏』のヒロイン役に抜擢
19歳 ドラマ『Age,35 恋しくて』で注目を集め、
   その後多くのドラマ作品で主演を務める
30歳 結婚
33歳 第一子出産
36歳 第二子出産
44歳 ジュエリーブランド『tieta°』をスタート
45歳 フリーでの活動を開始
(主な活動の一部を抜粋)
●【MORE創刊45周年特別連載】すべての記事はこちら
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/冨沢ノボル スタイリスト/宮澤敬子(WHITNEY) 取材・原文/佐藤裕美 ※MORE2022年12月号掲載