【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——鈴木紗理奈さん

今回のゲストは1990年代からバラエティ番組を中心に活躍し続けている鈴木紗理奈さん。「自分らしく自由に」生きてきたという人生を、パワフルに語ってもらいました!

2023年MORE2月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「理想どおりにならない“負け”をいつか味わう。そこからが本当の人生の始まり」

MORE【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——鈴木紗理奈さん
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「誰かが舗装した道を安全に歩くよりも、体当たりで道を切り開いたほうが、人生は美しい」

10&20代の頃

「子供の頃はとにかくヤンチャで好奇心旺盛。ダメと言われても、危ないと怒られても、何ごとも自分で経験しないと気がすまない女の子でした。夢は大阪の田舎町を飛び出して広い世界を見ること。芸能界に飛び込んだのもそんな好奇心がきっかけだったんです」

目についたオーディションすべてに履歴書を送り『全日本国民的美少女コンテスト』で演技部門賞を受賞。芸能活動をスタートさせたものの、あっという間に事務所を退所。

「なかなか軌道に乗らない芸能活動に見切りをつけ、芸能界がダメなら海外に行こうと。幼い頃からの夢であった海外留学の準備を始めたんです。でも、そんな時に今の事務所からスカウトされて。あっという間に芸能界に逆戻り。でも、私の心はすでに海外へと動いていたので、20歳になったら引退して海外留学するぞと。芸能活動はその資金稼ぎ感覚だったんです(笑)。この世界で成功したる! みたいな気持ちがないから、当時の私はとにかく自由で怖いもの知らず。周りもそんな私を面白がってくれて。気づけば『めちゃ²イケてるッ!』のレギュラーに。やめるどころかどんどん仕事が楽しくなってしまったんですよね」
創刊45周年特別連載、鈴木紗理奈さん、20代のころの写真
「27歳の頃。テレビに音楽にと、とにかく楽しかった!」

30代の頃

バラエティ番組にドラマにCMに多忙な生活が続いた20代、紗理奈さんはMUNEHIRO名義で音楽活動をスタートさせる。

「実力がないのに次々と仕事が舞い込んでくる。まるで階段の一段抜かしをしているような状況に不安や焦りを感じることも。だからこそ、違う場所で、自分の足で、目の前の階段を一段一段上りたくなったのかもしれませんね。自分は何が好きで何が嫌いで何に心が動くのか、ちゃんと確認しながら」

常に自由に自分らしく生きているように見えた紗理奈さんだが、本当の意味で自由になれたのは30代。離婚という人生の大きな決断がきっかけだったそうだ。

「私ね、離婚するのがめちゃくちゃ怖くて。その理由を考えた時に気づいたんです。ひとりの男性と添い遂げるべきだっていう、世間の誰かが出した正解を信じてしがみついている自分に。自由に生きてきたつもりだけど、実は世間が提示する正解からはみ出すのがとても怖かったんですよね」

ほかの誰のものでもなく自分の正解を探すのが大事

「誰しも理想ってあると思うんです。でも、それを追い求めすぎると自分に嘘をつく人生が始まる。カッコつけたいし、理想を諦めたくないし、自分の可能性を信じたいしね。だけど、いつか思いどおりにならない“負け”を知る。そこからが本当の人生の始まり。教科書どおりにならない人生と直面した時、ほかの誰でもない自分の幸せを探す大切さに気づくんだと思う」

人生の学びに満ちた30代。自分の大きな決断を下してからはとにかく子供のために生きた、それもまた大きな学びにつながったとか。

「子供をどう導けばいいのか、考える日々は自分を成長させてくれたし。現代の教育の現場から新しい価値観を持ち帰り教えてくれることも。育てるだけでなく私も子供に育てられているんですよね」

幼い息子を海外留学に送り出したのも大きな出来事。「まだ早い」、「離れたくない」と不安になったが最終的には本人の意思を尊重。世間の正解ではなく自分たちの正解と向きあい答えを出した。

45歳の今

「45歳の今の私が意識しているのも自分らしく生きることです。空気を読んで周りと同じ発言をするとか、薄っぺらいことはもうやめて。どんなに盛り上がっていても誰かを傷つける内容なら乗っからない。ちゃんと自分でジャッジし勝負できる人間でありたいなと思う」

仕事もまた自分らしく、全力で向きあえる内容やワクワクする挑戦を選ぶように。「それがどう評価されるのか、毎日がオーディションのようで楽しい」と笑う。好奇心旺盛なのは今も変わらず。

「誰かが“いいよ”と教えてくれるものを選ぶのはラクだし安全。でも、そこに新たな感動はないんですよね。私は自分で選びちゃんと心を震わせながら生きていきたい。泣いたり笑ったりしながら、これからも理想どおりにはならない人生を楽しみたいと思ってます!」

悩める読者へのアドバイス

“みんなと同じ”からはずれるのは怖くない!
みんなと同じは安心。でも、知らず知らずのうちに自分に嘘をつくようになってしまうし、いつかきっと自分自身を苦しめる。だからこそ、はずれることを恐れないで。最初は怖いかもしれないけど、大丈夫。絶対に人生の彩りになるから!

PROFILE

Sarina Suzuki
1977年、大阪府生まれ。1994年からバラエティ番組などで芸能活動をスタートし、MUNEHIRO名義でレゲエシンガーとしても活動。ドラマ『ナンバMG5』や主演映画『キセキの葉書』など、近年は女優としても注目を集めている
Sarina’s 45years
19歳 音楽活動を開始、フジテレビ系列
   『めちゃ²イケてるッ!』がスタートし、一躍人気者に
22歳 テレビドラマ『OLビジュアル系』でドラマ初主演
25歳 MUNEHIROとして
   レゲエシンガーソングライターとしても活動スタート
31歳 結婚
32歳 出産
40歳 映画『キセキの葉書』でマドリード国際映画祭
   最優秀外国映画主演女優賞を受賞
(主な活動の一部を抜粋)
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撮影/YUJI TAKEUCHI (ballpark) ヘア&メイク/SHIGE スタイリスト/繁田美千穂(アンラックス) 取材・原文/石井美輪 ※MORE2023年2月号掲載