12星座全体の運勢

「幻想の外へと飛び出して!」 

日増しに気温の下がり始める「霜降」が近づき、蟋蟀の鳴き声もいつの間にか聞こえなくなってくると、ますますひんやりとした秋の夜長を愉しめるようになってきますが、そんな中10月20日にはおひつじ座27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

「大胆な行動」を促す火星や「根本的な変容」を司る冥王星を巻き込む形で配置される今回の満月のテーマは、「子宮内幻想からの脱皮」。これまで無意識的に調子をあわせてきた理想像だったり、なんとなく正しいとされ従ってきた決め事だったり、それらいつの間にか色あせてきつつあった馴染みの「幻想」をいよいよ破棄し、もっとおのれの欲望に忠実になっていくためのきっかけや実感を掴んでいくにはもってこいのタイミング。 

ちょうど秋の日の暮れやすいことの喩えで、よく「秋の日はつるべ落とし」などと言いますが、人によっては「つるべ」を井戸の中に落とすときのように、急速に意識が切り替わっていきやすいでしょう。 

さながら一度も離れたことのない塔から脱け出していくラプンツェルのように、「こうしておけば無難で安全」という領域の“外”へと思い切って飛び出していきたいところです。 
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牡牛座(おうし座)

今期のおうし座のキーワードは、「祈りを取り戻す」。

牡牛座のイラスト
「自由」や「自然」、「愛」など、明治期に翻訳語として使われるようになった言葉には、私たちが思っている以上にキリスト教の影響が色濃いものが多く、したがって知らず知らずのうちに現代人である私たちもその影響を引き受けています。 
 
ただ、それらの多くは実際には例えば礼拝や懺悔などのキリスト教的な実践やそれに伴う体感が抜け落ちて、言葉だけが浸透していったために、どこか噓くさく白々しい印象を抱くようになってしまった面も否めないように思います。 
 
しかし、自身もまたカトリック信徒である批評家の若松英輔は、神学者の山本芳久との対談をまとめた『キリスト教講義』のなかで、「祈りとは必ずしも入信を条件としない」「万人に開かれた宗教的な出来事である」という言い方で、そうした言葉の上滑りを払拭し、祈りを日常に取り戻すことができるのだと述べています。 
 
いわく、「祈りとは、われわれが沈黙するところから始まるもの」であり、そうして「静寂を招き入れ、神の声を聞くこと」に他ならないのだと。その際、「もちろん、具体的な営為としての祈りは、まず祈祷の言葉を唱えることにあり」「カトリックの場合は、定型の祈りを重んじ」る訳ですが、これは「仏教の表現を借りればマントラ的である」とも言えますし、そこで本当に大切なことは「霊魂のなかの秘密の小部屋を作る」ことにあるのであって、「ここに祈りの本質がある」のだと。 
 
今期のおうし座もまた、外側から見たときの形式やカテゴリーの枠をこえたところで、「人間に本性的な衝動的なもの」としての祈りを、いかに日々の暮らしの中に浸透させていくことができるかということがテーマとなっていくように思います。 
 
 
参考:若松英輔、山本芳久『キリスト教講義』(文藝春秋) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ