12星座全体の運勢

「存分に自分をぬかるませる」

大地が目覚め、うるおい始める時期とされる「雨水」に入る直前である2月17日には、しし座の27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

寒さがゆるんだり、厳しくなったりと、もしかしたら一年のうちでもっとも大地の息づかいを意識させられる時期にもあたるタイミングですが、そんな今回の満月のテーマは「不思議なほどの気持ちの明るさを楽しむこと」。 

冬が終わると光あふれる春の日が訪れるように、多大なフラストレーションや深い暗闇の後には、必ずふわふわとした浮遊感や解放感を伴うような回復期がやってきます。今回のしし座満月の時期もまた、厳しい冬の終焉と本格的な春の到来とをつなぐ過渡期であり、寒さと乾燥で張りつめていた神経や身体の末端のこわばりをどれだけゆるめていけるかということが大切になっていきます。 

ちょうどこの時期に雪解けや霜解けで土壌がぬかるむことを、昔から「春泥」と呼んでいたように、積極的にアクビをしたり、特に上半身の緊張や指先のとどこおりをほぐしていくことで、存分に自分をぬかるませていくイメージで過ごしてみるといいかも知れません。 

涙や鼻水もどんとこい。春への始動は、まずは身体の中から。全身がアクビそのものであるかのような赤ちゃんになったつもりで、たっぷりとゆるんでしまうことを自分に許してあげてください。 
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牡羊座(おひつじ座)

今季のおひつじ座のキーワードは、「光を求めること」。

牡羊座のイラスト
情報学者の落合陽一が、自分のラボでは有機体の活動を「人間か機械か」といった二分法で捉える代わりに「知能と物質と(光、音などの)波動の相互システム」で捉えようということを明文化している、という話をどこかに書いていました。おそらくこうした見方をすることで、私たちがその活動の意義について最も見直し評価しなさなければならない存在として、植物が挙げられるように思います。 
 
例えば、植物学の第一人者である著者が長年にわたり科学的に分析してきた植物の生態について詳らかにした『植物は<知性>を持っている』には、光合成によってエネルギーを補給する植物にとって最も重要な能力である、屈光性(光源の方向に向かって植物が成長していく性質)ないし避陰反応(日陰からの逃走現象)について次のような記述が出てきます。 
 
いわゆる「避陰反応」現象は、肉眼ではっきり確認できるため、古代ギリシア時代にすでによく知られていた。とはいえ、数千年前から当たり前の現象と見られていたとしても、植物のこの行動が示している真の意味は、ずっと無視されてきた。あるいは過小評価されたままだった。何が言いたいかおわかりだろうか?「避陰反応」は、知性の表れ以外の何ものでもないということだ。植物はリスクを計算し、利益を予想している。それこそまさに知性だ。これは植物を偏見のない目で観察してさえいれば、とっくの昔に明らかになっていたはずの事実である。」 
 
光をとりこみ、利用し、その質と量の微妙な変化を識別する植物の能力は、たしかに紛れもなく非常に高い知能がなせる業であり、植物のこうした知能は視覚にも喩えられるのですが、著者によれば彼らは四季の移り変わりに応じて視覚の使い方も変化させていくそうで、「冬のあいだ、成長周期を遅くし、「目を閉じ」、眠りつづける。春になるとまた正常に機能しはじめ、芽を出し、ふたたび葉をつけ、「ふたたび目を開ける」」のだそうです。 
 
しかも人間の場合は、目は顔の特定の部位に限定されますが、植物の光の受容体は葉っぱだけでなく、茎の若い部分や先端、ひげ、芽、木の枝や幹、根などにもあり、いわば「小さな無数の目で全身を覆われているようなもの」なのだそう。 
 
植物がそれほどまで物質(からだ)を適応させて感受しようとしている光を、私たちはふだんどこまで意識的に求めているでしょうか。今期のおひつじ座は、できるだけ彼ら植物を見習って、光を求めることを日々の暮らしの中で意識してみるといいでしょう。 
 
 
参考:ステファノ・マンクーゾ+アレッサンドラ・ヴィオラ、久保耕司訳『植物は<知性>を持っている』(NHK出版) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ